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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
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44、鵺の目覚め

「スキル発動! “捜索風香(ハンティングリーダー)”」


チュウタが犬みたいに、ばあさんの手拭いの臭いを嗅ぐと、スキル発動と共に緑色の煌めきが森の中に現れた。


「これを辿るとばあさんに辿り着くっす」


本当に便利なスキルだ。

スマホゲームでの実際のスキルの役割は、逃げた獣を一定確率で再度出現させるというモノだったらしい。

しかし、序盤でこそ役にはたつが、強くなるにつれて、出現した獣が逃げる事が無いために、このスキルの役割は無かったらしい。

あるとすれば、“PVP(対人戦闘)”つまり他のプレーヤーからの攻撃を受けた際に、相手がスキルやアイテムで自身情報を隠していた際に、それを無効化する事も出来たらしいが、自分が相手よりも強ければ返り討ちにするだけだし、自分が相手より弱ければ、スキルは無効となる為に、本当に意味が無いと嘆いていたが、こうやって実際には凄く助かっている。

こいつが居なければ一直線でばあさんの所には辿り着く事は出来ねーんだから。


「一緒に来てくれてありがとな!」

「良いんすよ、だってこれが多分ジンさんとの最初で最後の冒険になるんすから」

「最後? って、どういう事だ?」

「……それは」

「止まって!」


チュウタが何かを言おうとした時、リリムが勢い良く皆を無理やりに制止させた。

薄暗い森の中には、無数に魔方陣が浮かび上がっている。


「あれは、全部、罠か!」


アオバが薙刀を構える。


「当然、追ってが来る事は計算してたんす」


チュウタも刀を構える。


「赤きモノ、朱きモノ、暁きモノ、全てを照らす紅きモノよ」

紅蓮龍(レッドドラゴン)


俺は、皆を自身の後ろに回らせ、周りを警戒させると右手の甲の外枠の魔方陣を前方に突き出し、紅蓮龍(レッドドラゴン)を召喚した。

紅蓮龍(レッドドラゴン)が魔方陣に触れると、魔方陣は光輝き、次々に爆発した。

地面が抉れ、木々が吹き飛ぶ。

チュウタ、リリム、アオバは爆風に必死に耐えて居るが、俺は構う事無く次々に爆発させた。

俺は、ここに居ると示すように、紅蓮龍(レッドドラゴン)を、薄っすらと輝く緑色の軌跡に沿って次々に魔方陣に触れさせては爆発させる。

紅蓮龍(レッドドラゴン)は弱まるばかりか、爆発を受ければ、受ける程に巨大になり、勢いを増す。


「ジンさん、ちょっと待つっす、ばあさんが、これじゃ、ばあさんが死んでしまうっす!!」


チュウタが必死に叫ぶ。

確かにそうか…… 俺は、開いていた手のひらを握りしめ紅蓮龍(レッドドラゴン)を消し去る。


紅蓮龍(レッドドラゴン)が通った所は、地面が抉れ、木々は消し炭となり、もしそこに生命があったとしても、骨も残っていないだろうと言う程に暴れさせてしまった。

まだ、制御が出来て無いと言えば聞こえが良いが、俺は自分の力を確かめる為だけにやってしまった事を深く反省した。

リリムが先頭を警戒しながら走る。

俺はと言うと、反省に反省を重ね、一番後ろを少し離れて走る。


「たったあれだけの詠唱で、あれだけの魔法を使えるって、ジンさん凄くなりすぎっす」

「そんな事ねーよ、ただ力に弄ばれてるだけだ」

「そんな事ないっす、凄いっす、凄すぎっす、凄すぎてヤバイっす」


チュウタがあまりにも誉めるもんだから、ついついまた調子に乗ってしまいそうだが、同じ事を繰り返す分けにはいかねーからな……


「そう言えば、さっき何言おうとしたんだ?」


俺は、さっきの話の続きが無くなってチュウタに並んで聞いた。


「ここは、最果ての島国っす」

「あぁ、聞いたから知ってるよ」

「オイラは、絶対にここから出られないんす」

「どうしてだよ? 一緒に行けばいーじゃねーか」

「そう言う問題じゃ無いっす!」


チュウタが悲しそうな表情で俺の事を見ると、走る速度を上げて、リリムを追い越しある程度行った所で立ち止まる。


「ここが、“(しのび)”の砦っす」

「ここって、ダンジョンじゃない!」

「こんな所に入られたんじゃ……」


アオバがお手上げと言わんばかりに、片手で頭をポリポリと掻いている。


「大丈夫っす、ジンさんが居れば、最下層なんて一瞬っす」

「そうですね」

「そうだった! ジン君が居たんだよね、よろしくお願いね」


リリムが片目を閉じて、どうぞと俺をダンジョンの入り口へて促す。


(ぬえ)の目覚め”


後に、このダンジョンが、この国の最大で、最重要イベントの発生場所だったと聞かされ、この国最後のイベントだったと知るが、この時の俺は、ばあさんを連れ帰って、またエド城の皆と楽しくやれるのかと思っていた。

少なくとも、イエーミュに“さよなら”を言ってからこの国を出るつもりでいた。


ただ一人、全てを知った上で同行していたチュウタだけは、この先の結末を予感していた。


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