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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
89/96

88、終わりの前の世界

――


「……」

「……」

「……」


「ここは?」


見渡す限りの地平線。

柔らかい草がどこまでも続き、爽やかな風が絶えず吹き続ける草原だ。

俺の隣にはあ、俺の手を握りしめるチイユの姿があった。


「ここは、“WORLDEND”この世界のエンディングの世界だと思うっす」


青い髪を爽やかな風に靡かせ、まっすぐに正面を見据えて俺の問いに答える。


「これから、俺達はどーなるんだ?」

「分からないっす、でも、ただ、この場で待つしか無いっす」

「待つって何を?」

「“最後のイベント”を、っす」


小鳥が空を飛んで行く。

さっきまでの光景とはまるで違う平和な光景は、まるでチャンネルを変えたように俺に違和感を残す。


「本当は、全ての“神の宝具”を集めて、特定の数ある条件を揃えないと辿り着けないんすけど、ジンさんがすべて壊すから」


そう言うと、少女はそっとこちらを見上げて微笑みかけてきた。


「怒って無いっす、その反対っす、オイラはジンさんを尊敬して、崇拝して…… 違うっすね、ただオイラは単純にジンさんの事が大好きなだけっす」


チイユは視線を前に戻して、嬉しそうに笑っている。


「だって、色んなイベントの為に積み上げてきた全ての伏線を全部無視して、壊してエンディングに辿り着いたんすから、そんなの神様でも予想出来なかったんすよ」

「さっきから、伏線って、何を言ってるんだ?」

「ただ…… 待てば良いんすよ」


気持ちの良い風の流れに身を任せ、髪を靡かせ、瞳を閉じる。

よく分からない俺も一緒に瞳を閉じて見ると、唇に柔らかな感触が重なる。


「チイユ?」

「オイラずっとこうしたかったんすよ? ダメっすか?」


さっきまでの幸せな表情を風に流されたように、不安そうな表情を浮かべている。

そんなチイユを抱き締め、今度は俺からゆっくりと唇を重ねた。


「やれやれ、何をしてくれてるんだい? こんな所で」


突然頭の中に、傍若無人に土足で上がり込んで来た声の主を探した。

その間も、チイユを離す事はしなかった。


「それで、一人だけなんだけど、イベントに参加出来るのは」


突然に俺達の前に金色に光る、イベント達成時に現れるそれと同じ扉が現れた。

しかし、その扉は今までのどれとも比較にならない程に大きかった。

まるで、突然目の前にビルでも降ってきたのでは無いかと思うほど巨大なそれは、音も無く現れた。


「もちろんジンさんっす!」

「僕はね、その男は嫌いなんだけど」

「うるさいから、早く扉を開けるっす! 入れるっす!」

「分かったよ、さぁ、どうぞ」


頭の中に響く声と共に、ゆっくりと、これもまた音も無く扉が内側に開かれる。


「待てよ、離れたく無い……」


本音だった。

今やっと繋がれたと思ったばかりのチイユと離れたく無かった。


「大丈夫っす、オイラの事は信じるっす?」


あぁ、当然だ、言われるまでも無い。

お前のやる事が全て嘘でも俺は信じるに決まっている。

何故なら人を愛するってそう言う事だろ?


「ありがとな」

「な、何を言ってるっすか? 感謝するのはオイラの方っすよ……」


「ちょ、な、うっ」


まだまだ何かを言いたそうなチイユの口を無理矢理に塞ぐ。

さっきは自分からしてきたくせに、恥ずかしそうに目をギュッと瞑って俺に身体を委ねている。


「じゃあ、行って来るぞ!」

「行って来るっす!!」

「はいはい、終わりましたか? 早くしておくれよ、そんな茶番は見たくないので」


扉が気持ち少しだけ閉じた気がした。

俺達は視線を交わすと、そんな声の主が可笑しくて少しだけ笑ってしまった。

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