表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/50

25 絶体絶命のピンチ!

 

 ◇◇◇


 子ども達を連れてそのまま階段を上り、ひとまずキャロルちゃんの待つ屋根裏部屋へ。


「キャロルちゃん、私だよ」


 そっと声をかけるとすぐにドアが開いた。


「お姉さま!よくぞご無事で!……その子ども達は……」


「この子達も誘拐されてたの。可哀想に随分酷い扱いを受けてたみたい……」


「まぁ……こんな小さな子ども達になんてことをっ!あなたたち、よく頑張りましたわね。さぁ、いらっしゃい。こちらのベッドに横になるといいわ」


 屋根裏部屋は使用人部屋として使われていたようで、大人用のベッドが3つ並んでいる。3つのベッドをくっつけると、なんとか子ども達全員が横になれた。


 置いてあった毛布でくるんで撫でていると、最初は興奮していた子ども達も少し眠くなったようだ。すぐにあちこちで可愛い寝息を立て始めた。


「何か変わったことはあった?」


「ずっと外を見てましたが、まだ誰か来る気配はありませんわ。ただ、あの建物に小さな灯りが見えますの」


 温室だろうか。庭の片隅に小さな灯りが点っているのが分かる。誰かいるのは確かだろう。


「分かったわ。屋敷の中には居なかったから、多分あそこにさっきの男がいると思う。私、今から行ってみるね」


「お姉さま!危険です!あの男は剣を持ってました。もし見つかったら……」


「大丈夫。見つからないように外から中を確認するだけよ。いざとなったら奥の手を使うから」


「奥の手……一体どんな……」


 キャロルちゃんがゴクリと唾を飲み込む。


「私がいない間、子ども達をお願いできる?」


「分かりましたわ。お姉さま、くれぐれも無理はなさらないで下さいませ」


 救援はまだこない。でも、敵の人数はそう多くないことが救いだ。温室に何人いるか分からないが、建物の規模から見てそれほど多くはないだろう。


 植え込みに隠れるように身を低くしながら温室へと向かう。


「話が違うわっ!」


「黙れ」


 温室の前で言い争っている男女の声に息を飲む。あの男だ。


「私を王妃にしてくれるって言ったじゃない!だから私はずっとあなたに協力してきたのに!」


「くく、そんなこと本気で信じてたのか?お目出たいな……」


「なんですって……」


「お前のような庶子が王妃になれるとでも?身の程を知るがいい」


「そ、そんな。あんなに、あんなに尽くしてきたのに。お姉さまを手に掛けたのだって!あなたのためだったのに!」


「嘘をつくな。憎かったのだろう?お前と違い賢く、美しく、両親の愛情を一身に受けていたジョセフィーヌのことが。ジョセフィーヌさえいなくなれば公爵家の財産を好きにできるとでも思ったんだろう?愚かなことだ。実際には全てジークハルトに遺されるんだからな」


「くっ……あのとき、ジークハルトさえ殺せておけばっ」


「お前も俺も同じだ。お互い利用価値があったから利用しただけ。だが、もうお前に利用価値は無いようだな」


「なっ!何を!?」


「身分のある女も金になる女も手に入れた。もはや面倒なだけのお前の相手も疲れたしな……」


「いやっ!いやよっ!」


 次の瞬間飛び出していた。


「待ちなさいっ!」


「お前は……」


 剣を持つ男を睨みつける。今、絶対にこの女を殺そうとしていた。


「あんた、最低ね……」


 女を後ろに庇いながら逃げるように促すが、腰が抜けてしまったようだ。


「大人しくしておけと言ったのに……どうやって縄を切った?」


「あんたに教える必要はないわ」


「ほう、せっかく生かしてやろうと思ったのに殺されたいらしいな?」


「やれるもんならやってみなさいよっ!」


 一歩も退かずに睨み付ける。怯えたら負けだ。


「随分気の強い女だな……面白い。その態度、どこまで続けられるか試してみようか」


 一発でいい。眠り針を撃ち込むことができればこの男だって動けないはず。勝負は一瞬……


 次の瞬間思い切り髪を掴まれ後ろに引き倒される。


「なっ……」


「冗談じゃないわ?この女ね。この女のせいで私を殺そうとしたのね……」


 嫉妬に狂った恐ろしい顔をした女が私を覗き込んでいた……


いつも読んでいただきありがとうございます♡

ちょっとでも面白い!続きが気になる!と思っていただけたらブックマーク&評価をして応援して頂けると嬉しいです(*´▽`*)

感想&レビューもいつでもお待ちしてます!

お気に入り登録お待ちしてまーす♡

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋する辺境伯シリーズ
高嶺の令嬢と諦めてたけど馬鹿王子がいらないっていうから貰うことにした。今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して?
ロイター辺境伯シリーズ~子ども世代~
俺の婚約者が可愛くない
最新作
亡くなった夫の不義の子だと言われた子どもを引き取ったら亡くなった婚約者の子どもでした~この子は私が育てます。私は貴方を愛してるわ~
しましまにゃんこさん累計ポイントランキング
総合評価:29,248 pt
ジャンル:異世界 〔恋愛〕
短編(全1話) 9,089文字
あらすじ等
わがまま姫と評判の公爵令嬢が選んだ結婚相手は貧乏伯爵家の三男坊!? 激高する王子に突きつけた婚約破棄の真相とはっ!? 婚約破棄からはじまる正統派ラブストーリー! 作品はすべて、カクヨム、アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+さんでも掲載中、または掲載予定です。
キーワード: 身分差 ヒストリカル ラブコメ 貴族 騎士 わがまま令嬢 溺愛 ハッピーエンド 婚約破棄 ざまあ キルタイム異世界大賞 貴族学園 アイリスIF3大賞
投稿日:2021年4月12日
最終更新日:2021年4月12日
総合評価:26,324 pt
ジャンル:異世界 〔恋愛〕
短編(全1話) 1,683文字
あらすじ等
冤罪で王子から婚約破棄され、屈強な男でも三日と持たないと言われるほど過酷な炭鉱送りになった悪役令嬢のリリアナ。 ───三ヶ月後、彼女は最愛の父に近況を書いた手紙をしたためる。その驚きの中身とは? チートな爆炎魔法を使える悪役令嬢が、過酷な環境もなんのその、ちゃっかり幸せを掴むお話です。手紙形式になっています。 シリーズ化しました! 「リリアナちゃんとゆかいな仲間たち」 作品はすべて、カクヨム、アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+さんでも掲載中、または掲載予定です。
キーワード: 異類婚姻譚 身分差 ヒストリカル 悪役令嬢 日常 ラブコメ 女主人公 溺愛 獣人 ハッピーエンド 婚約破棄 追放 ほのぼの キルタイム異世界大賞 リリアナちゃん アイリスIF3大賞
投稿日:2022年5月2日
最終更新日:2022年5月2日
総合評価:14,060 pt
ジャンル:異世界 〔恋愛〕
短編(全1話) 2,631文字
あらすじ等
貴族学園の入学を祝うパーティーの席で、いきなり婚約者である第三王子に突き付けられた婚約破棄! 「お前のような野暮ったい女と結婚するくらいなら、生涯独身のほうがまだマシだっ!」 「承知しましたわ。今日からは、自由の身です!」 学園生活が始まる前に婚約破棄されちゃった公爵令嬢が、したたかにミラクルチェンジしてハートをズッキュンするお話です。 作品はすべて、カクヨム、アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+さんでも掲載中、または掲載予定です。
キーワード: ヒストリカル スクールラブ ラブコメ 婚約破棄 地味令嬢 華麗に変身 美少女 ほのぼの ハッピーエンド 学園 ギャップ萌え 女主人公 ネトコン11感想 異世界恋愛 【短編】
投稿日:2022年4月4日
最終更新日:2022年4月4日
総合評価:13,832 pt
ジャンル:異世界 〔恋愛〕
短編(全1話) 4,632文字
あらすじ等
ダイナー公爵令嬢シルフィーは、聖女ユリアナを殺そうとしたという無実の罪を着せられ、投獄の上一族そろって処刑されてしまう。死の間際、シルフィーは自分と家族を殺した者たちに復讐を誓い、もし生まれ変われるなら、復讐を果たす力が欲しいと神に願う。 だがシルフィーは、虐げられる薄汚い孤児として転生していた。前世の記憶を取り戻し、力のない現状を嘆くシルフィー。しかし、そのとき彼女の胸に、聖女の紋章が浮かび上がる。 「ふふ、あはははははは!」 力を得た彼女の復讐が、今ここに幕を開けるのだった。 作品はすべて、カクヨム、アルファポリス、エブリスタ、ノベルアップ+さんでも掲載中、または掲載予定です。 ...
キーワード: 身分差 悲恋 ヒストリカル 悪役令嬢 ネトコン11感想 冤罪/処刑 聖女/復讐 婚約破棄 ざまぁ ハッピーエンド
投稿日:2023年7月22日
最終更新日:2023年7月22日
総合評価:13,712 pt
ジャンル:異世界 〔恋愛〕
完結済(全8話) 10,193文字
あらすじ等
賑やかなパーティー会場から離れ、一人バルコニーに佇むエリーゼ。 公爵令嬢である彼女は、今日も浮気な婚約者に悩まされていた。 エリーゼに見せつけるように、他の令嬢と戯れるアルバート。 本来勝気なエリーゼは、自分よりも身分の低い婚約者に対して黙っているようなタイプではなかった。しかし、エリーゼは不実な態度を取り続ける婚約者に対して強気な態度をとれないでいた。 なぜなら、うっかり聞いてしまった友人たちとの本音トークに、自分自身の足りなさを知ってしまったから。 胸元にそっと手を置き嘆くエリーゼ。 「いいわね、見せつけるものがある人は……」 女の価値は胸の大きさにあると豪語する婚約者の言葉に、すっか...
キーワード: 貴族令嬢 婚約破棄 浮気 コンプレックス 溺愛 ざまぁ ハッピーエンド イケメン王子 女主人公 真実の愛 ネトコン11感想 貴族学園
投稿日:2022年10月20日
最終更新日:2022年10月20日
新作
無実の罪で投獄され殺された公爵令嬢は私です。今から復讐するから覚悟してくださいね。
公爵閣下!私の愛人になって下さい!〜没落令嬢の期間限定恋人契約〜
公爵閣下の溺愛花嫁~好色な王の側室になりたくないので国で一番強い公爵閣下に求婚したら、秒で溺愛生活がスタートしました~
王太子殿下に優しくしてたら公爵令嬢と婚約破棄をすると言い出したのでちょっと待ってほしい
初夜に「別にあなたに愛されたいなんて思っていない」と告げたところ、夫が豹変して怖い
裏切られ捨てられた竜騎士は天使な美少女に恋をする〜ねぇ、これって運命の恋だと思わない?〜
意地悪な大聖女の姉と美しいだけで役立たずの妹~本物の聖女は隣国で王太子殿下に溺愛されているというのは内緒~
ヘッダ
新着順① 総合評価②順 エッセイ③ 詩④ 異世界⑤ 貴族学園⑥ リリアナちゃん⑦ つよつよ短編⑧
フッダ


ヘッダ
わがまま

わがままはお好き?
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「ジークハルトさえ殺せておけば」 殺「し」ておけば、殺せて「いれ」ば、ではなかろうかとモンモンとしております(笑)
[一言] 女の嫉妬怖い……( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ