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神殿の扉が重く音を立てて開くと、まばゆい光がアルノとシアの前に広がった。その光は、まるで天のように広がり、目を開けるのが苦しくなるほどだった。アルノはシアをしっかりと支えながら、慎重にその光の中に踏み出す。


「これは…?」


アルノが呟いた瞬間、光が彼らを包み込み、まるで時間と空間が歪んでいくような感覚に襲われた。足元がふわりと浮き、目の前に現れたのは、幻想的な風景だった。広大な草原が広がり、空は濃い青色に染まり、遠くには美しい山々が連なっている。その光景は、どこか現実とは思えないほど美しく、心が引き込まれるようだった。


「ここは一体…?」


「これは…私の記憶。」


シアの声が小さく響き、アルノは彼女の顔を見つめた。シアの表情はどこか遠くを見つめるように虚ろで、目には涙が浮かんでいる。


「記憶?」


シアはゆっくりと頷き、静かに語り始めた。


「私がまだ小さかった頃、ここで過ごしていた。父と母、そして私の家族…私たちは幸せだった。」


その言葉には懐かしさと、同時に深い悲しみが込められていた。


「でも、ある日、私の家族は消えた。魔法の力を持っていた私を狙う者たちが、家族を奪い、私を連れて行った。」


シアは目を閉じて、過去の記憶に浸るように続ける。


「私の魔法の力は、ただの風の魔法ではなかった。私の力には、禁断の力が宿っていた。それを知った者たちは、私を使おうとした。」


その言葉に、アルノは驚き、シアをしっかりと抱きしめるように手を伸ばした。


「シア…それが、今の私たちにどう関係が?」


シアは目を開け、その瞳に苦悩を浮かべながら答えた。


「私の力は、時折暴走し、周囲のものを傷つけることがある。そしてその代償として、私の命が削られていく。」


アルノはその言葉に息を呑み、思わずシアの顔を見つめた。


「だから、あなたが私を助けると言ったとき、私は恐れていた。あなたにこの力を知って欲しくなかったから…でも、もう無理だわ。」


シアの声は震えており、彼女の体はさらに弱々しくなっているのが感じられた。


「シア、俺はお前を助ける。それが、どんなに危険なことであっても。」


アルノは強く言い切ると、シアを抱きしめる。彼の心には、ただ一つの決意しかなかった。シアを守るためなら、どんな試練でも乗り越えてみせると。


その時、空がゆっくりと暗くなり、草原が揺れ始めた。何かが動き出す音が近づいてきた。


「お前たちは、過去を受け入れる覚悟があるのか?」


その声は空気を裂くように響き、アルノとシアは同時に振り向いた。目の前に現れたのは、巨大な影。その影は、まるで時空を超えてきたかのように、二人に迫ってきた。


「過去を受け入れろ。」


その声は再び響き、アルノはその言葉の意味を探ろうとする。


「これは…試練、なのか?」


「そうだ。」


アゼリウスの声が遠くから聞こえた。アルノは急いで振り返ると、アゼリウスが立っていた。


「シア、そしてアルノ。お前たちが進むためには、この試練を乗り越えなければならない。」


アゼリウスは神殿の内部に現れた、その存在に向かって手を広げた。


「何をどうすれば…?」


アゼリウスは冷徹な目で二人を見つめ、ゆっくりと答えた。


「お前たちがその過去を受け入れ、シアの力を制御できるようになれば、試練は終わる。しかし、シアが持っている『禁断の力』は、決して無限ではない。彼女の命を削るその力を、完全に抑えることができなければ、未来はない。」


その言葉に、アルノは思わず拳を握りしめた。


「俺は…シアを救う。何があっても、必ず。」


その瞬間、暗闇が揺れ、目の前の影が次第に形を成していく。その姿は、巨大な魔法の結界のように見え、無数の光がその中で渦を巻いていた。


「お前たちの覚悟を試すための『最後の試練』が、ここにある。」



試練の最中、アルノとシアは過去を乗り越え、未来を切り開くために戦い続ける。その先に何が待ち受けているのか、二人の運命が交わるその時まで、物語は続いていく。

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