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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
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59、絶景かな絶景かな!

手の甲の魔方陣が浮かび上がり、前方へと拡大と縮小を繰り返し展開されると、そこからゆっくりと、鮮やかなオレンジの炎を纏った忘却の女神(レテ)が姿を表す。

全身を炎で象っているが、髪の部分は一際赤色が強い。


「ごめんね、あんたの強さは分かったからさ…… それで、それで何しようって気なの?」


取り合えず俺に突っ込んで来た大柄の男は忘却の女神(レテ)が撫でるように吹き飛ばし、全身焼けただれた状態で、もがき苦しんでいる。


「どうして欲しい?」


俺は右手の平を上に向けて、火柱を造りだすと、風狸を造り出した男に訪ねる。


「貴様が、どれほど強力な力を持っていようと関係は無い!」


銀布の男が、炎の熱量に屈する事無く、息巻いている。

不意に後方に吹き飛んだ、リリムに視線を送る。


「リリム!」


そこには、全身を砂鉄に覆われ、もう少しで口が完全に塞がるという状態で苦悶の表情で俺に視線を送っている。

喉は絞められ声を出す事が出来ないようだ。


「纏いし色は若葉の緑……」

「止めるのよ! その詠唱を誰か、誰か!」

「煩わしいな、コトネ! こっちは人質を取ってるんだぞ!」

「そんなの、あの詠唱が終わったらどうなるか分からないじゃない!」


銀布の男と、コトネと呼ばれる男が言い合っている間に、詠唱を終え、手の甲に残った緑色の魔方陣を展開すると、サティを召喚し、リリムの砂鉄を粉砕させ、同時に癒しの炎で纏った。


「何なのよ、何なのよそれは!?」

「退いてくれるか? 俺はここを通りたいだけなんだ」

「そうは、いかないのよ、あんたらを通したら、私達が帝王に……」

「もぅ! どうにでもなれよ!!」


スキルも使わずに突っ込んで来るコトネを凄まじい熱量が産み出す気流で吹き飛ばすと、癒しの炎に包まれたリリムが2本の剣で叩き落とした。


「良いのか? 貴様等! この橋の向こうには数十万の国民と、それを守る兵士達がいるんだぞ!? そもそも、貴様の力で、その程度の力で帝王に勝てると、本気で考えているのか!?」

「知らねー」


銀布の男と、残る一人に忘却の女神(レテ)が炎球を叩き付けると、橋の入り口にある巨大な壁にぶつかり、二人はそのまま気を失った。

それを見ながら、魔方陣を手の甲へと還し、忘却の女神(レテ)とサティに別れを告げる俺に、七三金髪アロハの男がこれが最後の警告と言わんばかりに語りかけて来た。


「冒険者君の力は大体分かったが、たったそれだけの力で本当に一国を相手に戦うつもりかい? 銀布の彼も言っていたように、この先には女子供含めて数十万の国民が、事実生活を営んでいるんだが、冒険者君にはそれらを壊してしまう、覚悟と責任があるのか!?」

「さっきも言ったろ? それに俺は冒険者君じゃねーからな“ジン”っていう名前があるんだ、それにどこの誰だか知らねーお前さんの言う事を聞くつもりもねーよ」

「それは、悪かったね、ジン君」

「さっきも言ったって、“知らねー”って言うのがジン君の答えかい?」

「あぁ、そうだよ」


橋の入り口へと向かう俺に、七三金髪アロハの男はそれ以上は何も言わなずに、胸の前で腕を組み俺達の後ろ姿を見守っているように感じた。

橋の入り口には、まだ多数の兵士が待ち構えていたが、俺達に手を出して来るモノは無く、すんなりと橋まで辿り付く事が出来た。


「凄っ!!」


橋にぶつかる水の飛沫や、水飛沫に太陽の光が反射して幾重にも重なる虹と、水の流れる音に自然と声が出た。

これは、観光する奴等が来るのが分かる。


「ね、ね、凄いでしょ!?」


リリムがさっきまでの事は無かったかの様に俺に笑いかけ、どさくさに紛れて俺の腕に手を回して来た。

断る暇も無く、その行為を黙認して、一歩ずつゆっくりと橋を渡った。


橋を渡る間に、沢山の人達とすれ違ったが、この音の為か橋の入り口での出来事に誰も気付いておらず、俺達は観光をする人々に紛れて橋を渡りきった。

途中複数の入り口へと向かい急ぐ兵士達とすれ違ったが、まさかこんな所に入り口で騒ぎを起こした者達が居るとは思わないのか、全く俺達に視線を飛ばす事も無くすれ違った。


出口では、再び検問が張られていて、どうしようかと悩む俺を気にも留めず、組んだままの腕を引っ張り、リリムが出口へと向かう。


「通行証をお見せ下さい」

「はい!」


当然そうなるよな。入り口で確認するんだから、出口でも当然確認する事になるよな。当然俺達はそんなモノ持って無い。

ここでも一波乱あるのかと覚悟を決めて身構える俺をよそに、どこから出したのか、いや、この場合はどこから手に入れたのかの方が重要な気もするが、リリムが2枚の通行証を取り出して兵士に確認させた。

それも、それで、そんなモノが通用するのかという俺の心配を知らない兵士は“それでは、どうぞ、要塞都市クリオネを心行くまでお楽しみ下さいませ”と、入り口での鬼の形相とは180度表情を変えて、笑顔で手を振り、どこぞのテーマパークのように見送ってくれた。


「完璧でしょ?」

「おま、それ、どこで手に入れた!」

「良いじゃん! 通れたんだからさ!」

「お前、そんな問題じゃねーだろ!?」

「だったら、また大暴れする?」


お得意の質問ポージングで俺に微笑みを飛ばして来る。

ズルいよな、分かってる癖に……


「良いから行くぞ!」


観光客相手に用意された土産屋や、アトラクションらしきモノを指を加えて見送るリリムを引っ張り、円形に作られた都市を、壁沿いに、なるべく中央に聳える城のようなモノを避けるようになるべく遠くを歩いて、この先にあるであろう、向こう岸へと渡る為の橋を目指して、本当にリリムの行動に細心の注意を払い急いだ。

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