第2話
作中に登場する手紙は、史実では存在しないものです。内容も私が考えました。
では、どうぞお読みください。
…あ、そうだ。この後のやつも読んでくれると嬉しいです。
〈登場人物〉
・大日本帝国海軍連合艦隊司令長官
山本五十六元帥海軍大将
日本海海戦等に参加した、軍人。子供の頃から海軍の話を聞かされていたため、海軍兵学校を志望し、200人中2位で入学した。真珠湾攻撃の案を何年も前から構想していたりする、策士であったがアメリカと開戦状態になるのは反対であった。
・大日本帝国海軍連合艦隊第一航空艦隊旗艦『赤城』艦長
長谷川喜一海軍大佐<最終階級は海軍中将>
『龍驤』の艦長や数々の航空隊、艦隊の司令官を経験した軍人。埼玉県生まれで、海軍水雷学校高等科で学んだ。
参考:Wikipedia
1941年11月25日、大日本帝国北海道択捉島単冠湾。
昨日は、艦長は会議や面談や食事会やらで赤城には居らっしゃらなかった。仕方がないので待っていたら、すっかり辺りは暗くなり、結局寝てしまった。
だが、今日は絶対いらっしゃる。なにせ、伊藤少尉がそう言うのだ。頼りないと思う人もいるだろう。だが、証拠が証明されなくとも信じてしまう程、伊藤少尉の情報は正しい。今まで、そうだった。
私は、海軍の純白の制服を身につけ、白手袋をはめ、制帽を被った。
身だしなみが整ったことを確認し、副長室の扉を開ける。
しばらくして、艦橋に着いた。
艦橋の窓から外を眺めているのは、長谷川喜一艦長である。
「艦長。山本五十六連合艦隊司令長官殿から、直筆の手紙を預かって参りました。」
長谷川艦長が、ゆっくりと振り向く。
「内容は?」
「…読み上げても、宜しいのですか?」
私は、慎重に問いかけた。
「構わない。読んで聞かせてくれ。」
「分かりました。では……我々は、作戦実施ニ必要ナル部隊ヲ適時作戦海面ニ向ケ進発セシムべシ、との大海令の通達を以て、貴艦隊はハワイ島北へと進軍。中米英蘭国軍の挑戦を受けたる場合は、武力行使もやむを得んとす。直後、ハワイ諸島の真珠湾を貴艦隊が強襲する。今日の日本海域は荒れに荒れている。灰色の艦隊に注意せしむべし。作戦開始は、直前に報告す。新高山を登る日は近い………」
読み終えた後、しばらくの沈黙があった。すると、長谷川艦長が口を開かれた。
「真珠湾攻撃……今、このときにやるのか…」
「艦長。この際なので、聞かせていただきます。灰色の艦隊とはなんですか?なぜ、今やるのを躊躇うのですか?」
私は、勢いに任せて艦長に質疑をした。無礼であったことは、重々承知だ。だが、やはり“灰色の艦隊”とは意味が分からない。…写真で写せば、モノクロになるな。……いやいや、さすがにこの事じゃあるまい。
私が質問しても、長谷川艦長は口を開かず、ずっと飛行甲板を眺めていた。
私は俯きながら、
「失礼します。」
と一礼をして、艦橋を後にした。
私も、特にすることがないのでデッキに出て、飛行甲板に埋められた板を見ていた。よく見ると、新しい板が所々にある。そして、外は寒い。ここは、北の方だから当然なのだが。
そうして、時間を無駄に過ごしていると遠くから甲高い音が響いてきた。私は、後部デッキの方に出ていたのでその正体はすぐに分かった。
第一航空艦隊の戦闘機、爆撃機、攻撃機群だ。航空機は、かなり密集していて、まるで集団行動をする鳥のようだ。
航空機は着艦のため、航空母艦の周りを回り始める。そして、隊長機が綺麗に飛行甲板に吸い込まれていくように着艦した。すると、隊長機の『零式艦上戦闘機』から下げられていたフックに速度を抑えるためのワイヤーが架かる。機首が少し前のめりになりながらも、急速に減速し赤城の飛行甲板に押さえつけられた。そこに、袖で待機していた整備士の三人が駆けていった。次が着艦するまでに、これを格納するか、邪魔にならない場所に移動しなくてはならない。右翼、左翼、水平尾翼に一人ずつ付き、押し始めた。操縦士は引き続き、航空機を動かすためラダーを踏んでいる。
隊長機が少し移動したところで、二機目が着艦に入った。隊長機よりは、風に煽られて少しぐらついている。それは気にせず、問題が無いように着艦していく。
私は、航空機が迫ってくる様を全ての機が着艦するまで見ていた。
読んでくれて、ありがとうこざいます。