第七話 腹巻きを
「腹巻きをたくさんの人にあげていけば、そのうち引っかかるとは思うのよね」
腹巻きを顔に巻いて寝袋の中に入っているユーは、満点の星空を見上げていた。(ように見えるだけだが)
いろいろ話し合って、時間がすぎていたのだった。
ユーの案を聞いていたミウロも腹巻きを顔に巻いて、顔の全部を覆っていた。モゴモゴした声色で、
「ただ、みんな腹巻きを怖がってるぞ?」と言う。
「みんなで腹巻きを顔に巻いて、町を踊りながらねり歩くのは?!」
エルも顔全部を腹巻きで覆っていた。
『おい。今日は、まともな意見がまだ出てないぞい。あと腹巻きは、腹に巻くものだ!』
そう言った護り鳥も腹巻きを顔に巻いていた。
「「「お前もな!」」」
三人同時にツッコミを入れた。
夜がふけ、朝。ミウロは、いつのまにか寝てしまっていた。体を寝袋から出した。
エルとユーと昨日出会った女の子、ミオネはすでに起きていて、焚き火を作って囲んでいた。
「エル、おはよ。寒いな」
「おう!オレは暑いぜ?はずかしいぜ?」
エルのキャラが壊れている。
「ほらほら食べて、護り鳥様の手伝いしましょ!」ユーが、丸いパンをみんなに配る。
「それでさ、昨日オイラ達に見せてくれた紙って・・・」
エルが普通に戻った。護り鳥が、『ああ、それは』と言いかけた時、焚き火の炎がゴオッと強さを増す。ミウロはその炎をじっと見ていると、炎の剣が現れた。
『そんなに見つめないで♡』
割と野太い声である。
「お前、そういうキャラだったのか」
『ごほんほん。神界にいる神達からの伝言ですよんよん♩』
「あら、あなた、いい顔面してるわね?」
ユーが割り込む。どこに顔面があるのか。ミウロは、変なことを言うなと不思議がる。
『お、おおう。わっちの顔わかんのね?!』
「そうね、そこら辺でも見かけるわね。ファイヤーていう炎顔」
『そうか。ま、それは置いといてだ。ミウロ、わっちの力でここに来れたことをまず、感謝したまえ』
「そうだったな。炎の力だっけ。ありがとな」
『うむ。それで、伝言というのはだ、これから心がけることだよ』
「心がけることって?」
ミウロは、パンの最後の一口を口の中に放り込む。
『何があっても・・・』
「何があっても?」
『 』
「そうか、この国を雪から解放するには!」
ミウロの直感的な発言に誰もが振り向いた。