第1話 突然現れた少女(2)
いつの間にか僕は無意識の内に彼女に合わせるように手を出していた。
パアアア…!
僕と彼女の手が合わさった時、彼女の手の柔らかさと暖かさが伝わって来た。
その瞬間彼女の姿がハッキリ認識出来るようになった。
それは本当に形容しがたい不思議な感覚だった。
「え?」
相変わらず僕はこれ以上の反応が出来なかった。
一体この子は何者なんだろう?とか聞きたい事はどんどん浮かぶのに突然の出来事に驚いた衝動の方が大きくてそれらを口に出す事は出来なかった。
「これでゆっくり話が出来るね。」
こっちが混乱して何も出来ないでいると彼女の方から先に話しかけてきた。
こんな異常な出来事にパニックになってすぐにでもその場から逃げ出してもいいのに足がすくんで結局それすらも出来ないヘタレな自分…。
「さ、さっきのは?」
僕はおそるおそる彼女に質問してみた。
僕は昔から人見知りで普段滅多に他人に声はかけられないんだけどこの状況でよく話しかけられたなと自分でも不思議に思った。
この僕の質門に少女はあっけらかんとした表情をしながら
「私です」
と、答え、ニコニコしながら次に質問を待つように僕の顔を覗きこんでいた。
辺りに生じる奇妙な緊張感。
やばいよ…やばいよやばいよ!
何だかよく分からない問題に巻き込まれちゃったよ!
パニックだよ!なんだよもう!
とりあえず状況を整理しよう…えーと、僕は公園でコーヒーを飲んでいた…
そうしたら不思議な声がしてしかもその声の主は見えない少女だった!
何だよこれ自分でも意味が分からないよ!
この子は一体誰なんだよ!僕が何をしたって言うんだよ!
って言うか
って言うか…
「えっと…名前…」
僕は誰もが一番最初に思いつく質問を彼女に投げかけた。
どんなインタビューだってまず最初に名前を聞くよね。
誰だってそーする。僕だってそーする。
「秘密v」
彼女はあっけらかんとしてそう答えた。
どうやらこっらの質問に真面目に答える気はないらしい。
ならばこっらもそのおふざけに付き合ってやろうじゃないの。
「じゃあ秘密ちゃん?」
さあ、どう答えるよ?
「えー」
彼女は不満そうな顔をして考え込んでいるようだった。
女の子と話すのには慣れていないからこの対応が正しいかどうかは分からない。
まぁ泣かすような事がなければ問題はないんじゃないかな?かな?
そうして少しの時間が流れた後に少女が口を開いた。
どうやら答えが見つかったらしい。
「じゃあ、見えないちゃんで!」
なんじゃそりゃ。
とは思ったもののここはやっぱりツッコミを入れた方がいいのかと思い
「今見えてるじゃん」
と、ツッコミを入れてみた。




