18、休息は続くよ
目が覚めると、目の前には豪華絢爛と呼ぶに相応しい天井が飛び込んで来た。その威圧感に俺は思わず仰け反るが、その反動でこれまた豪華なフカフカのベットに寝ているという事が理解出来た。
「ジンさん、おはようっす」
チイユが可愛い顔を傾げ、パチクリとしている俺の眼を覗き見る。
「大丈夫っすか? あれだけのスキルっす、何か後遺症は出て無いっすか?」
俺はまず、自分の手足がしっかりとあるべき場所にあり、俺の思いのままに、痛み無く動かせるかを確認すると、チイユに問題なそうだと言う事を伝えると、“それだけで分かるわけ無いっす”と泣かれた。
人がこんなにも号泣する所を、今まで映画とかでしか見た事が無かった。
ベットに顔を埋め号泣している所を見て、俺の胸の奥は酷く痛みを感じた。
顔は小さく丸顔で、瞳は大きく、長いまつ毛は化粧でさらにその存在感を放ち、鼻は小さく丸く纏まっていて、唇は薄く色艶は良く健康的なピンク色をしている。
耳は丸みを帯びて、顔の形、大きさを考えれば少し大きい。
ほどけて流れる、青い長い髪は常にどんな時も良い香りが漂ってくる。
近くで嗅ぐと、その香りに魅了されそうになる。
それでいて、俺の事を好いてくれているのであれば、このまま抱き締めてやりたい所だが、だが、しかし、この少女の本当の姿を知っている俺は、そうする事が出来ない。
もどかしい気持ちを捩じ伏せ、チイユを連れて、着の身着のまま、目覚めたままに領主へ報告と、今後の対策について訪ねに行こうとしたが、チイユが全て終わらせてるから、もう少し寝るように俺を促した。
俺は、チイユが発する甘い声をすんなり受け入れて、今尚襲ってくる睡魔と虚脱感に身を委ね、再び眠りについた。
どれだけ眠ったのか、次に目覚める時には若干の眠気は引きずりつつも、虚脱感や疲れ、痛みといったものは完全に消えていた。
チイユが室内に、豪華な食事を用意してくれて、目覚めと共に襲って来た猛烈な空腹に耐えきれず、寝起きで腹一杯に食事を堪能した。
一つ付け加えるとすれば、俺が目覚めた時点で既にチイユはお気に入りの料理を頬張っていた事には若干納得していない。
人の部屋で、人が寝てる横で何してんだよ……
多少呆れてしまったが、命の恩人の頭をポンッと叩き、横に並んで暫しの休息を堪能した。
「それで、これからどーすんだ?」
豪華な料理を満喫し、豪華な大浴場も独り占めさせて貰い、髪を乾かし、用意された服に着替えて、大満足な状態で、これも新調して貰った靴を履きながらチイユに訪ねた。
「アリィのその後と、漆黒の剣士の処遇と、魔王の目覚め、どれから聞きたいっす?」
「じゃあ、緊急を要する“魔王の目覚め”がどうなったのかから聞かせて貰おうか」
当然だ、誰がどうとかよりも優先度の次元が違うだろ。
チイユの話が始まる頃には、外は暗くなり、獣なのか動物なのかよく分からない生き物の、聞いた事も無いような鳴き声が聞こえて来ていた。
チイユの話は夜通し続き、話が終わる頃には外は明るくなり、どこの世界も同じなのか、動物の鳴き声は止み、変わりにチュンチュン鳥の鳴き声が聞こえてきた。




