第10話 石版破壊作戦(4)
最初は小刻みに震えだし…やがて…石版の色がオレンジ色に…レーザーの熱で加熱されている?
…解!
見えないちゃんが呪文?を唱え終わったと同時に要の石版は砂状になって崩れ落ちてしまった。
一体彼女が何をしたのかすぐに知りたかったけれどその種明かしはここを出てからにしよう。
実験対象が突然消滅した事で実験室が大パニックになってしまったからだ。
もちろん僕らは見えていないので自身には全く危険はない。
逆にパニックになっている職員たちを見て滑稽に思えるほど心に余裕があった。
「じゃ、帰りましょ」
一仕事終えた僕らはお使いが終わったかのような軽い気持ちでその場を後にした。
いやぁ…今回は本当に楽勝でした。いつもこうだったらいいのに。
一方、視点は変わってこちらは研究施設の施設長の部屋。
ちょうど職員がこの事件の報告に現れていた。
「所長!貴重なデータが!」
「奴らが現れたのだろう?構わんさ…全て予定通りだ…」
所長は不敵な顔をしてその報告を聞いていた。
全てが予定通り…その意味するところは一体…。
全ては見えないちゃんを呼びこむための茶番だった?
この時点ではまだ何も分からない…けれど少なくともこの行為が組織に何のダメージもない事だけは間違いないようだ。
さすがイルミナティ…一筋縄じゃいきませんな…。
「あれはね、止まっていた石版の時間を動かしたんだよ」
「なるほど!それで止まっていた分の時間が一気に流れて壊れちゃったんだ…」
「そゆ事♪」
帰ってきた僕は早速見えないちゃんにさっきの行為の説明をしてもらった。
ちなみにイメージ出来ればいいので呪文の文句は適当らしい…。
見えないちゃん…能力チート過ぎィ!どっかのラノベの主人公ですか!
「じゃ、これ今日の分!お疲れ!」
1日分の給料をもらって僕らはまたそれぞれのプライベートに戻っていく。
何だかんだ言ってこの生活にも慣れちゃったなぁ。
ちなみに今回の報酬額は3万円でした。まぁ楽だったしゃーない。
それに今日は悪夢にうなされずに済みそうだ。
ただ、昨日の疲れがどっと出ていつもより早くに眠る事になってしまった。
撮りためていた番組は明日まとめて見る事にするか…。




