79、唐突で突然な物語
「やぁ、ジン君、待たせたね」
「お前は、どうしてお前がここに居る?」
「私は、君の事をずっと見守っていたんだよ」
「どういう事だ? ここはどこなんだ?」
「ここは、シンエツ共和国の中央に存在する誰も辿り着けない幻の城、シンエツ城の中だ」
俺は、真っ黒の世界をさ迷い、ある時突然に身体に凄い衝撃を受けた。
次の瞬間に、真っ黒な空間に金色のヒビが入るように金色の光が差し込み、そこに差しのべられた手を掴み、真っ黒な世界から抜け出した。
そこに居たのは、金色の鎧を纏う男だった。
状況を飲み込めない俺に、男は金色の鎧を脱ぎ捨て、その鎧を手のひらに収まる金色の玉に変えると話しかけて来た。
鎧と同じように光輝く髪が風に靡いている。
男は、おもむろにその髪を七三に分けて見せた。
その姿は、いつか、要塞都市クリオネへと続く橋で見た姿だった。
こいつが、シンエツ共和国の王なのか?
だったとして、目的は何だ?
次から次に沸き上がる疑問を声にする事が出来ない俺に話しかけて来たのは金髪七三頭の男だった。
「シンエツ城? ここが?」
「あぁ、そうだ」
「どうして俺をここに連れて来たんだ?」
「色々知りたがっていたみたいだからね、私がここへ君を招待したんだよ、本当はチイユ君もここへ招待するハズだったんだが、なかなかどうして、現実は思い通りにはいかないものだね」
石で出来た床をヒタヒタと裸足で歩き、部屋の外に置かれていた椅子に男が腰かける。
そこには、男以外には誰もおらず、俺にも男の前にある椅子に座らないかと促す。
真っ黒の世界から飛び出し、まだ目が外の明るさに慣れずに、少しだけ戸惑っていると、男はそこに置かれていたティーカップにお茶を注ぎ、まぁゆっくりしてくれと言わんばかりに、俺が居る場所からは見えない外に視線を送る。
少しの時間で明るさに目が慣れた。
俺はゆっくりと石の床を靴でコツコツと鳴らしながら、男が促すがままに部屋の外へと出た。
外に出た俺は、すぐには椅子に座る事が出来なかった。
「どうした? そこに座って話をしようじゃ無いか」
そう言って、ティーカップをテーブルに置き微笑む男の向こう側には数千、いやもっとか、数万人の人々が膝を着き頭を下げていた。
「あぁ、彼らの事は気にしなくても良いから、まぁそこに座ると良いよ」
とてもそんな気にはならない。
俺達が居る場所は、地上から10m程は上がった所にあるテラスのようになった場所だった。
そこから見える人々に、とても俺達の会話が聞こえるとは思えない。
当然大きな声で叫べばその声は響き、聞き取る事も出来るだろうが、ここで話す会話を聞き取る事などは到底無理だろう。
それにも関わらず、頭を下げている奴等は、なぜあんな事をやってるんだ?
その疑問をそのまま男にぶつけた。
「あぁ、彼らは私の事を拝んでいるだけだよ」
「拝む?」
「ああやってれば幸せなんだろう」
言ってる事が理解出来ない。
「まぁ、幸福の形なんて人それぞれと言う事だよ」
俺はその言葉に何を返す分けでも無く、大人しく椅子に座る事にしたが、奥から沸き上がるような人々の気配に男との話に集中出来ない。
「それで、ジン君は何が知りたいのかね?」
「お前の目的は何だ!?」
「どうした? そんなに怯えて話す事は無い、私の目的かい? “神の宝具”を揃える事だよ」
「それで元の世界に帰りたいのか? 帰れるのか?」
「あぁ、帰れるとも、しかし帰りたい分けじゃない」
「だったらお前の目的は何なんだ?」
「私は、この世界の本当の神になりたいんだよ」
「神になる?」
「そう! 永遠にして、永劫にして、永久なる神になるんだよ! ジン君? 君も興味は無いか?」




