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稚拙美な彼  作者: 月島真莉恵
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 12月中旬、私は午前の学校を終えて帰宅するところだ。


帰りのHRを終えるといつもの友人が帰ろうと声を掛けてきて、そこから駐輪場に自転車を取りに行き校門まで他愛のない会話をすると、帰り道が反対方向の私たちは手を振って校門で別れる。


いつものことだ。


こんないつものことが私には嬉しい。


高校一年生のときは、思うように友達が出来なかったから。


学校に知り合いはほとんどいなかったし頼れる人もいなかった。唯一同中だった子は、高校デビューというものをして派手に変わってしまっていたし、元々私の親友の友人で親友を挟んで少し話したことがあるがその程度の関係で、仲が良かったわけでも友達だったわけでもなかった。それに話す気もさらさらなかった。


それに加え、私は人見知りだった。


同級生にも関わらず対等に話すことができず、いくら月日を重ねても周りの子たちと馴染めなかった。


心底つまらない一年を送っていたと思う。


でも今は違う。


学校が楽しいと思える。


二年生に上がってから全く世界が変わった気がする。


いつも周りには友達がいてクラスにも部活にも馴染めてるし、一年の頃から変わらず成績に関しては毎回成績優良賞を取っていたし、部活動では多々いざこざはあるものの、副部長として奮闘するのも楽しく特に困ったことはなかった。


まあ、問題があるといえば、帰り道が面倒臭い。


これでもかというほどペダルを踏んでいるのに、強く吹き付ける北風のせいで思うように自転車が前に進んでくれない。


ただでさえ急で長い坂道を登ったり、坂道を下ったり、橋を越えたり、線路の下を潜ったり、カーブを曲がったりと平坦でない道なのに本当に嫌になる。


風に靡く真っ直ぐで長い黒髪たちはいつの間にか指も通さないほどに絡まってしまった。

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