表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気付いたら、異世界。  作者: hinase
*第一章
6/7

04 貨幣価値と泊まる場所


先程は横目でちらりと眺めるだけだった広場の屋台を少し遠くから覗き、気になる物を見詰めて鑑定してみると、ステータスと同じように半透明の画面のような物が浮かび、商品の名前と一緒に簡単な詳細だと思われる説明書きが表示された。


何か軽食でも買って、大体の金銭感覚を掴もうと思っていたが、寸前で思いとどまり、屋台の影でポケットから適当に取り出した硬貨を鑑定してみる。


狙い通り、硬貨の名前の横に日本円での表記を見つける。


(まぁ、わざわざ買い物しながら確かめるのは正直面倒くさかったから良かった)


鑑定で調べた結果によると、この世界の通貨の単位はバルクと言うらしい。

大体、1バルクで10円くらいの価値があるみたいだ。


コインの種類は下から銭貨1枚1バルク、鉄貨1枚10バルク、銅貨1枚100バルク、大銅貨1枚5千バルク、銀貨1枚1万バルク、大銀貨1枚5万バルク、金貨1枚10万バルク、大金貨1枚100万バルク、晶貨1枚1000万バルクとなっているみたいだ。


つまり、今の琥珀の所持金は日本円に換算すると、26万4800円という事になる。


てっきり、1バルク1円ぐらいに考えていたので、想像よりも大金だった事に驚いたが、おかげで暫くは宿代の心配をしなくて済みそうなのでほっとした。


腕時計で現在の時刻を確認すると、午後6時を少し過ぎた所だったので、とりあえず今日の宿を探す事にする。


(どうせなら冒険者ギルドで聞いておけば良かったな……)


広場の隅から適当に外壁沿いに歩いて行くと、街門と冒険者ギルドのちょうど中間ぐらいの場所で、探していた宿屋の看板を見つける事が出来た。


看板にはベットの絵が書かれ、その横にはお酒の瓶とジョッキと思われる絵が描かれている。


近づいてよく見てみると、両開きの扉には大きく『グリース酒場』と書かれていた。

その文字の下に、小さく『ミストルテの宿』と書き込まれているが、とても小さい文字で書かれているので、本当にやっているのか少し不安になる。


琥珀が扉を開けて中へ入ると、入り口から正面に位置する場所に宿の受付カウンターが設置されていた。カウンターの右手奥が後ろの宿へと続く入り口、入ってすぐの右手側の壁にある扉が酒場への入り口になっている様だ。


無人のカウンターに近づいてみると、カウンターの上には手持ちのベルが置かれていたので、多分これを鳴らして従業員を呼ぶのだろう。


ベルを鳴らそうと手を伸ばした所で、横の扉が開いて大柄な男性が顔を出した。


「おっと、客か?」

「宿泊したいんですけど……」

「おう、ちょっと待ってな」


そう言って男性は宿に繋がる入り口から奥に向かって大声で声をかけた。


「マーサ、客が来てんぞー」


少し経って、奥の方から女の人の声で「今忙しいから、あんた受け付けしといとくれー」と怒鳴り返す声が聞こえて来た。


「悪いな、今ちょっと手が離せねぇみたいだ」


男性はそう言うとカウンターの下から紙の束を紐で括ったノートの様なモノを取り出してカウンターの上に置かれているインク瓶と一緒に琥珀の前に置いた。


「俺はそっちの酒場の料理長でトルガ、さっき返事してたのが俺の妻で宿屋の方をやってるマーサだ」

「よろしくお願いします」

「おう、よろしくなー」


トルガはインクをつけたペンを琥珀に渡してから、紙束を捲って記入する場所を丁寧に指差して教えてくれる。


「ここに名前な、それと職業、人数、部屋の希望は個室ならこっち、大部屋ならこっちに希望の日数を書いてくれ。最後にあんのが風呂と食事な? 必要なら○で囲っといてくれ」


琥珀は用紙に自分の名前を"クロ"と記入した所で手を止める。


「あ、職業は書かなくても良いぞ。たまに荷物置いたまま帰ってこねぇやつがいっからな、一応冒険者かどうか確認する為のもんなんだ、冒険者ならギルドが荷物を引き取ってくれっからな」

「……ここって、1泊いくらですか?」

「悪い、言ってなかったな! 個室なら1人400、大部屋なら600。それと風呂が200で、食事が100だ。後、うちは前払いだから気を付けてくれ」

「わかりました」


琥珀は職業の欄は空白にして、1人、2日、最後のマークの所はどちらも○をしてインクとペンを戻す。


トルガは台帳にさっと目を通してから、紙束を元の場所にやや乱暴に戻した。


「食事は朝と夜の2回な、朝は6時~10時まで、夜は17時~21時までな?食堂は酒場と一緒だから、夕食の時は酔っぱらいに気を付けてくれ。風呂は20時~24時だ、場所は入り口の横に案内図があっからそこで確認してくれ。洗濯もんは籠一杯で20バルクだが、必要か?」

「大丈夫」


トルガは渡された代金を確認してエプロンのポケットにしまい、カウンターの後ろの棚から取り出した鍵に付いている紐を解いて赤と青の木札を通してから結び直し、琥珀に差し出した。


「じゃあこれが部屋の鍵な! お前さんの部屋は106だ。青は風呂、赤が食事アリって意味だから外さない様にしてくれ」

「ありがとう」

「夕食の受付は7時から、メニューは入り口の脇にある張り紙で確認してくれ。風呂の方は、朝6時~夜の24時までなら好きな時に使って良い。青い方の木札を扉に翳すと鍵が開くようになってるからな。他に何か気になる事はあるか?」

「大丈夫です」

「ま、何か分かんない事があったら何時でも気軽に声かけてくれ!」

「わかりました。ありがとうございます」


琥珀は受け取った鍵をポケットに仕舞い、トルガに礼を言ってから奥へ続く入り口をくぐり、入ってすぐの壁に掛かっている案内図で風呂と自分の部屋の位置を確認し、部屋へと向う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ