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第八夜 契約の世界レイスフィア

 リーシャは護衛を振り切って駆けずり回った。しかし指輪の魔力をたどろうにも、精霊を感知できない今の自分にはどうすることもできないと分かっていた。

護衛たちはワイバーン同士の念話を頼りに探したが、イシュトの気配を三頭が察知できない様子を見て今日の捜索を断念するよう進言した。


どうして応えてくれないの―――

私何かしたのかなぁ―――

精霊さん――

マドカのことを守って――

お願い――



自治領の統治府――

「ワイバーンのみ撃墜との報告がありました!カードはいまだ健在」

「そうですか・・・しかしあの高さから落ちて無事はありえないでしょうしね。アシを潰しましたからね・・・徒歩であの森を子供が独力で越えれるはずはないです」

眼鏡の男は葉巻に火をつけながら満足そうに嗤う。背もたれに沈みながらくつくつと。

「一応手は打っておきましょう・・・クーデタでうち漏らした三十八番目の皇女殿下もまとめてね」




「生きてるかぁ?」

≪なんとかな。マドカの方こそ怪我はないのか?≫

「不思議とね。あんだけのオーバーテクノロジーなら、イシュトもろとも原子レベルまで分解されたっておかしくないはずなんだけど」

≪そうか・・・もう見えぬが、主を守ったのだな我は・・・≫

イシュトが危ない。荷物も燃えてしまったし―――

どうすればいい。

どうすればこの大きな友人を救える?

くっそっ!結局役立たずなのかよっ―――


人里なんてないだろうし、リーシャ達と合流しなくては。

死んでしまう。

だから。

イシュトを背負い引きずる。

火事場の馬鹿力というやつだろうか。

少しづつだが6mの巨体を小学五年生が引きずっていく。

熱気を感じ、とっくにジャケットは脱ぎ捨てている。

意識が朦朧とし始めながらも、ワイバーンを放すことなくマドカは足を踏み出し・・・倒れた。

ダメだ――

歩けない――



《その意気やよし――我が倦族を救おうとその小さき身でよくぞ我が元へたどりついた》

――だ・・・れ

《くくく・・・人の子よ。名を尋ねるならば自分の名を先に名乗るものだ》

――いちか・・・わまど・・か・・・・

《汝、契約を望むか》

――え?

《力が欲しいか》

――――欲しい。

―――――――――イシュトを執事長をライカを、リーシャを守る力が欲しい

《汝、契約を望むか》

――手に、入るなら

―――――力が手に入るなら

―――――――――――――――――契約を望もう―――――――――――――――――――――

《○▼&#”@がイチカワマドカと契約を結ぶ―――我とともに在れ》


倒れているマドカの鼻先に黒い影の足先が触れる。


黒い奔流がマドカのナカにあふれる。


「うがぁああああああぁぁぁぁあああああああぁあああああああああああああああ」


熱が鈍痛が激痛が、ありとあらゆる苦痛が体中を駆け巡る。


永遠に思えたその一瞬が過ぎ去ったあと、マドカはたくさんの<声>を聴き、たくさんの<存在>を視るようになっていた。


す、とマドカは手を伸ばす。


指先から出た黒い塊がイシュトを包む。


次の瞬間イシュトの傷は癒えていた。


≪マド・・・カ?≫


「イシュト・・・苦労掛けたね・・・ほんとに―――でももう大丈夫。リーシャを探しに行こう」


(マドカ・・・別人のような気配だが・・・マドカであるな)


目を瞠るような表情でこちらを窺ってくるイシュトを急かし、真夜中にも関わらず急に夜目がきくようになった瞳を凝らす。驚くこともなく自分のチカラを自覚した。






「誰か知らないけど・・・借りはきっちり返させてもらう」








今回は少し短め。っていうのも次回の構成を考えてのことです。

ようやく主人公が覚醒します。

ペースアップで行きますぜよ!

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