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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第一章~魔王の目覚め~
9/96

9、納得出来ないが、どうやら俺は高額納税者で英雄らしい……

「お、チイユおはよ」

「ジンさん、おはよっす、一緒に食べるっす」


翌朝、バイキングスタイルのモーニングを食しに2階フロアの食堂に行くと、チイユが先に食してた。

皿てんこ盛りのモーニングはとても朝食の盛り方には見えなかった。

そう言えば、こいつ腹回りに少し脂が乗ってきたような……


「お前、少し食い過ぎじゃないか、折角少女設定なんだから、もう少し食いもんとか気ぃ使えよ」

「あぁ~女の子に太ったとか言ったらダメなんす、酷いっす、殺しても免罪す」


スパゲティの麺が口から飛び出して、ケチャップを口の回りにつけて放つセリフじゃねーだろ。


「ローヤ達はまだ寝てるのか?」

「分からないっす、それより食べるっす」


手際よく俺の分を取り分けてくれた、さすが俺の好みをよく把握してる。

また、青髪の少女がおっさんと重なって見えてしまう。

オーケーオーケー、俺は今日も正常だ。


そう言えば、チイユ達が洞窟に助けに来てくれたのは、イベントの兆候“揺れ”があった為、万が一にも、万が一があったら大変だという事で、チイユが最初の揺れで飛び出して、ローヤがそれを追いかけ、追いかける段階でイベント参加を伺ってた連中を急拵えで雇いあんなにも速く駆けつけてくれたという事だった。

結果的には俺のスキルで飛竜を倒したんだが、結局はチイユに助けられた形になった。


「ありがとな」

「良いんすよ、ジンさんは凄いっす」


いつも俺を信じてくれるこいつの言葉に、込み上げて来る熱いモノを、俺は必死に朝食と共に飲み込んだ。


「あ、でも覚悟して下さいっす、城下町は大変な事になってるっすよ、きっと」


チイユの悪そうな笑顔の理由を後で理解する事になるが、取り合えず当面の心配事、アリィへの大金貨の返済方法について考えていた。


「あ、アリィには大金貨返済してるっすから大丈夫っすよ」

「……?」

「あと、これジンさんの大道具入っす、中には、ジンさんがスキルで使いそうだったから、大金貨10枚と金貨100枚と回復薬とアイテムを一つ入れてるっす」

「……⁉」

「アイテムは、デリケートなモノっすから、あとで説明するまでは絶対使ったらだめっすよ」

「……???」

「……?どうかしたっすか?」


どうかしたじゃねぇ、突然分けの分からねぇ会話を降られても俺は頷いて、受け取って、頷く事しかできねぇからな。


チイユの説明不足を補うと、イベント終了後には、扉が出現して、そこに一人だけが入れるらしい。

扉を開ける鍵はイベント対象が討伐クエストの場合は、対象の獣の中に鍵となる核があってそれを取り出して扉を開ける事が出来ると言う事だった。

飛竜を倒し出現した扉には、チイユが入って中からアイテムを持ち、取り合えずな形で分配したらしい。

金額が金額、アイテムがアイテムだった為に、何もやってないローヤやその雇用者に対して適当に金貨を支払って、アイテムは全てチイユが保管して、アリィには大金貨5枚渡したという事だった。

でも、“全部取り合えずの措置だから、ここからの詳細はジンさんが決めるっす”と言うチイユの言葉を遮って、全てチイユに任せた。

だって、明らかにこういう事、そういう事に関してはチイユの方が長けている事を俺は知ってる、……というか、俺には無理だ。


しかし、益々ゲームっぽくなって来やがった。


「だってここは、“ワドエン”ゲームの中っすもん」


こいつは、ゲームの中だと信じて疑わない。

じゃあ、どうやって、何がどうなってこうなった?

俺は、俺達はもっとこの世界の事に関して知らなければならない。


「見てっす、ジンさん、この見た目バッタみたいなやつ、中は伊勢海老見たいな身がギッシリ詰まってて、めちゃくちゃ旨いっす」


でも、こいつを見てたら何とかなりそうな気がしてくるから不思議だ。



ローヤと、アリィは先に王都の城下町に戻ったらしいと言う事で、俺達はゆっくり準備をして、昼過ぎに宿を出た。

行きに2週間程かかった道のりを半分の1週間で通る事が出来た。

身体能力の向上を感じる。

これも、チュートリアルの恩恵らしい。


城下町に戻り、チイユが食堂で言った言葉を思い出した。

“大変な事になっている”大変とはこの事だったと一目で理解出来た。

門の入り口には、“ジン様 チイユ様”飛竜討伐!と、巨大な垂れ幕が下がり、俺達が戻るのを数百人の兵士が整列して待ち受けていた。


いつから待っていたのかチイユに聞くと、きっと1週間前から出迎えていたんじゃないかという話だった。


城下町はお祭り騒ぎだ。


中央の広場では、飛竜の肉が振る舞われていた。

ローヤが持ち帰ったモノらしい。


ちなみに、祭りも1週間ずっと続いているらしい。


俺達は、いや、俺だけか、チイユはこうなる事を予想していたらしい。

俺は、分けも分からず、大臣という男の案内で、遠巻きに見た事しかなかった“ルシアン王国”の城へと案内された。

城への道中は、城下町の人々から盛大なる歓迎を受けた。

熱烈な歓迎を受けた。

女達は群がり、軟らかな感触が至る所に触れる。

男達は歓喜に震え感動に満ちていた。


こんな経験今までにある分けの無い一般市民の下の下の下の底辺住民だった俺の顔はきっと固まってただろう。


俺は、王への謁見でもあるのかと、少しだけ、よく分からない期待をしていたんだが、城に通されてその対応の事務っぽさに驚いた。

あまりにも、外の様子と違い過ぎる。


「この度は、飛竜討伐お疲れ様でした」

「ここに、もたされた恩恵のリストの記入と、納税額を記入をお願い致します」

「はいはい、任せるっす」


チイユは慣れた手つきで記入を始めた。

税ってなんだよ⁉

俺が怒りを表に出すと、不満そうな顔の大臣にチイユが頭を下げ、笑顔で俺に微笑み“オイラに任せるっす”と言われ、何も分からない俺はチイユに全て任せた。


~納税~

大金貨150枚

聖邪の鎧(メデューサ)

他、アイテム諸々


大臣は、俺に対しての不満な顔から一転して、満面の笑みで書類を受けとると、何かをチイユに渡した。

そして、俺とも溢れんばかりの笑顔で握手を求めて来た。

中でも、“聖邪の鎧(メデューサ)”には驚嘆していたが、それが何なのか俺には理解出来ず、愛想笑いが精一杯だった。

その様子を見守る、城の人々から称賛の拍手が降り注いだ。


「オイラ達は、ルシアン王国の英雄になったっす」


英雄?相変わらず何が起きているのか理解出来なかったが、その日からルシアン王国では、英雄ジンと英雄チイユを知らない者は居なくなった。


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