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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
79/96

78、真っ黒な世界

真っ黒な世界。

どこまで行っても光を感じる事は出来ず、上下の感覚さえ分からない。

その中で、只一人自由に動け、その世界に自由に出入り出来る存在がいる。

スキルの保有者“カゲロウ”だ。


“神の鎧”

効果――

全ての物理攻撃、魔法攻撃、スキル攻撃、効果を無効化する。

神の盾と異なる点としては、魔力の消費が甚大では無い事。

さらに、身に纏っている間は、自身のスキル、魔法を使用する事が一切出来ない。

一度纏ってしまえば、完全無欠の防御を誇る鎧となるが、“神の宝具”を所持していない限りは、殴る、蹴る等の肉弾戦以外に攻撃の手段を持てない。

加えて、他者に用いる事が出来ない。

一度鎧と契約を交わすと、他の武具を身に付ける事が出来ないが、“神の宝具”であれば複数同時に使用する事が出来る。

“神の宝具”を複数同時に使用する為には、“神の鎧”を用いる事以外に現在に至るまで発見されていない。


これが、チュウタから得た“神の宝具”の知識の一つだった。


チイユが、“神の翼”で俺達を要塞都市クリオネへと飛ばそうとしたその時。

上空から舞い降りたのは、金色の鎧に身を包む男だった。

男とすぐに分かったのは、その聞き覚えのある声を聞いたからだ。


「ここまで来てしまったんだな……」


金色の鎧を身に纏う男は、空から舞い降りると同時に俺を殴り付けた。

その一撃は、金塊の暴食で極限まで高めているであろう俺の身体能力を簡単に上回り、致命傷とも呼べるダメージを身体に残した。

サティが慌てて駆け寄り治癒を施すが、俺の腹部に響く痛みが治癒を拒むように、回復の兆しが感じられない。


待機する複数の“黄金天使”が一斉に金色の鎧を纏う男に襲いかかるが、手のひらに触れるだけで易々と解体されてしまう。

次々に金色の光が飛び散り消えて行く。


一体、また一体と黄金天使を消し去りながら、俺へと向かってくる金色の鎧を纏う男の前にチイユが立ち塞がる。


「うーん、君だけは面倒なのだがな……」

「面倒だったら、早くどこかに行くっす! ジンさんには指一本触れさせないっす!」

「どうやって?」

「こうやってっす!」


チイユが“神の盾”で金色の鎧の男を殴り飛ばした。

全ての物理攻撃が無効なハズのその鎧を身に付けているにも関わらず、殴られた勢いでかなりの距離を吹き飛ばされる事になる。

その状態の男に、残る黄金天使達が覆い被さり、まるで自爆するように大爆発を巻き起こす。

それでどうこうなるとは思えない。

しかし、少しでも時間は稼げたハズだ。


「ルーディー!」


俺が叫んだ瞬間に、真っ黒な世界に引きずり込まれた。

引きずり困るれる瞬間に、ルーディーがチイユに触れ、チイユが“神の翼”を発動する所が見えた。

当然チイユは俺に対しても“神の翼”を発動していた。

しかし、その効力が俺に届く事は無かった。


「ジンさん! っす!」

「行けぇぇぇええ!」


俺の身を案じるチイユが立ち止まらないように叫んだ。

その声はチイユに届いたのか、今となってはその事を確かめる手段が無い。


俺はどれだけの時間をこの影の中で過ごしたのだろう。

上も下も分からない真っ黒な空間で、時間の感覚が奪われて行く。


『こんな所で、何をやっとるんじゃ?』


眠るように過ぎていく空間の中で語りかけてきてのは、災厄と希望の神だった。


『ジン様よ、この空間は退屈じゃのう、外へは出んのか?』

外に出れるんだったらそうしてるよ。

『何を言っとる、妾の事を頼りもせずに、いつからそんな腑抜けた男になったのじゃ?』

俺の中に居るんだったら分かるだろ?

『何がじゃ?』

魔力を使い果たして、俺は今寝てるんだよ。

『これはまた、可笑しな事を言う、寝てると言うならこれはお前の夢か?』

あぁ、そうだよ。

お前は夢だろうと、何だろうとお構い無しに俺に絡んでくるが、流石に夢の中じゃ何も出来ねーんだよ。

『そうか、そうか、それでジン様よ、お前はこれをいつから夢だと思っとるんじゃ?』

いつからって……

いつからだ?


真っ黒な世界に引きずり込まれて、俺は色んな方法で脱出を試みた。

当然、何度も詠唱を行った。

しかし、魔方陣は展開されずに、忘却の女神の力も、災厄と希望の神の力も感じる事が無かった。

幸いにも、ポケットに金貨を入れていた事を思いだし、スキルの発動も試みたが、投げた金貨は音もなくどこかへと消えて行った。


そうこうしている内に、猛烈な睡魔が襲って来て俺は眠ってしまった。

眠っても、眠っても目が覚めた感覚が無い。

腹部の痛みもいつまで経っても消える気配が無い。


上も下も分からない空間で俺はどれだけ眠っていたのか。

完全に時間の感覚も無くなってしまった。


俺だって何度も、何度も、お前の事は読んだんだぞ。

それなのに、全く反応しなかったのはお前だろ?

どうして今さら話しかけて来たんだ?

『何を愉快な事を言っておる? 妾の力を頼った? そんな覚えは妾には無いぞ?』

だったら、今すぐ頼ってやるから、今すぐここから俺を出すんだ!

『やけに乱暴な口調で…… そんな事で妾が動くと思うのか?』

やっぱり俺を助ける気なんかねーんだろ?

『ジン様よ…… お前、どうしたんじゃ?』

俺がどうかしてるのか?


……


おい! 災厄と希望の神! 何か答えろよ!


俺の声が俺の中でどこまでも響き渡るが、災厄と希望の神からの返答は無かった。


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