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第19話: 命の選択と奇跡の瞬間

賢者から告げられた重い決断を前に、ガードは深い葛藤に包まれていた。イリスの命を救うためには、自分の命を差し出さなければならない。その選択は彼にとって途方もなく重いものだった。


塔の中は静まり返り、時間が止まったかのようだった。ガードは盾を手にしながら、イリスを見つめる。彼女の体は衰弱し、今にも倒れそうだ。


「ガード…お願い、私のために自分を犠牲にしないで…」イリスの声は弱々しく、それでも必死に彼を止めようとしていた。


「イリス、君がいなければ、この旅に意味はないんだ。僕は君を守るためにここまで来たんだ。だから、僕の命を使って君を救いたい」


イリスは涙を浮かべ、首を振った。「そんなこと、できない!命を犠牲にしてまで、私は…」


ガードは苦悩しながらも、決意を固めた。「僕がこの盾を持ったのは、命を守るためなんだ。命を奪うだけの力じゃない…君を救うための力なんだ」


最後の選択


ガードは静かにイリスの手を取り、優しく微笑んだ。「ごめん、イリス。君を騙すことになるけど、これしかないんだ」


「え…?」


その瞬間、ガードは盾に込められた力を解放し、イリスの命を救うために自分の命を差し出す決意を固めた。彼女が反対する間もなく、ガードは盾に全力で祈りを込め、彼の命と引き換えにイリスの病を消し去った。


「ガード…やめて、お願い…!」


イリスは泣き叫びながら、ガードの腕をつかもうとしたが、その瞬間にはもう遅かった。盾が放つ光が彼らを包み込み、ガードの命が少しずつ彼女に流れ込んでいった。


ガードはゆっくりと倒れ込み、その目は静かに閉じられた。


真実を知ったイリス


イリスはその場に崩れ落ちた。ガードが自分の命を犠牲にしてまで、自分を救おうとしたことに気づき、涙が止まらなかった。


「どうして…どうしてこんなことを…!」


彼女は倒れているガードを抱きしめ、涙を流し続けた。彼の温もりがまだ残っているが、彼の命はもう尽きていた。


「ガード、お願い…帰ってきて…」彼女は必死に彼の名前を呼び続け、最後に震える唇で彼の唇に優しく触れた。


奇跡の瞬間


その瞬間、ガードの体が突然、光り輝き始めた。彼の体を包む光は、まるで命そのものが再び蘇るかのように強く輝いた。イリスは驚いて後ろに下がったが、ガードの体は徐々に暖かさを取り戻していく。


「ガード…?」


ガードはゆっくりと目を開け、イリスの顔を見つめた。「イリス…君、大丈夫か?」


イリスは涙をこぼしながら、彼に抱きついた。「ガード…どうして…?あなたの命を差し出したはずなのに…」


ガードは微笑んだ。「分からない…でも、君の命を救いたい一心で、盾の力が…僕を返してくれたのかもしれない。」


命の奇跡と新たな旅


イリスはガードを抱きしめ、心から感謝の涙を流した。「もう二度と、こんなことしないで。私、あなたがいないと生きていけない…」


ガードは彼女の手を握り返し、静かに頷いた。「僕もだよ、イリス。これからは二人で、どんな困難も乗り越えよう。」


彼らは互いの命を繋ぎ直し、新たな旅を共に進むことを誓った。命の力と絆を手にした二人は、さらなる試練に向けて立ち上がり、再び歩き出す。



---


次回予告


命の奇跡を目の当たりにしたガードとイリス。だが、盾に秘められた力は未だ全貌を明かしていない。次なる試練は、彼らの心に迫る。果たして、二人はさらなる運命にどう立ち向かうのか?


次回、第20話「試練の果てに待つもの」。



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