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ずっと、後ろにいる...

作者: けいてぃー

 俺は普通でありたかった。普通に生まれたかった。普通の生活がしたかった。普通になりたかった。普通でいたかった……。




 目が覚める。いつも通りの一日が始まる。準備をして、家を出発する。斉藤さいとう ひろと書かれたネームプレートを、制服につけながら歩いていると、あちらこちらから、挨拶が聞こえる。


「弘! おっはよー」

「弘君、おはようね」

「おっはようさん」

「おっはー」


はっきり言って、老若男女問わず、モテるタイプの人間だと思っている。まあ、人気者ってやつだ。勉強はわからなかったことはないし、できないスポーツもない。歌もダンスも絵も文字も人に見せることができる程の実力はある。顔もまあまあなほうだ。だからといって、誰かから妬まれている、というような感じもあまりしない。まあ、わからないだけかもしれないが。




 学校まで歩いて、足を止める。ふと、学校の迎えのビルを見上げた。そのビルは、昼間は誰もいないが、夜はスナックやらなにやらの店が営業をはじめる。こんなビルが学校の正面にあっていいものなのか?


「よお、どうした、こんなところで立ち止まって」


ふいに友達に話しかけられた。


「いや、お前を待ってたんだよ!」

「悪いなー、待たせちゃって」

「いつも待ってるからなれたよ……」


それから、二人で一緒に学校の中へ入って行く。




 教室は三階にある。薄暗い階段を上がり、教室を覗き込む。今日もいつもどおりにぎやかだ。それから、教室に足を踏み入れ、再び挨拶の嵐に巻き込まれる。それから数人の女子やら男子が机の近くによってくる。おいおい、まだ一限目の準備ができてないんだぞ……。




 そんなこんなで一日が終わる。部活には入ってないため、授業が終わり次第帰ることができる。


「なあ、弘、お前、部活やんないの?」

「ああ、僕? そのつもりはないよ」

「亮介こそ、今日の部活は?」

「今日は休み」


朝の友達が話しかけてくる。


「青春満喫しないのか? 部活は楽しーぞー!」

「僕の家は、母さんが仕事で忙しいから、家のこと、僕も手伝わないといけないんだよね……」

「あ、そっか、お前の家、父さんいな――」

「それより、ちょっと相談があるんだ」


余計なことを言わせる前に、話題を変える。


「相談? ああ、何か手伝えることがあるなら、何でも手伝うぞ」

「よかった。実は、最近誰かにつけられてるきがするんだよ」

「誰かに?」

「うん。まあ、証拠はないんだけど、そういう気がするってだけでね」

「なのか。まあ、お前人気者だからな! ストーカーとか!」

「ちょっと! 不安になるようなこと、やめてよ!」

「わりいわりい。ま、まだ被害がでてないなら、なんともいえないし、とりあえず親とか先生に相談してみたらどうだ? 俺なんかに相談しても、どうしよーもねーし」

「まあ、そうなんだけどね。一応、頼れるかなーって思って」

「お! そんな風に俺のこと思ってくれてるの? ありがたいなぁ。なんなら、お前のボディーガードにでもなろうか?」

「また、すぐそうやって調子に乗る!」

「へへへ。あ、俺、こっちだからんじゃあ!」


友達と別れてから、また一人で歩く。




 それから少しして、家に到着する。家の戸を開ける。誰もいない。まあ、もちろんのことだ。それから、部屋に向かう。制服を着替えて、勉強を始める。ある程度勉強が終わり、夜ご飯を適当に食べる。色々としてから部屋に戻り、少し考え事をする。誰かにつけられている……。いったい誰につけられているのだろうか。先ほども述べたとおり、はっきりいって人気者だ。それに、誰かに恨まれることをした覚えはない。であれば、やはりストーカーなのだろうか。最近は、ストーカーによる被害も増えているらしい。うう、怖くなってきた。今日は早く眠るとするか。




 再び目が覚める。見慣れた天井が広がっている。ああ、今日も一日が始まるのか。特段不便がないであろう日々。その中の一日がまた始まる。


「ねえ、最近有名なおじさん知ってる?」


歩いていると、女子の噂話が聞こえてくる。


「ああ、あのおじさんでしょ」

「気味悪いよね」

「なんか、いつもぷらぷらしてるんでしょ? それで、ぶつぶつ独り言いってるって、ミサが言ってた」

「ミキも気をつけてよ! かわいいから付きまとわれちゃうかもね」

「やだあ! 怖いこと言わないでよ……。あ! あれ、弘先輩じゃない?」

「ほんとだ! こっちの方面から通ってたんだ!」

「私、弘先輩に告白しようか前迷ってたの」

「え? だっていま彼氏いるでしょ?」

「だから、前の話! でも、かっこいいよねー! それに性格もいいし」

「でも、ああいう人に限って裏があったりして……」

「ないない。弘先輩にはないよ」


こそこそと話しているつもりだろうが、その声はどんどんと大きくなる。はあ、噂話なら、本人がいないところでやってくれないかな……。


「よお。今日は先にきてやったぜ」

「僕より先なんて、珍しいね」

「そんなことないだろ! 一年間に二、三回はある!」

「それが珍しいんだよ……」

「ところで、ストーカーのこと、親に相談したか?」

「あ、いや、昨日母さん夜勤だったから……」

「そうか。実はな、この変に怪しいおっさんが出ているらしい」

「そういえば、美樹もさっき話してたよ」

「美樹ってひとつしたの?」

「うん。さっき歩いているとき、大きな声で、僕の噂話をしてたんだけどね……」

「まじで! 美樹ちゃんかわいいよねー! って、話はおいといて。そのおっさんだけど、もしかしたら、お前のいってたストーカーに関係するんじゃないのか?」


俺のいってたストーカーに関係する。確かにその可能性はあるな。


「今日、先生にも相談するつもりだったから、そのとき、ついでに話してみるよ。まあ、噂話だから、なんともいえないけどね」


リョウスケの方を見ながら、後ろのビルを見つめる。


「お? どうした?」

「いや、なんだか最近、あのあたりから視線を感じるんだ」

「視線? まじで? それヤバイんじゃね?」

「いや、自意識過剰なのかもしれないけど……」


そこまで言うと、リョウスケは意味ありげに目配せをする。その視線の先には……。


「ああ! もう8時になる! 遅刻する! 僕、今まで遅刻したことないのに!」

「そうだよ! のんびり話している場合じゃない!」

「走ろう!」

「おう!」


そうして、今日は二人で走って学校へと入った。




 今日は、あの薄暗い階段を駆け足で上がる。そして、そっと教室をのぞく。どうやら、間に合ったようだ。少し息を整え、それから教室へと入った。




 今日は学校で会議があるらしく、午後になってすぐに学校は終わった。


「ねえ、弘君、あるおまじない、知ってる?」

「おまじない?」


家に向かって歩いていると、一人の女子が話しかけてくる。


「えーっとね、深夜に行うんだけどさ、運命の相手がわかるってやつ」

「僕の運命の相手?」

「まあ、真剣になるようなものじゃないと思うよ。ただ、やり方が簡単で、クラスでは少し話題になってるの。ルミなんて、私の相手は弘君だったーって騒いでたのよ」

「ちょっと! サツキ! なに勝手に話してるの!」


ルミはあわててサツキの口をふさぐ。


「留美さん、ちょっと、落ち着いて!」

「ああ、ごめんなさい、この子が余計なこと言うから……」

「で、そのおまじない、夜中の二時ちょうどに、鏡を右目だけでみる。それだけでできるらしいから、試しにやってみてねー」

「あ、うん。できたらやってみるよ……」


その回答を聞き終わる前にルミとサツキは行ってしまう。おまじない、か。どうせ今日も家に誰もいないし、夜まで起きれたらやってみようか。




 家に帰って、昨日と同じく着替えて、宿題をして、そして夜ご飯を食べて……。寝る準備ができ、それからしばらくボーっとしていた。今はまだ11時だ。たしか話によるとおまじないをするのは2時だったはずだ。そう、思っていたのに、だんだんと、瞼が重くなり、気がついたら、寝てしまった。




 目が覚めた。光はまだ差し込んでいない。すぐ窓から見えるのは、月だ。どうやらまだ夜らしい。時計を探す。まだ1時47分。おまじないはできそうだ。ゆっくりと下へ降りる。




 久しぶりに、鏡を使う気がする。この廊下の正面に、洗面台と鏡がある。俺の腕時計は一時間後とにピピと音がなる。せっかくだし、目をつむっておいて、二時になった瞬間に右目だけを開こう。それまでは、お楽しみってことにしよう。目を瞑ったまま、手探りで洗面台の前まで行く。夜中にこうやって何かをすることはあまりなかったから、少しどきどきしてきた。もしかしたら、運命の相手が映し出されるかも……。ま、そんなわけないか。




 あれこれ考えているうちに、少しずつ、そのときは迫ってきた。ピピと音がなる。いまだ! 右目だけをぱちりと開ける。そして、鏡に映し出されたのは……。




 一人のおっさんが映し出された。これが、俺の、運命の相手? いや、違う。そんな分けない。いや、違う。そうじゃない。そこで、俺はすべてを思い出した。ああ、そうか。そうだったのか。俺はただ、普通になりたかっただけなんだ。




 俺は醜い見た目のせいで、学校でいじめをうけていた。ブサイク、キモい、一緒にいると飯がまずくなる、気持ち悪い、顔を見せないで。俺だってこんな顔に生まれたかったわけじゃない。でも、この見た目のせいで、いじめをうけた。そして、俺は心を閉ざした。ずっと部屋に閉じこもった。そんなある日、親は病気で死んだ。それから、俺は仕事をさがすべく、町をぷらぷらし始めた。でも、高校中退の俺を雇ってくれる会社なんてなかった。ああ、俺も普通に生まれたかった。そう思いながら部屋でただ、時間を過ごしていた。そのとき、部屋の窓から隣の家の部屋の中が見えた。そこには一人の少年がいた。いつからかこのあたりに引っ越してきたらしい。一目で彼が人気者だとわかった。ああ、俺もあんな人気者になれたらなぁ……。いや、俺が彼になれば可能じゃないか。そう考え、俺は自分自身を彼、つまり「斉藤弘」だと思い込むようにした。最初は不可能だと思っていたが、気がつくと、自分は斉藤弘だと無意識のうちに思い込むようになっていた。常識など関係ない。ただ、「俺は斉藤弘」という考えのみが頭にあった。それから、彼を毎日追いかけた。いや、実際には、俺は彼になっていたから、追いかけたというより、彼と同じことをした、ということだろう。ただ、学校に入ることは不可能だった。だから、向かいにあるビルの屋上から、教室を覗き込んでいた。家では、窓から彼の部屋を見れる範囲でみる。そして、みれなくなったら、そこからは、俺の行動が俺という「斉藤弘」の行動となった。そう、俺は、斉藤弘として、ずっと行動をしていた。斉藤弘を見ながら、彼を自分に落としこむ。そして、彼の行動があたかも自分の行動のように思い込んでいた。俺は、ただの、斉藤弘の物語の語り手にすぎなかったのだ……。





 目が覚める。いつも通りの一日が始まる。準備をして、家を出発する。斉藤さいとう ひろと書かれたネームプレートを、制服につけながら歩いていると、あちらこちらから、挨拶をされる。


「弘! おっはよー」

「弘君、おはようね」

「おっはようさん」

「おっはー」


老若男女問わず、モテるタイプの人間だといわれる。まあ、人気者ってやつだ。確かに、勉強はわからなかったことはないし、できないスポーツもない。歌もダンスも絵も文字も人に見せることができる程の実力はある。顔もまあまあなほうだ。でも、それがどうしたって感じだ。人にはそれぞれいいところがある。逆に、俺には飛び抜けたものがないから、困っているくらいだ。




 学校まで歩いて、足を止める。いつも、ここで亮介と待ち合わせをしている。その間に後ろのビルを見る。最近、ここから誰かに見られている気がする。


「よお、どうした、こんなところで立ち止まって」


亮介がのそのそとやってきた。


「いや、お前を待ってたんだよ!」

「悪いなー、待たせちゃって」

「いつも待ってるからなれたよ……」


それから、二人で一緒に学校の中へ入って行く。




 教室は三階にある。階段を上がり、教室を覗き込む。今日もいつもどおりにぎやかだ。それから、教室に足を踏み入れる。再び挨拶の嵐に巻き込まれる。


「おはよー弘」

「弘君おっはー」

「おい! 俺に挨拶はないのかよー!」

「ああ、亮介、ごめんごめん」

「ったくもー」


やっぱりさわがしいクラスだ。でも、なんだかんだで、僕はこのクラスが好きだ。


「やばい! 宿題やるの忘れてた!」

「あ、だったら私の写させてあげるよ」

「いや、俺、席となりだし俺のを」

「わ、私のでよければ……」


みんながわいわいと僕の机によってくる。写すつもりはなかったが、心の中は、ありがたい気持ちでいっぱいになった……。




 そんなこんなで一日が終わる。部活には入ってないため、授業が終わり次第帰ることができる。


「なあ、弘、お前、部活やんないの?」

「ああ、僕? そのつもりはないよ」

「亮介こそ、今日の部活は?」

「今日は休み」


亮介が話しかけてくる。


「青春満喫しないのか? 部活は楽しーぞー!」

「僕の家は、母さんが仕事で忙しいから、家のこと、僕も手伝わないといけないんだよね……」

「あ、そっか、お前の家、父さんいな――」

「それより、ちょっと相談があるんだ」

「相談? ああ、何か手伝えることがあるなら、何でも手伝うぞ」


話すかどうかずっと迷っていたが、この際に、思い切って話すことにした。


「よかった。実は、最近誰かにつけられてるきがするんだよ」

「誰かに?」

「うん。まあ、証拠はないんだけど、そういう気がするってだけでね」

「なのか。まあ、お前人気者だからな! ストーカーとか!」

「ちょっと! 不安になるようなこと、やめてよ!」

「わりいわりい。ま、まだ被害がでてないなら、なんともいえないし、とりあえず親とか先生に相談してみたらどうだ? 俺なんかに相談しても、どうしよーもねーし」

「まあ、そうなんだけどね。一応、頼れるかなーって思って」

「お! そんな風に俺のこと思ってくれてるの? ありがたいなぁ。なんなら、お前のボディーガードにでもなろうか?」

「また、すぐそうやって調子に乗る!」

「へへへ。あ、俺、こっちだからんじゃあ!」


亮介と別れてから、また一人で歩く。




 それから少しして、家に到着する。家の戸を開ける。誰もいない。母さんは看護しで、父さんは海外にいる。だから、家に人がいることは少ない。二回に上がり、制服を脱いでから勉強を始める。とりあえず宿題が終わったところで、カーテンを閉め、下に行く。冷蔵庫にある夜ご飯を温めて食べ、それから風呂に入る。そのあとは、なんだか眠くてすぐに寝てしまった。




 目が覚める。また、一日が始まるのか。さて、がんばるぞ!


「ねえ、最近有名なおじさん知ってる?」


歩いていると、美樹と友里の話が聞こえてくる。


「ああ、あのおじさんでしょ」


美樹の目線の先には、一人のおじさんがいた。僕の後ろのあたりを、一人でぶつぶつと何かをしゃべりながら歩いている。


「気味悪いよね」

「なんか、いつもぷらぷらしてるんでしょ? それで、ぶつぶつ独り言いってるって、ミサが言ってた」

「ミキも気をつけてよ! かわいいから付きまとわれちゃうかもね」

「やだあ! 怖いこと言わないでよ……。あ! あれ、弘先輩じゃない?」

「ほんとだ! こっちの方面から通ってたんだ!」

「私、弘先輩に告白しようか前迷ってたの」

「え? だっていま彼氏いるでしょ?」

「だから、前の話! でも、かっこいいよねー! それに性格もいいし」

「でも、ああいう人に限って裏があったりして……」

「ないない。弘先輩にはないよ」


二人とも、だんだん声大きくなってるよ……。そう思いながら、学校へ向かう。


「よお。今日は先にきてやったぜ」

「僕より先なんて、珍しいね」

「そんなことないだろ! 一年間に二、三回はある!」

「それが珍しいんだよ……」

「ところで、ストーカーのこと、親に相談したか?」

「あ、いや、昨日母さん夜勤だったから……」

「そうか。実はな、この変に怪しいおっさんが出ているらしい」

「そういえば、美樹もさっき話してたよ」

「美樹ってひとつしたの?」

「うん。さっき歩いているとき、大きな声で、僕の噂話をしてたんだけどね……」

「まじで! 美樹ちゃんかわいいよねー! って、話はおいといて。そのおっさんだけど、もしかしたら、お前のいってたストーカーに関係するんじゃないのか?」


僕をつけているストーカーか。もしかして、さっきのおじさんか?


「今日、先生にも相談するつもりだったから、そのとき、ついでに話してみるよ。まあ、噂話だから、なんともいえないけどね」


リョウスケの方を見ながら、後ろのビルを見つめる。


「お? どうした?」

「いや、なんだか最近、あのあたりから視線を感じるんだ」

「視線? まじで? それヤバイんじゃね?」

「いや、自意識過剰なのかもしれないけど……」


そこまで言うと、リョウスケは意味ありげに目配せをする。その視線の先にはさっきのおじさんがいた。こっちをじっと見ている。そして、やはりぶつぶつと何か話している。なんだか、ヤバそうだ。


「ああ! もう8時になる! 遅刻する! 僕、今まで遅刻したことないのに!」


大きな声でそういう。


「そうだよ! のんびり話している場合じゃない!」

「走ろう!」

「おう!」


そうして、二人でその場からさっさと逃げた。




まあ、遅刻するような時間ではなかったため、時間には余裕があった。


「なあ、さっきのおっさん」

「たぶん、そうだよ。さっきも僕の後ろを歩いてた」

「なら、さっさと先生に話そうぜ」

「うん。そうしよう」


そう、小声で亮介と話してから、教室へ入った。




 今日は学校で会議があるため、午後になってすぐに学校は終わった。


「ねえ、弘君、あるおまじない、知ってる?」

「おまじない?」


家に向かって歩いていると、咲月が話しかけてくる。


「えーっとね、深夜に行うんだけどさ、運命の相手がわかるってやつ」

「僕の運命の相手?」

「まあ、真剣になるようなものじゃないと思うよ。ただ、やり方が簡単で、クラスでは少し話題になってるの。留美なんて、私の相手は弘君だったーって騒いでたのよ」

「ちょっと! 咲月! なに勝手に話してるの!」


留美はあわてて咲月の口をふさぐ。


「留美さん、ちょっと、落ち着いて!」

「ああ、ごめんなさい、この子が余計なこと言うから……」

「で、そのおまじない、夜中の二時ちょうどに、鏡を右目だけでみる。それだけでできるらしいから、試しにやってみてねー」

「あ、うん。できたらやってみるよ……」


その回答を聞き終わる前に留美と皐月は行ってしまう。おまじない、か。でも、今日はお母さんが休みだから、無理だろうな。それより、あのおじさんのことを話さないと……。


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