表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/29

第一短編 復讐代行

お題は「目的」と「手段」が入れ替わるお話です。

 親友が殺された。

 犯人は分かっている。親友の彼氏だった奴だ。


 親友はとても人が良くて、困っている人には常に手を差し伸べるような奴だった。だから、親友の優しさに付け込み、働かない奴が付き合っていた。親友に告白したとき、土下座までしたのだから、親友は断ることが出来なかったのだ。


 しかし、さすがの親友もよく思わなかったのか、それとも奴の自立を思ってなのか、別れを切り出したのだ。それを聞いた奴は激昂して親友を包丁で心臓を一刺し、殺した。

 これまでが私が独自に聴取した情報のすべてだ。問題は奴がまだ捕まっていないことにある。奴は人脈が広いらしく、それを使ってうまく逃げているそうなのだ。


 警察は当てにならない。私がどうなっても構わない。私が親友に代わって復讐して、奴を殺す。そのために奴について調べまわっている。


 長く調べまわった結果、奴の居場所が分かった。どうやら、警察から逃げることが簡単だと思ったらしく、繁華街で遊びまわっていた。親友のお金を使って。

 身体が沸騰したように熱くなる。奴には一番むごたらしい死に方を選ばせてやる。


 まず、私は娼婦を装い言い寄った。奴に愛され、その瞬間殺してやるのだ。奴は絶望を覚えながら死ぬだろう。

 計画は順調に進んでいき、ある夜、私は愛された。その後も付き合い続けて、奴のいろいろなことを知った。奴にはほんの少しだが確かに良いところがあった。思えば、親友はこいつのそんなところに惚れたのだな。


 そして、私は親友が決してあいつを憎んでいないと分かった。親友が望んでいない復讐などやめよう。晴れやかになった私の心はあいつに会いたくなり、その元へ向かった。

 あいつは知らない女とキスをしていた。頭が真っ白になり、視界が真っ黒くなる。


「親友の仇っ!」


 豚肉を切ったような感触が手に残った。


お読みいただきありがとうございました。

次回のお話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ