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シアとアルノは、新たな試練に向かって歩み始めた。周囲の空間は、まるで生きているかのように変化していた。目の前に現れるのは、次々と変わる風景。それは、彼らが過去に直面した恐れや苦しみを具現化したような、恐ろしい幻影だった。


「これが…試練の一部か?」


アルノは慎重に周囲を見渡しながら言った。目の前に広がる景色には、過去の戦い、シアが失った家族の姿、そして彼女が抱えてきた恐れが形となって現れている。


「これ…私は…」


シアの声が震えた。目の前に現れた幻影は、彼女にとって最も辛い記憶を呼び起こさせた。彼女の父と母、そして失われた家族の姿が、今も鮮明に映し出されている。


「シア…」


アルノは彼女の手をしっかりと握り、優しく言った。


「お前はもう、過去に囚われる必要はない。」


シアはその言葉に一瞬戸惑ったが、すぐにアルノの手の温もりを感じて、その目をしっかりと開いた。彼女は深呼吸をして、心を落ち着けようとした。


「私…まだ、怖い。」


シアは目を伏せた。その目には過去を恐れる気持ちがにじんでいた。


「俺も怖い。でもな、俺たちは一緒だ。」


アルノは力強く言い、シアをしっかりと抱きしめた。


「だから、どんな過去が目の前に現れても、俺はお前の側にいる。」


その言葉に、シアは少しずつ心が安らいでいくのを感じた。アルノの温かさが、彼女を支えてくれる。それを実感したとき、彼女は少しずつ過去を受け入れ始めた。


「私が恐れているのは、過去が私を支配すること…でも、今は違う。」


シアは自分に言い聞かせるように呟いた。


その瞬間、目の前に現れた幻影が変わり始めた。シアの父と母の姿が消え、代わりに彼女の目の前には、今度はアルノの姿が現れた。しかし、それは完全に彼を模倣した幻影であり、まるで彼が自分を裏切っているかのような恐ろしい姿だった。


「アルノ?」


シアは驚いて後退り、その幻影に向かって声を上げた。


「どうして…?」


その幻影はシアに冷たく語りかけた。


「お前はもう、必要ない。お前の力は俺を危険にさらす。」


その言葉には、まるでアルノの心の一部が彼女に対して疑念を抱いているかのように響いた。


「そんなこと…ない。」


シアは必死にその幻影に向かって反論した。


「アルノは私を助けてくれる。私はお前を裏切ったりしない!」


だが、その幻影はなおも冷たい言葉を続けた。


「お前はその力を持っている限り、誰かを傷つけることになる。お前はもう、俺にとって必要ない。」


その言葉がシアの心に深く突き刺さる。彼女は自分の力が周りを傷つけることを恐れてきた。それが、どれほど辛いことか、アルノにも伝えられなかった。


「シア、違う。」


その時、アルノが強く声を上げた。


「お前の力は、お前が選んだものだ。それを恐れる必要はない。」


アルノの言葉がシアの心に響いた。彼の声に背中を押されるように、シアは再び立ち上がった。幻影が揺らぎ、消えていく。


「私は、もう逃げない。」


シアは静かに言った。過去に縛られ、恐れに逃げていた自分を振り切るように、心から決意を固めた。


その時、幻影が完全に消え去り、二人の目の前には穏やかな景色が広がった。それは、過去の試練を乗り越えた証だった。


「シア、お前は強い。」


アルノは微笑みながら言った。その笑顔には、シアへの深い信頼と感謝の気持ちが込められていた。


「ありがとう、アルノ。」


シアは静かに答え、彼の手を握り返した。


その瞬間、空間の奥から声が響いた。


「お前たちの絆が試され、乗り越えられた。だが、まだ終わりではない。」


アゼリウスが現れ、二人に向かって歩み寄ってきた。


「お前たちが進むべき道には、さらなる試練が待ち受けている。しかし、今のお前たちなら、それを乗り越えることができるだろう。」



シアとアルノは、試練を乗り越え、互いに支え合いながら絆を深めていく。

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