表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第二章~勇者の帰還~
43/96

42、望まない来訪者

「纏いし色は若葉の緑、眠り目覚める大地に炎をともさん」


右手の甲から浮かび上がった魔方陣から、一匹の猫がゆっくりと頭を出して転がり出てくる。


「おぉ~これがサティ様」

「死ぬまでに神獣を拝めるとは……」


じいさん達が涙を流しサティを拝んでいる。

その内に、一人がサティに手を出した。


「危なっ!」


俺は咄嗟にじいさんの手を払おうとしたが、サティが割って入り、じいさんに自身の身体を擦る。

どういう事か、あれだけ熱を感じていたサティの身体をじいさんは苦にならない様子で撫でている。


「どう言う事だ?」

「知らないの? サティの炎は癒しの炎なんだよ、だからジン君が敵意の無い相手には回復の効果があるの、だからじい様達は皆あの炎に触れたくてしょうがないんだよ」


リリムが私も触っとこうとサティを抱き締める。

サティも満更でも無い様子で、久しぶりの人々との触れ合いが嬉しそうだ。


でも、ちょっと待て。

サティに誰かが触れる度に俺の魔力がどんどん消費されて行く。


「おい!」


気付くと天守閣へ向けて長蛇の列が出来ている。

皆、どこかしら痛んだ所があり、それを治したいと、日頃から抱えている悩みがあるんだろう。

それにしてもだ、この列を全部治療してる間に、俺の魔力は尽きて、また寝込んでしまうじゃねーか。

ちょっと、止めろ、そこまでだ。

俺は、慌ててサティを魔方陣へと還した。


最初は会いたいだけとか言っておいて、良いように使われた気分で、しかも気付いた時には大量の魔力を消費していたようで、疲労感が押し寄せてくる。


「っク!」


思わず膝を着いてしまう。


「大丈夫なのです?」


イエーミュがそんな俺に気付いて、駆け寄ると優しく支えてくれた。

少し肌寒くなった天守閣で、イエーミュの体温がやけに暖かく感じる。

“あ、ズルい、リリムも!”そう言ってリリムも俺に抱きつく。

こっちは優しさと言うには少し激しく、身体には負担がかかるが、柔らかくて良い匂いする。


「やめろ、やめるんじゃ!」


テマリばあさんが、俺の事を心配して、取り合いをされ、服が乱れた俺を助け出してくれた。


「お前も、お前じゃ、そろそろどちらにするか選んでくれんと困るぞ!」

「まぁ、ウチのリリムと約束してここに来たんじゃから、決まっておるとは思うけどな」


ばあさんの視線が痛い。

そのあと、城の従者に支えられ、自室へと運ばれた。


やっと一人で落ち着ける。

そう思ったのも束の間、突然部屋の明かりが消えた。

俺が、身構える間を与える暇も与えずに、暗くなり、一瞬の動揺の内に、身体に衝撃を受け、布団に押し倒される形になる。


「誰だ!」

「痛いのです……」


咄嗟に掴んだ腕は細く、華奢で、少しだけめり込むを酷く痛がる。

膝が俺の内腿を擦り、耳元で痛がる声がやけに艶っぽい。

風呂上がりの良い香りと、少女の甘酸っぱい匂いが混ざり俺の理性を狂わせる……


「イエーミュどうしたんだ? 何してる?」

「大丈夫なのです、初めてなのです、けど、ジン様とだったら痛いのも我慢できるのです」

「な、な、な、な、何を言ってる、そういう事じゃないだろ!」

「既成事実がいるのです、リリムに取られたく無いのです、だからジン様お願いなのです」


イエーミュの全身が俺に絡み付く。


「イヤ、ダメだ!」


俺はイエーミュを抱き抱えると、そのまま起き上がり、部屋の外へと出て、優しくイエーミュを降ろす。


「どうして!? どうしてなのです!? やっぱりジン様は、リリムの事を……」


俺に迫ってくるイエーミュの瞳には涙が溜まっている。

今にも溢れだしそうなそれを必死に押さえ込んで、俺に抱きつく。


「そう言う事じゃねーよ、俺は俺の戦いを終わらせないとならねーんだ」

「だから、今はそういう事は出来ねーんだ」

「本当にごめんな……」

「“今は”? って、言われたのです?」

「だったら待つのです、ずっと待ってるのです、だからその時は、その後は一番に抱いて欲しいのです」


イエーミュが俺の手をそっと自身の胸へと導く。

柔らかく、弾力のあるその感触が……って、


「違う! だからそう言う事をやめろと言ってるんだ!!」

「そんな風に言っても、恐くないのです、ジン様もしっかりと私の胸を触ってたのです」

「遠慮しなくてもいいのです、だから少女の身体に触れたくなったらいつでも呼んで欲しいのです」


イエーミュはそう言うと、少し恥ずかしかったのか、急いで廊下を走り自室へと戻っていった。

俺は、一人ポツンと取り残され、満たしきれない欲求に不満を覚え、ゆっくりと扉を開き自室へと戻る。

どこから出てきたのか、長い溜め息を吐いて布団に入る。


悶々とする気持ちを抑えて、瞳を閉じると、直後、部屋の外でガタっと物音がして、勢い良く扉を壊して何者かが入って来る。

次はなんだよ、誰なんだよ、またイエーミュか? それにしては乱暴だし、次はリリムか? と、呑気な事を考えていると、冷たい感触が俺の頬に触れる。


俺の呑気な考えを、頬の痛みが現実へと連れ戻す。

俺の、頭に向けて何者かが刀を突き刺し、俺は無意識にそれをギリギリの所で首を捻り避けていた。

慌ててそいつを蹴り飛ばすと、それと同時に部屋の窓が壊され、続けざまに何人か俺の部屋へと入って来た。


全員が目の部分を残し、全身を黒装束で覆っている。

その格好はまさしく、忍者そのモノだった。


「偽りの勇者よ、その命頂戴する!」


頂戴するって言われて、はいどうぞってくれてやる程、俺の命は安くねーよ。

俺は、忍者の一人を蹴り飛ばした反動でそのまま起き上がり、自身の向上したステータスを感じながら、ゆっくりと魔力を迸らせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ