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11.HAPPY ENDの果て②(レオンハルト)

「証拠は三家から充分見つかっていたが、お前とアンヌマリー嬢は王太子夫妻、それも一人っ子だ。処罰すれば跡継ぎがいなくなる。かといってうやむやにするには、事が大きすぎる…迷っていたが決定的な証拠が見つかったからな」

「証拠?」

父上がそう言って片手を上げると、兵士達が1人のみすぼらしい男を連れて来た。身なりからして浮浪者の様だ。

浮浪者に父が質問すると、恐々と予想外の話を始めた。

「2か月ほど前、王太子の誕生日パーティの日に、婚約者の令嬢が亡くなった事は知っているな?」

「は、はい。王都中で騒いでましたから…」

「その日の朝、お前が見た事を話せ」

「は、はい。あっしは見ての通りの宿無しで、寒さをしのぐ為湖の側の管理小屋に、よく入りこんでは勝手に泊まってました。あの朝も一晩明かして出ようとしたら、声が聞こえたのでマズいと思って、小屋の中で息をひそめていたら、そこの王太子様がご婚約者様の令嬢を湖に落とし、さらに宰相と騎士団長のところの坊ちゃんと3人で「死ね死ね」言いながら、石を投げていました。そして最後に…」

「や、やめろ!」

とっさに叫んだが、止まらなかった。

「騎士団長の坊ちゃんが、どこからか一抱えするような大きな石を見つけてきて、それを3人がかりで令嬢めがけて投げつけて、そのまま令嬢は湖に沈んでいきました」

「……その後はどうした」

「3人で笑顔で喝采した後、その場を立ち去られました。あっしは今見た事が恐ろしくて、下手に喋ったら令嬢のように殺されると思い、ずっと隠れてました…あの、本当に守ってもらえるんですよね?」

「あぁ。と言っても、この2人は身分を剥奪して牢に入れるから、危害を加えることもできないだろうがな」

「「!!」」

僕とアンヌマリーが目を瞠るが、父はため息をつくと、こちらに向けて為政者の顔で宣言した。

「ローズマリー゠オルコット公爵令嬢殺害の罪により、王太子レオンハルト及び、その婚約者アンヌマリーを今この時を持って、身分を剥奪し3日後の昼に絞首刑に処す。それまで一般牢に入れておけ」

父の言葉に、衛兵達が僕とアンヌマリーを連行する。

「離せ、僕は無実だ!父上、あんな卑しい浮浪者の言う事など、真に受けないで助けて下さい!」

「~~~!~~~~~!」

僕は助けを求めたが、父上も母上も失望した目で、僕を見るだけだった。


そうして僕はすべてを失い、アンヌマリーと同じ牢に放りこまれた。


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