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GOLD GOD GLORY  作者: 白雲糸
第一章~魔王の目覚め~
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19、元の世界へ帰る理由

“魔王の目覚め”は、準備も最終段階に入っており、阻止する為には急ぎ行動しなければならないと言う事だった。

その為に必要な、“神の宝具(ゴッドシリーズ)”についての説明や、なぜ俺が“神の剣(ゴッドソード)”を持つ漆黒の剣士に勝てたのか、俺のスキルの内容についての認識の擦り合わせ等に時間の大半を使用した。


アリィは、地下牢に繋いでいたが、いつの間にか消えていたという事だが、警備がザルだからしょうがないとチイユは不満を溢していた。


漆黒の剣士は同じ轍を踏まないように、厳重な警備で監禁したという事だった。

なぜローヤに荷担して、イベント“魔王の目覚め”を発動させようとしたのか、その動機については、俺に面会をしたいと言っていた本人の元へ出向いて直接話を聞いた。


地下牢に降りた俺は驚愕した。

地下牢には現在漆黒の剣士が捕らえられているだけだと話を聞いていた。

だから俺はそれらしき人物を探したが見当たらない。

一人、牢に繋がれていたのは、ピンクを思わせる、薄紫のウェーブした長い髪を垂らした、赤い瞳の少女だけだった。

肌が透けて見える程薄い、一枚の白い布を着せられて、両の腕を頭の上で壁から垂らされた鎖に繋がれた少女は、自身が漆黒の剣士だと名乗った。


ちなみに本名……というか、この世界での名前は“シズネ・ベイクド・チーズケーキ”だという事だった。

シズネは本名で、ベイクド・チーズケーキは自身が好きなモノでこの名前を付けたのは、同じくこの世界に来ているかもしれない、“夫”に自分を見つけて貰えるようにと願いを込めて付けたらしい。

そう、それがローヤに荷担して、“魔王の目覚め”を発動させようとした動機という事だ。


シズネは、元の世界では、愛する夫と愛する子供を持つ専業主婦をやっていたらしい。

家事の合間にスマホを触っていたら、いつの間にか最強と呼ばれるようになり、気付いた時には“神の剣(ゴッドソード)”さえも手に入れてしまい、換金しようかどうか悩んでいた所、急に胸が苦しくなり意識を失ったと思ったら、次に目覚めた時は、この世界のとある街の宿屋の中だと言う事だった。


シズネは、それからの日々を、その愛らしいルックスのせいで、昼間はナンパをされ、夜になると襲われそうになる不安の中、“漆黒の鎧(ロキ)”を聖神化(インポート)せずに身に付ける事で、男として振る舞い、無茶なイベントに参加しながら、元の世界へ帰る手がかりを探しながら、もしかしたらこの世界に来ているかもしれない愛する夫と子供を探していたという事だった。


来ているかもと考えたのは、夫と子供も同様にスマホでゲームをやっていたから、もし自分だけ元の世界に帰る事が出来ても二人をこっちに残してしまう分けにはいかないと考えての事らしい。


それにしても、“ベイクド・チーズケーキ”は無いだろうと言う俺に対して、“貴様は元の世界に帰りたく無いのか? 貴様には元の世界に帰る理由が無いのか? 貴様は愛する者に会いたいと思った事は無いのか!?”と、腕が引き千切れるのでは無いかと心配になる程に暴れ、俺を罵倒した。


“ねーよ、帰る理由も、帰りたい理由もねーよ、でもお前がそんなに帰りたいなら、俺が帰らせてやるよ”


どれだけ罵倒されても、それ以上でも、それ以下でも無い。


“帰りたいんだろ? だったら帰らせてやると言ったんだ”


俺を散々罵倒し、目まぐるしく動いていたシズネの口がアングリと開いている。


“俺が帰らせてやるって言ってんだ、だから魔王の目覚めを阻止するのを手伝え、全力で”


チイユは最後まで拒否していたが、俺を口先だけの男にしたくないと渋々、シズネの拘束を解き、“神の剣(ゴッドソード)”と“漆黒の鎧(ロキ)”を返して、俺に振る舞ったように、風呂と食事を提供した。


城の従者(メイド)の話では、風呂に入り、食事を摂り、“漆黒の鎧(ロキ)”を身に付け、俺に頭を下げて涙ながらに礼をするまで、アングリと開いた口は塞がらず、無言で一点を見つめ意識が飛んでいたようだと言う事だった。


シズネに対しての処遇に関してチイユは、自身が許しても、領主が絶対に許さないと終始大反対していたが、領主は俺が言う事であれば信用すると簡単に承諾してくれた。


シズネは、“神の剣(ゴッドソード)”を用いて全力で戦いその上で自身を捩じ伏せた俺だったら、俺が協力してくれるのであれば、必ず元の世界へと帰れるそんな気がすると、“漆黒の鎧(ロキ)”を纏ったまま、“キャハッ!”と可愛い声を上げた。


俺の手元に、俺が決して触れる事の出来ない2つの“神の宝具(ゴッドシリーズ)”が揃った。


神の宝具(ゴッドシリーズ)”――

その全てを手に入れた者は、神の世界の住人となる事が出来る。


それが、この世界がまだスマホゲームだった頃、ユーザー達の間で話題になった、このゲームの最終到達点(ゴール)であり、最大の報酬だった。

あるモノは、神の世界の運営役員になれると考え、あるモノは、ゲームマスターとして絶対的な力を手に入れる事が出来ると考え、あるモノは何でも一つ願いが叶うと嘯いた。


しかし、現状を考えると、それが元の世界へと帰る、唯一の手がかりだと言う事になる。


「よし、“神の宝具(ゴッドシリーズ)”を集めに行くぞ!」

「魔王の目覚めはどうするっすか?」

「気持ちは嬉しいが、だが、先に魔王の目覚めを阻止するべきでわ!?」


勇み、立ち上がる俺をチイユが引っ張り、シズネがなだめる。

皆を守る以外に、この世界で果たすべき事が出来た。


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