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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
プロローグは続くよ
3/96

3、世界の終わり~少女との出会い~

「おい、お前ら何しに来た!」


立ち上がる俺の視界が崩れる。酔ってるせいで、上手く立ち上がれない。


「うるせーよ、おまえに用はねーんだよ」

「おい、チュウタ、お前の持ってる全財産を出せ!」

「あれは、ここには無いっす」

「そうか、だったらスマホを貰って行く、パスワードを言え」

「それは無理っす」


無抵抗のチュウタが、マスクやヘルメットで顔を隠す奴等に殴られ、蹴られ、顔が腫れ上がり、見分けがつかなくなるのに時間は掛からなかった。


「おい、やベーぞ、時間を掛けると警察がきやがる」

「分かった、とりあえず、ジンの腕でも刺しとけ」

「了解、そうだな」


マスクの男の目が笑うと、俺の腕を躊躇無くナイフで突き刺す。


「やめるっす、全部言う、全部渡すからジンさんに手を出すなっす」

「お、早くそう言えよな」

「ちげーよ、お前が早くジンを刺さねーからだよ」

「なんで、こんなにこいつはジンを庇うんだよ」

「何だ、おまえ知らねーのか?こいつジンの事が好きなんだぜ」

「はぁ⁉こいつゲイなんか?マジで俺達の事バカにしてんのか?」


俺の腕に感じた事も無い、痛みと熱が突き抜ける。

でも、チュウタの事を笑うこいつらが許せなかった。

笑いながらチュウタを蹴り上げる男の背中を、俺はゆっくり立ち上がると腕に刺さったナイフを抜いて思いっきり貫く。


「いってぇぇ!なにしやがる、おまえ、これ、なにしやがるぅ!」


マスクの男の表情が悲愴感で歪む。

当然だ、腕でこれだけ痛ぇーんだ、背中だったらどれだけか想像もしたくねぇ。

ただ、俺の一刺しが、こいつらの抑えていたモノを解き放ってしまった。

俺は二人に立ったまま捕まれ首にナイフを当てられた。

リーダー格の男が無言でチュウタからスマホを受け取り、チュウタの頭を持っていたバットで思いっきり殴りつける。


「チュウタ!」

「うるせーよ!!」


チュウタの身を案じ叫ぶ俺の腹部は、リーダー格の男の側に居たウサギの被り物をしている奴にアッサリと刺された。

一刺し、二刺し、身体を感じた事も無い激痛が走る。

刺される度に景色が歪む程の衝撃が走る。

喉の奥から気持ちの悪いものが上がって来る。


次の瞬間、完全にこの世界から意識が飛んだ。


次に意識が戻ると、真っ白な天井の光が痛い程に目に入って来た。

周りには、科学者の様な白衣を来た人々が俺を覗き込んでいる。


“バイタルが下がってます”

“このままでは生命を維持出来ません”

“良いから早くやるんだ”

“でも、この状態では堪えられるかどうか”

“全責任は私が取る、良いからやるんだ”

“分かりました”

“プロジェクト WORLDEND 起動”


次の瞬間、全身に激痛が走り再び意識が飛んだ。


俺は、夢を見ていた。


チュウタの部屋に押し入って来た奴等を、俺が次々に倒して、そんな俺に怖かったと言ってチュウタに抱き付かれる夢だ。

俺の顔は満更でも無さそうだ。

でも、現実では何も出来ずに殺されてしまった。

殺された?俺は殺されたのか?

あの白衣の連中は何だったんだ?科学者?医者か?

だったら俺は助かったのか?

チュウタは?

チュウタはどうなった?


「チュウタ!」

「おはよっす☀ようやくお目覚めっす」

「起きないから心配したんすよぉ」


俺が手を伸ばした世界は、深い深い森の中だった。

月明かりで若干照らされてはいるが、闇夜に侵食されたような深い深い森の中だった。


「これは?まだ夢の中か?」

「違うっす、多分現実っす」


イヤ、俺は絶対に認めない。こんなの夢に決まっている。

なぜなら、こんな深い森の中で、可愛らしいロリ巨乳の女の子の膝の上に頭を置いて夜の森に身を置く状態が夢以外の何モノでもあるはずがない。

しかもロングの青い髪からはとてつもなく良い匂いが漂ってくる。


「イヤ、どう考えても夢だろ⁉おまえがチュウタ?そんな事はあり得ない」

「現実っすよ、そしてオイラはチイユ・タスクロード、よろしくっす」

「イヤ、完全にチュウタだろ⁉」

「しつこいっす、オイラはチイユ・タスクロード!あんな中年のおっさんと一緒にして欲しく無いっす」

「なんで、中年のおっさんって知ってるんだよ」

「それは、様々な事情でですね……」

「分かった、やっぱり夢なんだな、俺は眠って現実へと帰る、じゃ、おやすみ」

「今はそれどころじゃ無いっす、早く逃げないと追い付かれるっす」


何をこいつはさっきから言ってるんだ。

こんな状況、夢じゃ無いとあり得る分けが無い。


「ほら、来たっすよ!」


狐?全身銀色の毛に覆われた数匹の狐に周囲を完全に包囲された。

狐は可愛らしく“コンッ”と一鳴きすると、なんだやっぱり狐かと思う暇も無く俺達に襲いかかって来た。

さっきまでの可愛らしい狐顔とは変わって、眼は赤く光を放ち、顔の半分はあるのでは無いかと言う牙を剥き出しにして……


「チュウタ!ヤバイ、お前だけでも逃げろ!!」

「違うっす、オイラは“チイユ・タスクロード”っす」


そう言うとチイユと名乗る少女はゆっくりと立ち上がり、膝上丈のフリルのスカートに付いた土を払った。


「スキル発動!“不可防壁(プロテクト)”」

「っす」


チイユが不可防壁と唱えると、周囲にガラスのような光の板が複数現れた。銀色の狐達は、ガラスの板にぶつかると激しく吹き飛ぶ。


「このまま、逃げてくれたら良かったんすけど、オイラが手に入れたスキルは防御特化なんす、攻撃が出来なきゃ、こいつらを倒せないんす」

「あ、でも安心して良いっすよ、地面の魔方陣から出なければこいつらごときじゃ、ジンさんを傷つけられないっす」


こちらを見下ろしニコリと笑う少女を、俺は不覚にも可愛いと思い見とれてしまった。

青いロングの髪が月明かりに照らされて銀色に輝きを放つ。


「スキル発動!“雷撃手(ライジングサン)”」


俺がチイユの髪に見とれていると一人の男が突然どこからか現れた。


「しまったっす、追い付かれたっす」


突然現れた、赤髪の男が素手で次々に銀色の狐を殴りつけて行く。

一撃一撃が当たる度にその場で電気が走り抜ける。

電気の火花は暗い森を明々と照らし次々に銀色の狐を倒して行く。

そこには、生々しい狐の死体が転がる。

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