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第7話:霧の中の戦い

霧が深く立ち込める中、ガードは盾を構え、黒いローブの敵たちと向き合った。霧の中での戦いは視界を遮り、敵の動きが分かりにくい。だが、ガードは敵を見失わないよう、気を張り巡らせていた。


「この盾がある限り…僕は負けない!」


自分に言い聞かせるように叫ぶガード。だが、盾が生命を刈り取るたびに、彼の体は徐々にその重圧に耐えきれなくなっていた。盾に込められた生命力が彼を侵し、高熱が体中を駆け巡る。


「ガード、大丈夫!? 熱が上がってきてるわ!」


イリスがガードの異変に気づき、心配そうに叫ぶ。彼女は錬金術の知識を駆使してガードを助けようとするが、敵の数が多く、余裕がない。


「このままじゃ…!」


イリスが何とか治療を施そうとする瞬間、ローブを纏ったリーダーが冷たく微笑んだ。


「その盾はお前を破滅へ導くだけだ。守りたいものを守れぬまま、命を削られるがいい。」


リーダーの言葉に、ガードは歯を食いしばった。体の熱は限界に近づき、視界がぼやける。しかし、ここで倒れるわけにはいかない。村を守るため、西へ向かう使命を果たすため、そしてイリスを守るため――彼は盾を強く握りしめた。


「僕は…守るんだ…!この盾の力で!」


その瞬間、ガードの中で何かが変わった。盾に蓄積されていた生命力が暴走し、周囲の空気が震えた。ガードの体から溢れ出すエネルギーが、敵に向かって放たれる。


「これは…!」


リーダーが驚いた表情を浮かべた次の瞬間、盾が放つ光が敵を包み込み、ローブの者たちはその場に崩れ落ちた。生命力を一瞬にして吸い取られ、無力化されたのだ。


ガードは息を荒らしながら膝をついた。盾の力を使いすぎたためか、彼の体は限界を迎えつつあった。高熱がさらに上がり、意識が遠のいていく。


「ガード、しっかりして!」


イリスは慌ててガードに駆け寄り、彼の体を支えた。彼女の手からは温かい光が放たれ、ガードの熱を少しずつ和らげていく。


「ごめん…イリス…僕、もっと強くならないと…」


ガードは辛そうに呟いた。自分の弱さを痛感しながらも、彼はイリスの優しい手のぬくもりを感じていた。


「いいのよ、無理しなくて。でも、私たちは進まなきゃいけない。あの予言を信じるなら、西へ向かえば答えが見つかるはずよ」


イリスはガードの顔を見つめながら、微笑んだ。その笑顔は、ガードに再び立ち上がる勇気を与えた。



---


数時間後、二人は何とか霧を抜け、再び明るい道に出た。ガードはイリスの支えを借りながら、ゆっくりと歩を進めていた。彼の体は依然として熱を帯びていたが、イリスの錬金術の治療によって、少しずつ回復してきた。


「イリス…ありがとう。君がいなかったら、僕はあの場で倒れてたかもしれない」


ガードは感謝の気持ちを込めて言った。イリスは軽く肩をすくめ、微笑み返した。


「私はあなたの仲間よ。困ってる時は助け合うものだわ」


その言葉にガードは少し照れくさそうに笑ったが、同時に彼の中で決意が固まった。自分にはまだ盾の力を完全に制御する力がない。それを克服しなければ、これから先の試練を乗り越えることはできないだろう。


「西へ進めば、もっと強くなれる方法が見つかるかもしれない。僕は、この盾を完全に扱えるようになる」


ガードは自分自身に誓った。その先に何が待ち受けていようとも、彼は進むしかない。



---


次回、第8話では、ガードとイリスが新たな地で重要な人物と出会い、盾の力の秘密に迫ります。旅の行く先にはさらなる試練が待っていることが明らかになり、物語は新たな展開を迎えます。



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