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心の勇者〜とある美少女と出会った俺は救世主に任命される〜  作者: たいくつ
序章

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11/15

暗い家路

皆さんお疲れ様です、たいくつです!

今回は、3人が回想を終えて家路に着く内容なのですが、とあるカミングアウトも用意しています。ぜひ最後までご覧下さい。

 

 ◆◆◆



「以上が、あの日起きた出来事のすべてです」


「そんなことがあったんだ……」


「あれから主人やアジスたちが呪いについていろいろ調べてくれたんです。初めのうちはなかなか有益な情報は得られなかったのですが、ある日、アジスが王都に仕事に行っているときに、旅の商人から、あらゆる病を打ち消し、生命に安らぎを与えると云われる『万能草』という不思議な薬草があるとの情報を得たと知らせを受けました」


「万能草……あ、そういえば俺がリーフとセナと初めて会った時にその『万能草』を探していると言っていたね」


「はい。あの日以来、私たちは時間があるときに森へ万能草を探しに行くようになりました。あの日もいつものように万能草を探していたんですけど、フィアースベアに遭遇してしまったところをシンリさんに助けていただいたんです」


「やっぱりそうだったんだ」


 と、ここで俺は一つ疑問を抱いた。それは、話を聞いたら誰もが思うであろうことで……。


「でも、前にも村の外で危ない目に遭ったのになんでまたリーフとセナの二人だけで森に入ったの? 普通なら、誰かしらがついて行って二人の身の安全を確保する必要がありそうな状況だよね? 現にフィアースベアに襲われていて危ないところだったし」


 そう、普通ならこんな危険な状況下で子供だけで村の外へ行かせるのは不自然だ。アジスさんもレナさんも子供を蔑ろにするような人には見えないため、尚のこと違和感を感じたのだ。


「それにはちゃんとした理由があるんです。実は、先ほど話した万能草の話には続きがあって、お父さんの話だと、どうやら万能草は『幸せを呼ぶ青い鳥』と関係があるみたいなんです」


「幸せを呼ぶ青い鳥ってたしか、三人が森で出会ったっていうあの?」


「そうです。だから僕たちはまたあの森へ行ってもう一度幸せを呼ぶ青い鳥を探そうと思ったんです。でも、幸せを呼ぶ青い鳥は大人には姿を見せないそうなので僕とセナの二人で行く必要があったんです」


「でも、それでも危ないことは変わらないんでしょ? せめて何かしらの対策をするべきなんじゃない?」


「はい、なので出かける前は必ずお母さんに頼んで加護魔法を掛けてもらっています」


「加護魔法?」


 初めて聞く魔法に俺は首を傾げる。


「加護魔法というのは、危害になりそうな攻撃から対象を護る魔法のことです。移動式の結界みたいなものような認識ですかね。ただ、普通の結界ほど強力ではないうえに、効果時間もそれほど長くはないんですけど」


「へー、そんなのもあるんだ」


「はい、それともう一つ身の安全を保障するかもしれないものがあります。 ……セナ」


「うん」


 リーフがセナに合図を送ると、セナは服の胸ポケットから小さな巾着を取り出し、そのまま中のもの手に取り俺に見せる。


「これは……?」


「『幸せを呼ぶ青い鳥』の羽、です」


「さっきの話で出た、あの?」


「そうです。あの後お母さんにこの羽を見せたら『この羽からはとてつもない力を感じる』って言われたんです」


「とてつもない力……」


 と、ここでリーフが口を開く。


「シンリさん、先ほどの話の中で竜に襲われたときに突如現れた結界が、セナとリーナを竜の攻撃から守った、と言ったのを覚えてますか?」


「うん、覚えてるけど……もしかして?」


 そこで俺はリーフの言いたいことを察し、リーフの方を見る。その反応を見たリーフは「さすがですね」というような顔をして話を続ける。


「もうわかったみたいですね。お察しの通り、この羽があの時の結界の正体だったんです。でも、結界が発動する仕組みや条件はまだわからないのでこれを頼りにしすぎるのは少し不安、というか……」


「確かに、不確定なままでは安心できないからね。だからこそ、レナさんに加護魔法を掛けてもらうようにしている、と」


「その通りです。 全部説明する前に答えにたどり着くなんてさすがですね!」


「そこまですごくはないと思うけど……って、あれ?」


 ここでまた俺は疑問を抱いてしまう、それもかなり重要な。


「あ、あのさ、それだけ対策していたら初めて森で会ったとき、別に俺が助けなくても安全だったんじゃ……?」


 二人は顔を見合わせ、気まずそうな笑みを浮かべる。


「ま、まあ確かにそうですね、あはは……」


「は、はい……」


 それを聞いて俺はものすごい羞恥を覚えた。あの時、俺は初めて魔物を相手に初めての戦いを必至になって行った。それが今「別に必要ではなかったこと」と知らされたのだ、あれだけ頑張ったうえ、意気揚々と人助けができたことに少し誇りすら感じていたのにそれはないだろ……。


「で、でも二人で心細くて怯えていたのは事実ですし、シンリさんが来てくれて安心したのは本当ですよ!?」


 俺がとてつもない羞恥心に駆られていることに気付いたセナが慌てて俺をフォローする。


「そ、そっか。あ、ありがとう……」


 俺は頭を掻きながらどうにかこの羞恥心を和らげようとするが、和らげようとすればするほど顔が熱くなってくる、そのうえ変な汗まで出てきそうだ。もう、なんかやだ。


「ま、まあシンリさんにリーナの紹介も済んだことだし今日のところは帰りましょうか」


「そうだね、そろそろ夕ご飯の時間だし」


「それじゃあ、家の前まで見送るわ」


 タイナさんに見送られた俺たちはリーフたちの家に向けてゆっくりと歩いていた。


「二人は毎日あの子に会いに行っているの?」


「そうですね、用事がない日は基本的に毎日会いに行っています。いつ目覚めるかわからないし、それに不安、なので……」


 小さめの声で俯きながらリーフは言う。


「リーナ、ずっと目を覚まさないし、もしかしたらこのまま……」


 そういうセナの目にはうっすらと光るものが見える、それを見て俺は慌てて口を開く。


「ご、ごめん。辛いこと聞いちゃったかな……?」


「……いえ、大丈夫です。……とにかく、今私たちにできることはリーナの目覚めを祈りながら、万能草を探すこと、それ以外は極力考えないようにしてます」


「……さあ、着きました。 リーナの話はひとまずこのくらいにして、今はお母さんのおいしいご飯をお腹いっぱい食べましょう! 明日も朝から訓練ですから栄養をたくさん摂らないといけませんし!」


「そうだね、私も早く寝て明日に備えなきゃ。なんか今日はいつもより疲れちゃったし」


 そういうと二人は自分たちの家のドアを開け、「「ただいま!」」と明るめのトーンで自分たちの帰りを家にいる家族に知らせる。だが、その表情だけは未だ暗いままだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

次話は、異世界の戦いについての内容になります。

次話も何卒よろしくお願いいたします。

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