第15話 天敵現る(3)
ドガッ!
「うぐっ!」
こ、これが要の石版に施されていた封印の正体!
こうやって石版を封印していたのか…。
神殿の壁に叩きつけられたショックで僕らは少し動けないでいた…。
「無駄よォ…!」
勝ち誇ったようにそう宣言するディーナ。
その時見えないちゃんはこの光のネットを解こうとしていた。
封印解除の手順を行う見えないちゃん…元々同じものならこれでこのネットも弾け飛ぶはず…。
しかし彼女の手がネットに触れた瞬間、強力な電撃のようなものが僕ら二人を襲った。
「うわあああああっ!」
「ほらァ…♪言わんこちゃない♪」
僕らが電撃で苦しむ様子をニヤニヤ笑いながら眺めるディーナ。
うんうん、物語の悪役はこうでなくっちゃね!
ってそんな感想を洩らせる程の心の余裕なんて今の僕にはなかった…。
「さあてェ…、どう料理してやろうかしらァ…」
倒れた僕らを見下ろしながら不敵な笑みを浮かべるディーナ。
屈辱的な状態で見えないちゃんはただ彼女を睨むように見つめるだけだった。
ガチャ…
僕らはどこかの牢獄のような場所に入れられてしまった。
僕は気絶していたから意識が戻ったらもう捕まった状態だったけれど
見えないちゃんはずっと意識を保ったままディーナに連れられてここまで来たらしい…。
「う…」
「ようやくお目覚め?」
ずっと意識を失っていた僕に見えないちゃんの視線は冷たかった。
だってしょうがないじゃんか…あんなの普通に人間に耐えられる訳がないよ…。
そんな見えないちゃんの腕には腕輪のようなものが付けられていた。
見た目はただの腕輪だったけれどそんな訳はないよね。
僕が彼女のその腕輪に気付くと自嘲するようにつぶやいた。
「拘束具だってさ…能力封じられちゃった…」
「ディーナって何者…?」
僕がそう尋ねると見えないちゃんはしばらく黙って呼吸を整えていた。
そうして落ち着いた後、おもむろに口を開いた。
「裏組織の幹部で封印&洗脳担当…簡単に言うと敵」
見えないちゃんは彼女について語り始めた。
僕はただその話を静かに聞くしかなかった。
彼女は組織では魔女と呼ばれていて実際の年齢は誰も知らない。
彼女の能力は謎が多いが隠れ里の人間の能力は勿論強力な洗脳能力も持ち合わせている事は確認されている。
常に隠れ里の行動を監視していて事ある度に隠れ里の人間の邪魔をしている。
彼女の目的は自分たちのみによる世界支配。
その為には地球エネルギーの安定を担い遥か太古から存在する隠れ里の存在が邪魔。
彼女自体の出自は謎が多いが古代に滅ぼされた文明の末裔と関係が深いらしい。




