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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
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67、神とは何者か?


スキルを強要された男は、無表情で蚊が飛ぶほどの弱々しい声でスキルを発動した。俺達に害を及ぼす事は100%無いと言い切るアオバの言葉通り、素直に俺達を運んでくれた。

スキルは、魔法や召喚と事なり、必要とする魔力量は少ない。

しかし、使用した魔力の量に応じてという文言が入る事が多い。

このスキルの場合も同様で、多少の魔力の消費では殆ど効力が無く、ルシアンまで高速で移動する為には大量魔力を必要とした。

この男は、一瞬にして大量の魔力を消費し、空になった魔力に誘われるように深い眠りについた。

まだ、要塞都市クリオネが遠くに見える。


「これは、予想以上に魔力が必要ですね」


アオバが、風で乱れた髪を結び直しながら呟いた。

俺は、災厄と希望の神が口づけを経由して俺に授けた魔力の固まりを胸部の魔方陣から取り出した。

それは正に、漆黒と呼ぶに相応しい黒々とした魔力が溢れ出る球だった。

手のひらに収まるその球を俺は数秒間見つめて、気を失った男の胸部に押し当てた。


「な、何をされて、いるんでしょうか?」


男の胸部に球が触れると、眷属が召喚された時と同程度の空を覆う程に大きな魔方陣が展開されていく。

その魔方陣もまた、漆黒の球と同じように黒と呼ぶに相応しい禍々しい魔力の渦を展開している。

球を胸部に沈められた男は狂ったように身体を弾ませ、その場で手足をバタつかせ、白目を剥いてもがき苦しんでいる。

その様子を見た、拷問は見慣れたハズのアオバが心配する表情を浮かべている。


「大丈夫、ただ、器から溢れ出る魔力を無理矢理注いだだけだ」


真っ青な空を覆い尽くした魔方陣は、男の胸部へと急速に収束して還って行くと、雷にでも打たれた様な衝撃を残しそれと同時に、男は意識を取り戻し身体を巡る魔力量を実感していた。


「これが、神の力……」

「あぁ、そうだが、その力で俺に戦いを挑んでみるか?」

「滅相も御座いません! 俺のこの力は神であるジン様の為のモノ、この命尽きるまで使いきって頂いて構いません! どうか俺に、ジン様のお役にたたせ頂けないでしょうか!!」


男は目を輝かせて、両足を失ったにも関わらず俺に希望を見いだしている。


「ジン様、流石でございます! 恐怖だけでは無く、希望与えるなどとは、神と崇められても、納得でございます!」


アオバも俺に対して親しみの範疇を越えて接してくるが、結局全て俺では無く、神の力なんだからそんなに言われると少し虚しいんだけどな。

『何を言っておる、ジン様よ、妾を従えるお前の力は、妾の力そのもの、つまりジン様よ、お前は神だと言う事じゃ』

そう言うモンか?

『その通りじゃ、ホレ、ついでにこれも返してやると良いじゃろう』


俺は、災厄と希望の神の言葉を受けて、足の付け根に両手を添えた。


「こ、これはぁぁぁぁぁああ!」


男の足の付け根が紫色の発光を始めると、その光は足の形を形成し、光が消えると、そこには元の通りに両足が形成されていた。


「神よ、誠にありがたき、奇跡を、俺ごとき無能なモノにこのような奇跡をぉぉぉぉお……」


男は、復元された自分の足に手を触れると嗚咽を交え咽び泣いた。

アオバもその光景を見て、瞳に涙を溜めているようだ。

これも全て、災厄と希望の神の筋書きか……

『あぁ、そうの通りじゃ、あれもこれも全て妾の筋書き通りじゃ、しかしそれの何に不満を覚えておる?』

俺も、こいつと同じようにお前の手のひらの上で弄ばれているか?

『可笑しな事を言う、ジン様よ、お前を操る事が出来るモノがいるとすれば妾では無い』


災厄と希望の神はそう言いながら、真っ青な空を指差した。


「神か?」

「その通りで御座います、ジン様は俺の神、皆の神、神なの、デスっ!」


俺を見つめる男の表情が狂喜を帯びてさえもいるように見える。

アオバも完全に陶酔しきっている。

俺が発した言葉はそう言う事では無く、俺達の運命を弄んでるのは、本当の神かと言う事だ。

『何をもって神とするのかは、人それぞれの考え次第じゃとは思うがのう、妾の“神”の名はあくまでも名前じゃ』

『何をもって神とするのか、何を成して神となるのかは、信仰する人の心の中にのみ答えがあるんじゃ無いかと、妾は考えるが、ジン様よ、お前はどうかのう?』


笑わせるな、俺にそんな事が分かると思ってるのか? 答えがあるなら教えてくれ、教えるモノを持ち合わせて無いんだったら、そうだな、お前が言ってった知識の神だかなんだかに訪ねるとしようじゃねーか。

それよりも何よりも、先に俺にはやる事がある。

『もちろんじゃとも、止める気は無いからのう、どうぞお好きにやると良い、そんなジン様が妾は大好きじゃからのう』


「アオバ! この男の名前は何て言うんだ?」

「申し訳御座いません、このようなゴミの名などまるで興味が沸かず覚えてはおりませんでした」

「俺の名は、いえ、俺の名など何でも構いません、新たにジン様に名を頂けるのであれば、それこそ至上の喜びでございます」

「だったらお前は“ルーディー”だ、良いな?」

「結構で御座います! 勿論でございます! この名、神より授けられた名を、汚さぬよう、傷つけられぬよう、命よりも重いモノとして大切に生涯を共に歩む所存にございます!」


そんな大袈裟な、いちいち大袈裟なんだよな。まぁそれでも嬉しそうだからまぁ、良いか。


「私にも、私にも名を授けては頂け無いでしょうか?」

「何を言ってる、お前は何でも欲しがるんじゃない! アオバと言う素敵な名前があるだろう!」

「す…… て…… き…… ですか?」


あ、しまった、変なスイッチを入れてしまった。


「そんな事を言ってる暇は無い! 急ぎルシアンへと向かうぞ!」

「「っはい!」」

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