第30話: 選択の代償
神秘的な空間に立つガードとイリス。宙に浮かぶ神代文字が輝きながら二人を包み込み、重々しい声が響いてきた。
「真実を知ることを選べば、力の本質を理解するだろう。しかし、それは同時に新たな苦難を呼び込む。力を捨てるなら、平穏な日々を取り戻すが、君たちが守りたいものを失うだろう」
ガードは聖剣を握りしめながら、イリスの方を見た。「イリス、どうすればいい?俺は…俺たちがこの力を手にした理由を知りたい気持ちもある。でも、もしそのせいで誰かを傷つけることになるなら…」
イリスは真剣な表情でうなずいた。「そうね。でも、私たちはここまで来る中でたくさんの人たちに助けられた。彼らの思いを無駄にしないためにも、私たちが何のために戦っているのか知る必要があると思うの」
ガードは目を閉じ、一瞬の沈黙の後、強い意志を持った目で神代文字を見上げた。「俺たちは、真実を選ぶ」
すると、周囲の文字がさらに強い輝きを放ち、二人を包む空間が変化し始めた。
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力の本質
気づくと、二人は巨大な祭壇の前に立っていた。祭壇の中央には、盾と聖剣が浮かび、まばゆい光を放っていた。
その瞬間、またしても声が響く。「聖剣と盾は、かつて世界を創造した二柱の神々の力の一部だ。盾は『命を守る力』を、聖剣は『命を断つ力』を象徴する。しかし、これらは本来、一つの存在として世界を調和させるためのものだった」
イリスは息を飲んだ。「つまり、聖剣と盾を持つ私たちには、その調和を取り戻す使命があるってこと?」
声は続けた。「そうだ。しかし、その調和を乱す者たちが現れた。彼らは聖剣と盾を用いて、己の欲望を叶えようとしている。君たちはその野望を阻止する役割を担っている」
ガードは重くうなずいた。「僕たちが背負うものは、そんなに大きいのか…」
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覚醒
突然、盾と聖剣が共鳴し始めた。二つの神器から放たれる光がガードとイリスを包み込み、二人の体に新たな力が注がれるのを感じた。
イリスは目を見開いた。「これ…体の奥から力が湧いてくる」
ガードもまた聖剣の輝きに応じるように立ち上がり、決意を新たにした。「もう迷わない。この力を正しい道のために使う」
その瞬間、二人の中に新たな知識と技が刻まれた。ガードは聖剣の新たな技「調和の一閃」を、イリスは錬金術の秘奥義「命の律動」を手に入れた。
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帰還と新たな始まり
二人が目を覚ますと、そこは元いた燃え盛る街だった。しかし、驚いたことに炎はすべて消え、街の人々が無事に避難している姿が見えた。
「ガード、イリス!」門番の兵士が駆け寄ってきた。「君たちがいなくなった後、急に火が消えていったんだ。一体何が起こったんだ?」
ガードは兵士に感謝を述べた後、強い意志を持った声で答えた。「僕たちにはやるべきことがある。この力を使って、全てを守り抜く」
イリスも微笑みながら続けた。「次は禁断の地ね。あそこに待つ真実を解き明かしに行きましょう」
こうして、ガードとイリスは新たな力を手にし、さらなる冒険へと向かうのだった。
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次回予告
禁断の地へ向かうガードとイリスを待ち受ける新たな試練。古代神の謎が次第に明らかになり、二人はさらなる決断を迫られることに。次回、第31話「禁断の地の深淵」




