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第十二夜 夜会の世界レイスフィア(上)

間が空いてすいません。え・・・誰も待ってない・・・だと。

期待してもらえるように頑張ります(シクシク

「きひひひひひひひひひひひひははははは―――――」


人影は人体としてはありえないほど仰け反って、爬虫類じみた舌を出し哂い続ける。


「竜王――退屈と怠惰の王よ!!余程の玩具か?そのわらしがぁああ」


ひどく愉快そうな調子の声にもかかわらず、その表情は暗く、歪んでいる。


「久しく地上・・など興味もなかったが、羽虫ニンゲン共がどこまで思いあがっているか見物

しに行くのも一興か」


そう嘯くと人影は眼下に見える雲海・・へと飛び込んで行った。




謁見の当日――。

外交大使が真っ先に通される玉座の間には大勢の人間が集っていた。吹きぬけの大広間にエスニック調の調度品がしつらえられている。マドカは知る由もなかったが、建物を含め中近東などのイスラム圏の伝統様式に酷似している造りだ。貴族たちの纏っている衣服の意匠もイスラム風だった。

遠巻きの貴族の雰囲気を感じたのか、リーシャは切れ長の両目で回りを抑え込むような視線を叩きこむ。ざわついている貴族たちもこの圧力には屈していた。


「ほう――。貴様が厄介事の種か?この忌まわしい厄種め!!さっさと神聖なる皇都から出てゆけ!!」

「雑種がっ」

「皇女殿下といえど38番目ではな・・・たらしこむ相手を間違えたのではないのか?くくく――」


後ろから後ろから怨嗟嫉妬罵詈雑言が一塊りになって二人に吹きつける。

横を歩くリーシャは表情も変えず悠然と歩いてるように見える。

だけど、その手は白くなるほど堅く握りしめられていて、怒りを押さえこんでいるのがわかる。

憎い親父さんは皇王様、周りも大貴族ばっかり、か――。さすがに波風立てるのは自重してるのかな。

まあ、一応「渦中の人」だしな、僕らは。



――と、1人の優男が進路をふさいだ。


「キミの様な庶民の入っていい場所ではないのだよ?こ・こ・は。分かったなら今すぐ皇女殿下から離れて――」


「失せろ!優男」


「ソソソソソソソグディア四大貴族に名を連ねるボクをぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ侮辱したなっ!!」


脳にあるスイッチを意識的に入れる――。そんなイメージ。たったそれだけでマドカのプレッシャーは跳ね上がる。有象無象の貴族など物の数ではなかった。


「ひっ――」一瞥しただけで優男はその場に釘づけになった。


もう振り向かずに少年は、ソグド皇王ムジカ・ユル・ソグディアの下へゆっくりと歩いていく。


「貴様――。魅入られたか?」


ソグドの王はピクリと眉をしかめながら、それでも愉しそうに訊いた。

ぞくりと悪寒を感じるような表情で、しかし声だけは朗らかに少年は応える。


「――違いますよ。向こうが僕に惚れたんだ」


「ほぅ――その力どう使う?」


「僕は僕の味方にこの力を捧げる――それだけだ」


「ぬかしおってぇええ!!雑種がぁ!皇の御前であるぞ!!控えよ!」


頭のてっぺんが寂しい側近が叫ぶ。


「――よい。細かいことを申すな。異界の民には我らと違う理があろう」


皇は左手を激高した貴族――マドカにすれば中年の脂ぎったおじさんの前にかざし、制した。



「別に今は(・・)、ソグド皇国に害意はありやしませんよ」


マドカは両肩をすくめる。先ほどからリーシャは青ざめて息遣いがわずかながら乱れているのを感じている。やはり、過日の一件――帝都スイルベーンの反乱は尾を引いているらしい。今日のところはここで引きあげた方がいいだろう。謁見自体はすんだとみなしてもいいのだから――。


「今は――か」


「ええ今は(・・)ね」今日のところはこれで失礼します、と踵を返す。


「また訪ねてくるがいい。貴様はいろいろ面白い――イチカワマドカ」


機会があらば――と12の少年は小生意気に応えた。

最後までリーシャはソグド皇と目を合わせることはなかった。








「どうやら皇都に入ったようだね」


太り気味の時代が1人だけ違うような洋装の男が呟く。

「ソグドに渡すには惜しいチカラですしね――今の私たちへの心証は正直良好とはいえないでしょう。ですが皇都内部でひと悶着起こせばとりあえず勢力の天秤を動かすことはできます」

眼鏡を掛けた細身のスーツに身を固めた男がひどくいやらしい笑みを浮かべる。

「火種は幸いありすぎるほどあるし――というわけか?」

「そういうことです」

自治領の会議室に陰謀の哂いがこだました。


ここから同タイトルで中、下と続く予定です。

べべべべべべべ別にタイトルのネタ切れとかじゃ・・・ないんだからねっ(涙目

お気に入り登録五件だそうです。ありがとうございますーー

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