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心の勇者〜とある美少女と出会った俺は救世主に任命される〜  作者: たいくつ
序章

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魔法の仕組み

みなさんお疲れ様です、たいくつです。

今回から第二章開幕です!

と言っても本格的に動き出すのは次話からなのですが。

今回はルーリア村から王都に向かう二人の姿を描きました。是非最後までお付き合いください。

「シンリさん、もしかして緊張していますか?」


「え? あ、はい。 こういった経験は今までなかったので。馬に乗るのも、旅をするのも」


「そうですか、何事も初めては緊張しますよね。でも安心してください、時期に慣れますから」


「は、はい」


「それより、そろそろ休憩にしましょうか」


 ルーリア村を後にした俺とアジスさんはもうかれこれ3時間ほど馬を進めていた。俺たちはもちろん馬もそろそろ疲労が溜まる頃合だ。そこで俺たちは近くの水辺に馬を駐め、そこで休憩がてら昼食を摂ることにした。


「これをどうぞ、レナが持たせてくれました」


「ありがとうございます」


 俺はアジスさんからレナさんお手製のサンドウィッチが入ったバスケットを受け取る。


「うーん、やっぱり美味しいですね。レナさんの料理は」


「そりゃあ私の自慢の嫁ですから」


 誇らしくもおどけた口調でアジスさんは言う。


「そういえば、今から向かうレジリエントでアジスさんは働いているんですよね?」


「そうですね、あくまで剣術指南役なのでそれ以外の授業等は一切請け負ってはいませんが。それが何か?」


「実はもう一度アジスさんと試合をしたいと思っていたので、同じ場所にいる時間が増えるのならその機会も巡ってくるのかなーっと」


「そうでしたか、私で良ければいつでも相手になりますよ。なんなら今からでも」


「えっと、今からはちょっと……。 それに、今の俺の力じゃアジスさんには到底及ばないと思うので」


「そんなことはないでしょう。 現にこないだの模擬戦もほぼ互角だったじゃないですか」


「でも、あの時アジスさん本気じゃなかったでしょう?」


「……気づかれちゃいましたか」


「はい。 あの最後の一撃、一瞬だけでしたがアジスさんの本気が見えたような気がして。 あの後思ったんです、最初から最後までアジスさんが本気を出していたら俺はどうなっていたんだろうって。勿論実戦ではないので命の心配はなくても、きっと手も足も出ず何もできないまま負けていたんだろうなって」


 現にあの模擬戦の最後の瞬間、レナさんが止めなかったら俺はどうなっていたかわからない。アジスさんほどの技量なら寸止めできたのかも知れないが、下手すれば俺は死んでいてもおかしくはなかっただろう。


「だからこれからもっと鍛錬を積んで、自分に自信を持つことができたその時に、もう一度俺と本気の勝負をしてくれませんか?」


「……わかりました。その日が来るのを楽しみにしていますね」


「はい!ありがとうございます」


「ただ、そうですね。せっかくなので私がいない間にシンリさんの鍛錬の成果を見てみたいのですが」


「鍛錬の成果、ですか?」


「はい、できるようになったのでしょう? 魔法。レナから聞きましたよ」


「あーたしかに、アジスさんにはまだ実際に俺が魔法を使うところをお見せしてなかったですもんね。それくらいなら喜んで」


 俺は手に持っていたサンドウィッチの最後の一口を自分の口に放り込むと、腰を上げて早速魔法を発動させる準備を行う。レナさんぐらいの魔術士になれば準備など要らずすぐさま魔法を発動させられるのだろうが、今の俺には発動まで少し時間が必要となる。


「では、いきます!」


 俺は今までのレナさんの指導を思い出しながら一つ一つ丁寧に手順を辿る。


「型を安定させ……魔力出量を抑えつつ、それを増殖……よし、今だ! 雷雨サンダーレイン!!」


 ズザザザッッ!!


 次の瞬間、雷の雨が川全体に降り注ぐ。


「おお!」


「ふう……、今のが俺のできる最大限の魔法です」


「お見事です、シンリさん。よもやこれほどの魔法を既に習得しているとは。大したものです」


「いえいえ、そんな大層なものでは……」


 久しぶりに誰かに褒められて少しくすぐったくなってしまう。


「それと、やはりというべきか詠唱は省いているんですね」


「はい、レナさんがそっちの方がいいからって」


「なんともレナらしい」


 そういうとアジスさんはやれやれ、と少し呆れたような表情を見せる。


「本来なら魔法は詠唱を伴って発動させるのが主です。これは知っていますか?」


「はい、レナさんから聞きました」


「では、なぜ魔法は本来詠唱を必要としているのかわかりますか?」


「いえ、それは……」


「詠唱が存在する意味、それは人が魔法を発動させるにおいて必要な魔力そのものの形を覚えやすくするためです」


「魔力の形?」


「はい、魔力には我々生物同様に細胞があります。そしてそれらの細胞は一つ一つ形が異なっておりそれら複数の細胞を組み合わせることで魔力の塊として外に放出する、そして放出したもののことを『魔法』と呼ぶのです」


「細胞、か。なるほど」


「魔力細胞の種類は数多く存在しているため、どの細胞とどの細胞を組み合わせたらどんな魔法ができるかを把握するのは至難の業です。さて、ここでシンリさんに問題です。これらを全て把握するために最も効果的かつ簡単な方法はなんでしょうか?」



「たくさんある細胞を把握する方法、か……。 うーん、俺ならわかりやすいように何か目印になるものを付ける……いや、待てよそもそも魔力は目に見えないから……目に見えないなら音、耳で聴く……そうか、わかった!答えは『名前を付ける』です!」


「正解です! 名前を付ける、すなわち詠唱をそれぞれ細胞に付けてリスト化する事で魔法の構成をより的確かつ簡単に把握させているんです」


「そうだったんですねー。……ってあれ? でもなんでこんな大事なことレナさんは教えてくれなかったんでしょう?」


 魔法が使えないアジスさんですら知っていることを魔術士であるレナさんが知らないとは思えない。


「あー……それはおそらく彼女が感覚派の人間なため指導する時にも詳しく教えず、できてしまえばなんでもいいという感じの指導スタイルだからだと思います」


「な、なるほど」


「まあ、だからこそレナは細胞の形を詠唱で覚えずに身体の感覚でその形を覚えることが得意なんでしょうけど」


 たしかに、俺も実際魔法を発動させるときはなんというか、身体全身に伝わる感覚で発動させている、というかそうするようにレナさんから教わった。


「さて、良いものを見られたところでそろそろいきましょうか」


「そうですね」


 こうして休憩兼魔法お披露目会を終えた俺とアジスさんは再び王都に向けて馬を進めるのだった。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

次話からいよいよ第二章本格的に始まります。舞台はグラシーズ王国の王都メイルヘムにある教育施設(学校)レジリエントです!次話もよろしくお願いします。

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