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Poetry Verse Poems

おとぎのよるべ

 あいも変わらずにね、こうして君に

 伝える愛の言葉の代わりを探す日々なのです

 ここ最近は君の「死にたい」を「生きたい」に

 変えられればそれだけで充分かなって、

 自分の生きる理由も見つからないくせに

 いっちょまえに思い返してみもするんです

 ええ、だから僕にもし

 もし僕に活きる理由が必要なのだとしたら

 それは君が傍にいる事だし

 何遍も言い回しているその「死にたい」だって

 きっと考え始めたら底抜けに

 生きてたって良い事なんて無いから

 どうせクズみたいな僕らには

 ゲス野郎ほどの生きる価値もなくて

 何の面白味も提供する事なく

 静寂を揺らがすこともなく

 夢見た明日を追う事もなく

 昨日が後から付いてくる

 無駄に過ごしてしまった昨日が明日を

 追い掛けて迫ってくるのです

 昨日のこの時間は、昨日もこの時間は、

 そうしてそう言えば一週間前も

 ここでこうしてただ何をするでもなく

 ひたすらに生きることを享受して

 探し物をするでもなく

 行くあてもない境界線の繋ぎ目に幽か

 縫い止められている

 痛みをどうかなくさないでほしい

 君が吐き出す「死にたい」をおんなじ数だけ僕はただ、

 心の中でただ君を「抱きたい」

 どうせなら死ぬ前に「やりたい」を繰り返して

 土足で踏み荒らす境界線の

 繋ぎ目に幽か縫い止められている

 愛なんてない

 僕が君を愛しているなんて言ったらきっと

 それはきっとちっともたいそれた

 ことではないけれどもしか

 きっとおおきな過ち

 ちいさくはない嘘

 ただ何も言わず傍にいて

 そっと肩を寄せ蹲っているこの時間、刹那、凍結感

 だから僕は君のこと

 いっそのこと壊してしまおうかって

 だからただこうやって傍にいる

 「死にたい」

 それは簡単だ

 でも残念ながら僕はそれを恐れている

 ただそこまで困っていないだけ

 だって明日はそこまで迫っているし

 一時間以内に雨が降り出す予報がしてる

 こんな最中でさえ震える君の肩を

 僕は抱きしめたりなんかしないで

 凍える様な指先を虚空に投げだして

 いっしょくたに震えている

 僕の血はきっと

 ちっとも温かくなんてなんだろうけど

 いっそのこと僕ら

 このまま

 言ってみればたしかに

 「そんなに死にたいの」

 黙って手を握り締める

 こうして手を繋ぐ事だってこれが初めて

 「死にたい」

 とりあえず来年の目標を立てよう

 言いだしたら止まらないかもしれないけれど

 きっと僕らはこのまま立ち止っていることだろうから

 誰かがそっと笑っているそんな気がするけれど

 目標の無い道のりはただ

 どこにも辿りつけないから

 歩き始めよう、また

 せめて今日はもう

 温かくして寝た方が良いよね

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