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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
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84、極めし力

煉瓦作りの簡単な建物が立ち並ぶ第二階層。

その中で暮らす住民は皆無なのに、なぜかつい最近まで使用していたような生活感が溢れている。

中には、野菜や干し肉や果物まである。

地面には石畳が敷かれていて、戦いの後だろうか、所々激しく損壊している。


「第二階層も大方殲滅しているようだな」

「そうだね、私の計算では、10階層までは区にならずに通りすぎる事が出来るんじゃないだろうか?」

「10階層って言うが、一体何階層まで制覇すれば良いんだよ?」

「それが、全知全能を持ってしても分からないんだ」

「全知全能なんだろ? どーして分かんねーんだ?」

「それが、毎回異なるから分からない、ようはランダムと言う事だよ」

「なるほどな」


そう言う事だったらしょーがない。

運が悪ければ、途方も無く、この分けの分からない階層が続くという分けか。


「大体でも分かんねーのか?」

「最大で100階層、最低で20階層といった所だが、もう既に塔が出来てしまった以上、私達に出来る事は制覇する事だけなんだ」

「そーだな、だったらこれ天井でも破壊するか?」

「なるほど、確かに、確かにそうですね、それは考えた事も無かった」


エンディはそう言うと、大道具入からさりげなく“神の槍”なるモノを取り出した。


「おい! それは!!」

「あぁ、これですか? これは今回、この塔の攻略の為に要塞都市クリオネからお借りした物です、略奪したりはしてないから心配しないで下さい」

「それをどーやって証明するんだ!?」

「簡単な事です、ここから出た後考えれば良い事でしょ?」


確かにそうだが、そう言う問題でも無い気がするが、そういう事なんだよな。

俺がそんな事をを考えていると、躊躇せず魔力が迸る“神の槍”を天井目掛けて投げつけた。

迸る魔力は金色に光を放ち、触れるモノを焼き焦がす。

空気を振動させ天井に向かって一瞬にして距離を詰めると、何事も無かったように、カランっと音を立て石畳に落ちて来た。


「魔力、物理攻撃無効という事か……」

「折角の神の槍が無駄だったな」

「いや、これはこれで、一つの大発見だよ、無駄では無い!」


どう考えても無駄に神の槍を使ってしまったんだから無駄以外の何物でも無いとは思うが、ここでエンディと討論する事が無駄だと理解した。


「行くぞ! 地道に上るしかねーんだろ!」

「あぁ、その通りだとも、そしてジン君、そっちじゃ無い」


だから分かってるって。そもそもどーやってお前は上に行く方角が分かるんだよ。

俺は、未だに徘徊する獣達をその辺に落ちていた剣で苛立ちをぶつけるように斬りまくった。

エンディは、そんな俺を横目で見て、一切待つ事無く先を行った。


「待てよ!」

「待ちません、早く行きますよ」


しかし、こいつは甚大な魔力を消費する“神の鎧”をどーしてこんな低階層から身に付けてるんだ?

どーせ聞いても肝心な事は教えてくれねーんだからわざわざ聞かねーがよ、少しは俺にも情報をくれないとそろそろ納得出来ねーよ?


そんな俺達は、エンディが言う通りに10階層まで何事も無く下りてくる事が出来た。

しかし10階層に来て、状況は激変する。

階段を下りてすぐに俺達を熱風が包む。

完全炎耐性がある俺が熱風と感じるという事は、耐性が無い奴だったら消し炭になるレベルだ。

そんな炎を出せる獣は限られている。

思った通りに、人の形をした何かが至るところで煙をあげて燃えている。

地面に流れる、赤い水に触れると、熱い。


「これは、マグマだね」


完全防御耐性である神の鎧を纏ったエンディには、マグマさえもただの水と変わらない。

そんなマグマの出所を探す。


「あれか?」

「あぁ、そうだな」


俺達の姿を見て、10階層で必死に戦っていた人々が歓声を上げる。

もはや、俺達にとって敵となるものは少ない。

ここで暴れていた魔獣も同様である。

全身を炎で包む6m程の人形の怪物は、知性はあるようだが話が出来るタイプには見えない。

俺達の姿を見ても、今までの雑魚と変わらないと感じたのか、右手に炎の固まりを作り、俺達に飛ばして来た。

何やらボソボソと言っているのは、詠唱を行っているのか?

飛んで来た炎の固まりを、ワザワザエンディが受け止める。

当然、物理、魔法、スキル、全てを無効とする鎧の前ではどんな攻撃も無駄に終わる。

良く見ると、さっき使い捨てたハズの神の槍を手に持っている。


炎を防がれた魔獣は怒った様子で、蒼白く燃えるさらに高温の炎の魔法を飛ばして来た。

当然鎧が魔法を無効かして、槍が魔力を吸収する。

エンディは只今槍の魔力の充電中らしい。


どれだけ続いたのか、魔獣のサイズが1m程まで小さくなっていた。

魔力を使えば使うほど身体のサイズが小さくなるんだろう。


「そろそろ良いか」


そのサイズを見極めて、さらに一本剣を取りだし魔獣を一刀両断すると、断末魔を残し魔獣は白く固まると、一気に煙を上げて石にその形を変えた。

周囲のマグマも同様に冷えて石に変わって行く。


そんな事よりも俺が問い正さなければならないのは、その“神の剣”をどーやって手に入れたかだ。

チイユから借りた? そんな一言では済ます積もりは無い。


出現する金色の扉が、今倒した炎の巨人がイベント対象だと言う事を示している。

その辺にいる奴に聞いたら、魔獣では無くさらにランクが上の“神獣スルト”だという事だった。

場合によってはサティよりも性質の悪い神獣だという事だった。

俺は、サティの単語を聞いて思い出したように、その辺でもがき苦しんでいる人々を癒す事にした。

一通り回復させると、改めてエンディを問い正す。


「その剣はどーしたんだ?」

「これかい? これは借りたんだ」

「借りた? それで済ますつもりはねーぞ?」

「君と争いになりかねないモノを、こんな序盤で必要も無いのに取り出すと思うかい? 後々どーしても必要な場面で言い争いをする暇は無いだろうから、この序盤で使って見せた分けだけど、それだけじゃ納得出来ないかい?」

「あぁ、出来ねーな! そんな見逃せる程簡単な出来事じゃねーからな!」

「だったら、まぁ、今日は疲れたし、仲間は疲弊している、大切なモノを失った者もいるだろう、今晩は休むとして、明日説明するよ」

「……絶対にだな?」

「約束は守ると何度も言ってるだろ? 私は、君をこの土壇場で敵に回したくないんだよ」


確かにそうだな。それもそうだ。

エンディの申し入れを聞いて、無事な建物を探し、その日はベットに潜り込み寝る事にした。

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