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第12話 壊れかけのCastle(2)

「ごめん…」


「いいよ…助けてくれたし」


 この後、しばらく沈黙の時間が流れる…。

 な、何か変な雰囲気になっちゃったぞ…。

 この沈黙を最初に破ったのはやっぱり見えないちゃんだった。


「って言うか私のステルスがあればあんなの平気だったし!」


「あ…」


 確かに考えて見ればそうだった。

 でもあの瞬間はそんな事を考えている余裕はなくて…。


「身体が勝手に動いちゃったんだよ」


 一応見えないちゃんに弁明した。

 これが受け入れられるかどうかは別にして。


「…でも、君が無事で良かった」


 見えないちゃんは消え入るような声でそう言った。


「えっ?」


「とにかく!先に進むよ!」


 その時、見えないちゃんの顔が赤くなっているのを僕は見逃さなかった。

 何だかんだ言って可愛い所あるよねv


 お城が廃墟だったからか特に目立つ罠とかはなく

 目立ったアクシデントと言えば足場が不安定なのと道が制限されるくらいで済んでいた。

 不定期に上空から物が落ちてきたり突然行き止まりになったり

 それはまるでアクションゲームを地で行っているみたいだった。


「まるで敵キャラのいないアクションゲームだね」


「でしょ!」


 いつの間にかこの状況が楽しくなって二人ではしゃいでいた。

 そうか、こうなる事を予想して見えないちゃんはハイテンションになっていたのか。

 連日の冒険で鍛えたメンタルがここで大いに役に立っていた。

 いつの間にか突然のアクシデントでもパニックにならずに冷静に対処出来るようになっていた。


 でもここまで廃墟になって肝心の要の石版は大丈夫なんだろうか?

 城の奥へと着実に進みながら僕はその事を考えていた。

 そんな事を考えている内に僕らは意味ありげな大広間に辿り着いていた。


 そこは周りに大きく掘が築かれていてその先の広間の中央部分にお目当ての石版はあった。

 その中央部分に行くには今にも崩れそうなボロボロの石橋を渡るしかない仕組みだ。

 過去にたっぷりが水が貯められていたであろう堀はすっかり水が抜かれただの深い落とし穴と化している。


 橋を渡った先の石版にはやはりご丁寧にしっかりと封印が施されていた。

 この封印をした組織の人間はどうやってここを脱出したんだろう?

 見た限りここには最近誰かの入った気配が全然感じられなかった。


「飛ぶよっ!」


 橋を渡らずに一気に空間跳躍で石版の前にワープする。

 こんなトラップ、見えないちゃんには無意味だよね。


 バチン!


 いつものように簡単に弾け飛ぶ封印。

 僕は封印が解けた時に何かトラップが発動するんじゃないかと身構えたけど…。

 そんな事もなかったんだぜ…。


「何やってるの?」


 身構えていた僕を呆れた顔で見ている見えないちゃん。

 は、恥ずかしぃー。


「じゃ、帰ろうか」


「あ、はい…」


 こうして古城のミッションは終了した。

 持って来た準備の品はやっぱり使われずじまいだった。

 人生って…そう言うものだよね(汗)。


「じゃあまた明日!」


 僕に報酬を渡して見えないちゃんは帰っていく。

 毎度毎度の変わらない風景。

 たまに早く終わった日くらい家に寄ってお茶でも飲んで帰ってもいいのにな。

 いつの間にか僕はこんな日々も悪くないなって感じる程になっていた。

 いやぁ、習慣って恐ろしいね。

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