拠点移動
数日後、伯爵領へとの旅の準備を整えた一行は冒険者ギルドへとやって来ていた。
受付のサラにガザックへの取り次ぎを頼み、ギルドスペースで休憩するのに隅の一角を陣取った。
遠巻きに他の冒険者たちがこちらを伺い、ひそひそと会話をしているのをリンたちは無視を決め込みこれからの話をしていた。
「まずは、ヨーネス侯爵領の中心都市サマルティアの冒険者ギルドに行きますわ。」
マルグリッドが行先を示し、状況によりそこに屋敷を借りる事も考慮に入れる方針であった。
サマルティアは、王都ジューダスからも近く他の都市へ行くにしても王都につぎ便利な都市といえる。
オルソン・エムス・ヨーネス伯爵は、善良な領主としてザブルガンド全域にその名前が知れており、貴族の特権を享受しているいくらかの領主から疎まれてもいる。
いろいろテーブルで相談していたところで一行は呼び出しを受け、ギルド長の執務室へと通される。
「お主たちが挨拶に来たという事で時間を取らせて貰った。この街を出る準備が出来たという事でいいのじゃな?」
「そうですわ。私たちは、サマルティアに拠点を移そうと思っておりますの。それで、今日この後出発しようと思い、ご挨拶に伺いましたわ。」
「そうか。今までギルドの為に尽力頂き感謝する。サマルティアのギルドに紹介状を書いて渡してやろう。」
ガザックがそう言い、一行は感謝を述べ退出した。
スペースに戻って少し時間が経ったあと、サラよりガザックの紹介状を渡された。
「サラさんもお世話になりましたわ。これからもギルドの受付を頑張るのですわ。」
「はい。向こうの街には、私のいとこもいるのでよろしく伝えておきますね。」
サラに挨拶したあと、一行は馬車に乗り込みサマルティアに向かう。
その途中、ナルバネン侯爵領を通過し王都で少し観光をしてからサマルティアに行く行程となった。
ラクスタッドの森を通過する途中にラスクたちを見かけたので、リンはラスクたちに助けて貰った感謝を再度伝え自分たちは拠点を変える話を伝えたが自分たちがAランクになった事は伏せておいた。
森を抜け、ナルバネン侯爵領に入る際国境を守る衛兵にギルド証を見せ侯爵領を通過し、王都に行く旨を伝え検問を通過した。
公爵領の主都カームスの宿屋で馬車を預け、一行は宿泊した。
その夜、一行が宿泊している部屋の前に数人の人の気配がする。
どうやら、馬車を宿に預けて宿泊している女性だけの一行なので、金品目的そしてリンたちを捕まえて奴隷商人に売り飛ばそうとしている盗人グループのようだ。
女性だけでの旅なのでその危険は考えいた一行は、武器だけを抱え寝床に入り不審者の突入を待っていた。