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追放令嬢、氷帝教育はじめたら何故か最強に?〜パンは剣よりも強しですわ!  作者: 蒼良美月
第一章 悪魔の城へ誘われて

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6.決戦の時

 ──さて、夕食が完成しましたわ。

 コンラッド様の助言で「胃に優しいものから少しづつ、食材も最初は食べやい大きさや、柔らかな物から」を参考にしました。


 私なりに考え、今日は挽肉をキャベツで包みスープで煮た物を中心に、あとは卵を出し汁で割り、少しとろみを付け蒸した、トロトロのプリンのような物にしてみました。


「エミリアって料理上手だねぇ?」


 マーゴさんが褒めてくださいました。そうだと良いのですが……

 一口だけでも、お召し上がりくだされば。


「さて、決戦だ!」


 何故か? 勇ましくコンラッド様が剣を掲げました。



「ちょっと、押さないでよ。コンラッド」

「お前が歩くのが遅いんだろマーゴ」

「は? ならお前が先頭行けよ!」

「ふふふ。仲がよろしいのですねえ?」


「は? 何でこんな女タラシと。あ! エミリア気をつけるんだよ? こいつの顔にだまされたら駄目だからね?」


「お前、殴られたいのか?」

「ふふふ。ほらやっぱり仲良しじゃないですか」


 私はお二人がとても羨ましく思いました。いつか私も、こんな風に()()あえたら? と思います。


「コンラッド……」

「う、うん。大丈夫だろう。エミリア嬢なら」

「じゃあ行くよ! 覚悟はいいかい? 皆の衆!」

「おお!」

「はい。参りましょう」



 ──トントントン


「夕食をお持ちしました」


 先ずは最初にマーゴさんが、その後に私が続く段取りだ。

 あら? お話には聞いていたけれど随分物静かな感じの御方のようで?


 一応何かあればコンラッド様が助けるとおっしゃっていましたが、そんなに気性が荒そうにはお見受けしないのですが?


 私は先程の手はず通りにカトラリーを並べる用意をする。

 でも折角お会いしたんですもの、ちゃんとご挨拶はやはりするべきよね?

 高位の御方に此方からお声掛けするのは駄目なのかしらねぇ? とりあえず挨拶だけしてみましょう。


「はじめまして。此方でお世話になっておりますエミリアと申します」


「おい!」

「ちょ。エミリア!」


 その時だった。

 先程までの静かな部屋が一変した。


「あ? 誰だお前?」


 ──ガタン


 扉が勝手に閉まり、食器が小刻みに揺れだす。


 あら? 何でしょう? 少し寒くなりましたわ。


「エミリア後ろへ」


 コンラッド様が私の前に立たれた。


「先日より、うちに遠い国よりお越しくださった男爵令嬢のエミリア嬢だ。お前の食事をマーゴと一緒に今、担当してくれている」


「聞いてない」


「ああ、今日だから報告に来た。何か問題でも?」


 俺は、もう引かないと決めた。

 こいつを元の世界に戻すのは今しかない。と思ったからだ。


 もしもの時は、この命に代えてもこの娘は俺が守る。

 いや、守らなければいけないのだ!


「ふん。御大層なことで、たかが男爵の娘如きに」


 食器の揺れがおさまった。

 私はコンラッド様の横に立ち、再び彼の顔を真っ直ぐ見て続けた。


「キャベツの挽肉包みと、玉子の蒸し物でございます。給仕を務めさせて頂いて宜しいでしょうか?」


「エミリア!」

「あんた! 何を!」


 二人が私の肩を掴み制した。



「ふーん。よかろう。コンラッド、マーゴ下がれ」


 彼は綺麗な銀髪を掻き上げながら楽しそうに? 笑った。


 あら? 美少年!

 二人に絶対目を合わすな。目を見るな食われるぞ! と、何度も言われましたが。


 食われるだなんて。

 吸い込まれそうなぐらい澄んだ綺麗な紫色の瞳。


「ミーシャ!」

「エミリアやめなさい! コンラッド! エミリアを早く連れ出して!」



「だそうだ。お前も出ていけ」


 そう言って彼が立ち上ろうとする。


「お待ち下さい。折角陛下の為にお作りしたのですから、一口だけでも召し上がっては如何ですか? それとも陛下は、小さな子でも分かる礼儀すら分からない御方ですか?」



 ──空気が一瞬にして変わる。

 先程より強く震撼し、呼吸するのも苦しくなるぐらい部屋の空気が薄くなり、温度が急激に冷え出した。


 ──その時だった。

 紫色の瞳が光ると同時に、大粒の雨が降り出した。


「止めろ! ミーシャ! 悪かったミーシャ!」


 コンラッド様が陛下に近づくが、陛下はコンラッド様を鋭く睨む。


「エミリア、行くわよ!」


 私はマーゴさんに腕を引っ張られドアの方に連れて行かれた。



「ふん。逃げるのか」


 笑いながら言うのが聞こえ、私はその声に立ち止まり振り向く。


「いえ? では給仕をさせて頂きますわ」


「ちょっとエミリア!」


 マーゴさんが私の腕を強く引っ張るが私は、彼女の目を見て首を横に振る。

 逃げては駄目。最初に逃げたら、これからずっと逃げることになる。


 コンラッド様とマーゴさんは、私を守ると言ってくれた。

 ならば私も彼女らとの約束を守らないと。私に出来ることを精一杯やる。


 それでも駄目なら仕方ないわ。

 やらずに逃げるよりはきっと後悔しないから。


「よかろう。コンラッド、マーゴ邪魔だ」


 私は、コンラッドさんの心配そうに見る顔に「大丈夫」との意味で微笑む。


「何かあれば直ぐに、外で待っているから」

「エミリア本当に大丈夫? 無理してない?」


 最後まで私を心配し続ける二人に「大丈夫」との意で頷いた。



「では、失礼しますね?」


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