第10話 石版破壊作戦(3)
「ここIDカードと網膜認証併用だ…」
「うおっ!」
最後の最後にパスワードではどうしようもないセキュリティキター!
でもそれくらい普通だよね。考えたらよく今までここまでそれほど厳重じゃなかったなってレベル。
…何か裏があったりして(汗)。
「どうするの?」
おそるおそる僕は聞いてみた。
しかし見えないちゃんは少しも困った様子はなく…
「じゃあ、アレやるか!」
そう言ってニヤリと笑った。
厳重そうに見える目の前の大きな扉…きっとこの向こうにお目当ての物がある。
通常の方法で侵入出来ないと分かった見えないちゃんはまず扉に手を当てる…。
するとその扉の奥へすっと手が吸い込まれていく…これは…壁抜けッ!
何と見えないちゃんは壁抜けすら我が物にしていたのだ!無敵か!w
どんなに頑丈な壁を作っても通り抜けられたならまるで意味が無いって言うね(汗)。
折角厳重なセキュリティを用意したってのにイルミナティさん…、残念!
「おおぅ…」
見えないちゃんと共に分厚い扉を抜けるとそこは映画でよく見るような大型の実験室だった。
その雰囲気から言って日夜ここで秘密の実験が繰り返されているに違いなかった…。
こう言う場所を見るとやっぱり中二心が疼いちゃうよね(汗)。
こう言う場所で白衣を着てヤバイ実験に明け暮れたりしてみたいなぁ…妄想だけど。
そもそも僕はそんなに頭の出来は良くないからこう言う場所は普通に無縁なんだよね…。
そしてその部屋の中央で今絶賛実験中の物質こそお目当ての要の石版そのものだった。
何かこれみよがしに実験しているんですが…(汗)。
まぁそれだけ重要な実験なんでしょうね、多分。
要の石版は様々な方向からレーザーを照射されて綿密なデータを取られていた。
僕はその光景を見ながら何故かその石版の痛みを感じているような気持ちになっていた。
痛い!痛いよ兄さん!(誰)
「ど、どうしよう…」
僕は素人丸出しの質問を見えないちゃんにしていた。
彼女がこの仕事を引き受けた以上どうにかする方法があって事に望んでいるに決まっているのに…。
見えないちゃんはこの光景に少しも動じる事なく冷静に状況を確認していた。
「大丈夫…」
状況を把握した見えないちゃんはそう言うと石版に向けて手をかざして何かつぶやき始めた。
…古よりの呪縛を解き…時の流れを…
その行為が始まると共に実験中の要の石版の様子がおかしくなる。
さっきまでどれだけレーザーを照射されても無反応だった石版が…。




