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第10話 石版破壊作戦(2)

 空間跳躍で飛んだ先は南の島のどこかのお金持ちのプライベートビーチだった。

 こう言う場所が謎の組織の研究機関に繋がっているって映画とかではお約束だけど…。


「よ~し!行くっか!」


 ミッションの前に気合を入れる見えないちゃん。

 そして当たり目のように僕に手を差し出してくる。

 今回も人のいる場所へのアポなし侵入なのでステルスは必須。

 僕も見えないちゃんの手をしっかりと握って、今度こそミスはすまいと心に誓うのだった。


「お邪魔しまーす…」


 僕はそう小声で言いながら研究施設に入る。

 外からはただの別荘に見えるこの建物も秘密のエレベーターを抜けると一気にいかがわしい謎の研究施設へと続く。

 オラ何だかワクワクして来たぞ!

 米軍基地と違って周りに兵士が歩いていないだけで緊張感は段違いに軽かった。

 きっとセキュリティも厳重なんだろうけど見えないちゃんステルスにかかればそれは何の意味もなさない。


(おっ?もしかしてこれは楽勝かな?)


 そんな感情すら抱けるほどだった。

 先にキツイ基地を経験していて良かった。


「パスワードとかよく分かるよね」


 気持ちに余裕があったので僕は見えないちゃんに前から思っていた疑問をぶつけてみた。

 こう言うのってそこに行く事が決まった時に詳細に情報をもらえたりしているんだろうか?

 メモとか見ないでスラスラとパスワード入力してたけどその場で暗記しているとかかな?

 僕がそんな事を想像していると返って来たのは意外な答えだった。


「私空間の記憶が読めるんだ」


 さ、さすが見えないちゃん!普通の人間に出来ない事をいとも当たり前にやってのけるッ!

 そこに痺れ…(略)。


 つまり前にパスワードとか入力している時の映像を見てその通りに入力している、と。

 刑事になったら殺人事件とか犯人分かりまくりの素敵な能力やん…。


「す、すごいね…」


 僕は見えないちゃんの返事にこう答えるしかなかった。

 やばい…、やっぱ次元が違うわ。


「基地で最短で迷わずに進めたのも基地スタッフの歩く映像を読んでいたから…」


「こりゃ見えないちゃんに隠し事は無理だね」


 僕は苦笑いしながらそう答えた。

 過去の映像を読めてもそれのどれが重要なのか咄嗟に判断してすぐに行動に移せる…。

 やっぱ見えないちゃんは歴戦の戦士だわ…。


 僕らは一度も迷う事なく研究施設の重要な部屋の前まで来ていた。

 この間、もちろん誰にも気付かれてはいない。

 秘密結社の謎の研究施設と言えども見えないちゃんにかかればちょろいもんだね。


「あ」


 厳重そうな扉に前で固まる見えないちゃん。

 どうしたんだろう?何かトラブルかな?

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