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第2話:錬金術師の秘薬

ガードが気を失う直前に現れた少女。彼女は冷静な手つきでガードの体を支え、地面に横たわらせた。彼の体は異常なほど高熱を発しており、顔には汗が滲んでいる。


「やっぱり…この盾の力が原因ね…」


少女はガードの手から盾を外し、そっと地面に置くと、自分のポーチから小さな瓶を取り出した。その中には、青く光る液体が揺れていた。彼女はその瓶を慎重に開けると、ガードの唇に少しずつ流し込んだ。


「これでしばらくは大丈夫。早く熱を下げないと命に関わるわ…」


液体が喉を通り、ガードの表情が少しだけ緩んだ。その瞬間、彼女は安堵の息を吐いた。


---


ガードが目を覚ましたのは、翌朝のことだった。周囲を見渡すと、自分は見知らぬ森の中にいた。目の前には、小さな焚き火と、その火を見つめる少女の姿があった。


「…君は…?」


ガードのかすれた声に、少女は静かに顔を上げた。長い銀髪が月光を受けて輝いている。


「気がついたのね。私はイリス、旅の錬金術師よ。あなたが倒れていたところを助けたの」


「助けてくれたのか…ありがとう。でも、どうして…?」


ガードは立ち上がろうとしたが、体のだるさに再び倒れそうになった。それを見たイリスはすぐに彼を支え、再び座らせた。


「無理しないで。まだ熱が完全には下がっていないわ」


「熱…?」


ガードは自分の額に手を当てた。確かにまだ少し熱が残っているが、昨夜のような異常な高熱ではなかった。何が起こったのか、彼には全く理解できなかった。


「君は…いったい何者なんだ?どうしてこんなことができる?」


「私は錬金術師。いろいろな薬を作ったり、特殊な技術を使って問題を解決したりして旅をしているの。そして、あなたの持っていたあの盾のせいで、あなたは高熱を出していたのよ」


イリスはそっと盾を指差した。地面に置かれたその盾は、まるで静かに待っているかのようにそこにあった。


「盾のせい…?」


ガードは昨夜の出来事を思い出した。盗賊たちを倒し、次々と命を刈り取っていったあの恐ろしい感覚。盾を使うたびに、彼の体に何かが流れ込んできた。それが原因で、彼は体調を崩したのかもしれない。


「あなたが使った盾、それは攻撃者の命を刈り取るもの。でも、その命のエネルギーはあなたの体に入り込む。そして、あなたの体はその大きな力を受け止めきれないのよ」


イリスの言葉を聞き、ガードは自分がただの道具として盾を使っていたのではなく、その力が自分に深刻な影響を与えていたことに気づいた。


「それじゃあ、僕はこれからもこの盾を使い続けたら、どうなってしまうんだ?」


ガードの声には不安がにじんでいた。村を守るためにはこの盾の力が必要だが、その代償が自分の命だというのなら…。


「簡単に言うと、あなたが刈り取った命が大きければ大きいほど、その影響は強くなる。場合によっては、命を削られることだってあり得るわ。でも、そんなに心配しないで。私がいれば、あなたの体を守る方法も見つかるはずよ」


イリスはそう言って、ガードに微笑んだ。彼女の言葉には不思議な安心感があった。


「ありがとう、イリス…」


ガードはお礼を言いながらも、心の中にはまだ多くの疑問が渦巻いていた。盾の力、そして自分がその力をどう使うべきか。彼の旅は、ここから本格的に始まろうとしていた。


---


次回、第3話では、ガードがイリスの助けを借りながら盾の力について学び、二人で新たな旅へと出発します。彼らを待ち受けるのは、さらなる試練と未知なる敵たちです。

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