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黒瀧 凛と、九重 優馬は、最終的にテンパる。4

それから、とりあえず俺の家に凛をつれてくる。


「ただいまー」


「お、おじゃましまーす…」


「あ、どうせ誰もいねぇから気つかわなくていいぞ、でもさすがに、女の子家に泊めるとか言ったら、親キレると思うわから、絶対バレないように俺の部屋いっといて、2階だから」


「わかったわ」


凛を部屋に行かせ、二人分のお茶を準備しながら、頭をもう一度整理する。


俺は千聖が好きで、凛は黒崎が好きで…千聖も黒崎が好きで…って、考えてると同じ男子として虚しくなるな…てか、なんでアイツあんなモテんだよっ!確かに背高いし、優しいし、イケメンだけどさ…こんな違うもんか…?


「やべ、負のスパイラルにはまりそうだ…考えるのはよそう…」


俺はつぎおえたお茶をお盆にのせて、凛の待つ俺の部屋へと向かう。


「てか…諦めない方にベクトルかえたのはいいとして…でも協力するっていっちまってるしなぁ…」


――カチャ…ドアを開き、部屋へと入る。すると、人のベッドに膝立ちになり、カーテンの隙間から、千聖の家を覗く怪しい女が1人。


「凛、おまえ…さっそくかよ」


「しー!」


凛は俺の言葉を制止し、ちょいちょいと手招きをする。俺は、持っていたおぼんを起き、言われるがままに凛へと近づく…と、グイッと服を引かれ、凛の顔の真横くらいまで引き寄せられる。


(ちかっ…! あと、めっちゃ良い匂いする…!)


「ちょまっ! 凛! ちけぇ!」


「いいから! ちょっとあれどういう事?! 見てみなさいよっ!あれ!」


俺は言われるがまま窓から凛の指差す方を見る。すると、そこには…


「ちょっと、黒崎くんがなんであの子送ってるわけ?! それに、それに…今の…」


「ああ…」


そこには、千聖を抱き寄せる黒崎の姿があった。てか、いきなりこんな親密になるもんなのか?なんかの間違いじゃ……?ヤバイ、思った以上にハートへのダメージがデカい……!


俺はもう一度、窓から覗く。そして、速攻で顔を窓からはなす。

俺の慌てぶりに、凛が


「ど、どうしたのよ?」


「いや……その、別になんでもねぇんだけど…」


2度目には、とても恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑う千聖の顔が見えた。


「あーもう! 最悪だわ…っ! てか、なんで黒崎くんが…楢橋さんを送ってんのよ…! アンタ、なんか知ってる?」


「いや、その…それはだな…」


「知ってるのねっ!!」


俺は黒崎が千聖を送った経緯を説明する。すると凛は


「ほんとにアンタばかじゃないのっ?! 好きな子送らせるとか! 自分が連れて帰るくらいの甲斐性みせなさいよねっ!」


「いや、それは千聖に黒崎と仲良くなりたいからって頼まれてたから気ぃつかって…それに、まさかあんなに一気に進展するとか思わねぇじゃん…!」


「なに?まさかアンタ、いっちょ前に凹んでるわけ?」


「う、うるせぇ」


「はぁ~…」


凛は、俺の表情を見て、ため息をつく。


「…だいたい、その相談の時に言っちゃえば良かったのよ、好きって…!そしたら、こんなことには…」


「か、簡単に言うなよ! ならおまえは言えんのかよ?!」


「言えるわけないでしょ! フラれたら怖いじゃないっ!」


「俺だってこええよっ!」


再び睨み合いをする…


「な、なによ!」


「なんだよ…!」


と、下の方から玄関の開く音が聞こえた。


――ガチャガチャ…


「…?」俺は少し考えてから…



「やっべぇぇえ!」


「ちょ! 急になっ…わぷっ!」


俺は凛に掛け布団をかぶせ、そのまま押し倒す。もごもごと言いながら反抗するが、俺はギリギリ凛に聞こえるくらいの声で


「す、すまん!でも、今は落ち着けっ! 親帰ってきたかもっ!」


突然の事に暴れていた掛け布団は沈黙する。俺は、あわててベッドから飛び降り、更に頭をフル回転させていく…!


(ぐああああっ! まず凛の靴隠し忘れたっ! つか、なんで俺は一時のテンションで凛泊める流れにしちまったんだ…っ!くそっ! そういや、アイツ親とかにはうまいこと言ってんのか?! だぁぁぁあ! それどころじゃねぇ!)


そんなことを考えながら、階段をかけおり、玄関へと急ぐ。


(帰ってきたのは親父か? それとも母さんか?! なんにせよ、いつも通り「おかえりー」ってテンションで……っ!)


「あ、優馬…開いてたから勝手に入っちゃった…へへへ、ごめんね? でも、ちゃんと鍵しなきゃダメだよ? 悪い人来たら大変なんだからね?」


まさかの千聖だあああああっ!? 嘘だろ?! マジで、なんでこいつ来たの? 今、そこで黒崎と楽しそうにしてたじゃんっ!


「お、おう…どうした?急に…」


「へ? ふふふふふ…黒崎くんに送ってもらっちゃったから、その報告とお礼をと思って!」


「いや、別にそんな…わざわざ良かったのに…」


「えー? そんな寂しいこと言うなよー! それに、なんか疲れちゃったから…優馬の顔みたいな…って、へへへ」


千聖は無邪気に笑う。やばい、ちょっと嬉しい…とかいってる場合じゃない! それどころじゃない! 部屋にだけはいかないように阻止しなければっ…! あらぬ誤解をうみかねないっ!! てか、色々とまずいっ!


「は、ははは何いってんだよ…とりあえず、その…リビング…」


「部屋いって良い?」


「え?!」


「え?どうしたの?とりあえず…」


「いーやぁあ~…どうかなぁ~…?散らかってるから避けてほしい的な~?…」


千聖が、明らかに怪しむようなジト目でこちらを見ている…俺は、目を合わせられず、視線を横にながし、頭の後ろをかく。


「……優馬」


「な、なんだよ…?」


「優馬が頭の後ろかく時って、隠し事してる時とかに、誤魔化そうとする時の癖だよね…?」


ぐわあああ!さすが幼馴染みっ! よく見てらっしゃるっ!


「さては…新しいエッチな本でも隠してるな?」


千聖はニヤリと笑うと全力で俺の部屋へと向かう。


「おっじゃまっしま~すっ!…からの、ダッシュ!」


「千聖っ! ちょまっ…!」


俺の伸ばした手をひらりとかわし、ダッシュで階段へと向かう。俺もすぐに追いかけ、ダッシュで千聖に追いすがる。が…


――ガチャン!


「エッチな本はどこだーっ!」


急に開かれたドアの隙間から、一瞬、掛け布団がビクッとなるのが見えた。


こいつはヤバイ……








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