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追放令嬢、氷帝教育はじめたら何故か最強に?〜パンは剣よりも強しですわ!  作者: 蒼良美月
第一章 悪魔の城へ誘われて

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5.チーム結成

 ──とりあえずだ。このままではいけない。

 コンラッドは今のこの状況をどう対処、いやどう()()()に説明するか? いや、無理だ……


 あいつが嫁を貰う?

 マーゴの顔を見る。


「なぁ、どう思うお前?」

「何がですか?」

「何がじゃなくて、その……アレだ。アイツと一緒に……無理だ」


 コンラッドは到底想像出来なくて、再び頭を抱える。


「無理でしょう……」


 そしてマーゴも再びしゃがみ込む。


「あのぅ……私、別に婚約者じゃなくても良いですから、でももう帰る家もないのです。ですから此方で雇って頂けないでしょうか?」


 私はお二人にとても厚かましいお願いをした。マーゴさんはともかくとして、コンラッドさんは先程初めてお会いしたばかりだと言うのに。


 でも、本当に私には帰る場所はもう無かったし……


「ちょ、ちょっとアンタ! あ、いやエミリアさん? どうしちまったんだよ。いつも明るいアンタが」


 私は何故だか分からなかったが、母が亡くなった時以来、頬に冷たいものが流れ落ちていた。


 きっと、久しぶりに人と話せたことが嬉しかったから? 

 口は荒いけれど、なんだかんだ言ってこうして優しくしてくれるマーゴさんと離れるのが辛かったから?


 理由は分からなかったが、涙が止まらなかった。


「馬鹿だねぇ? この娘は。クビになんかする訳ないじゃないか! ずっと此処に居て良いんだよ? コンラッド何とかしろよ! 仕事しろ!」


 マーゴさんがそう言って私の背中を優しく撫でてくれた。


「マーゴ……勝手なことを。そりゃあ俺だってそうしたいさ。ただアイツだぞ?」


「はぁ? なら言いつけるぞコンラッド! アンタがエミリアのことをちゃんと調べずに放置していた! ってことをさ!」


「お、お前無茶苦茶だな……」


「ありがとうございます私の為に。本当にごめんなさい……」


 参ったなぁ……

 こんなに無防備に泣かれたら。

 本当にソフィアにそっくりだな。


 あのマーゴがここまで入れ込むのもそういうことかもな。

 俺達はいつも一緒だった。

 あの日まで……


「やっぱり誤魔化して近づくのは駄目だと思うよ? ()()陛下だよ? もしバレた時を考えたら」


「そうだよなあ、()()男だしなぁ……」


 先程からお二人とも頭を抱えて悩んでいらっしゃる。にしても、先程からずっと言ってる「あの」とは? 陛下はどのような御方なのでしょうか? 少しだけ気になります。


「よし決めた! 悩んでたって同じだ。いずれは話す時が来るんだ。なら最初に正直に言おう! 大丈夫だ。エミリアさんならきっとあいつも!」


 コンラッド様は立ち上がり大きな声で言われた。


「コンラッドよ。それってもう考えるのが面倒になっただけ。なんて言わないよな? エミリアの身に何かあったら、アンタ責任取るんだろうな?」


 マーゴはコンラッドを鋭い目で睨んだ。


「そんなことは……責任取るってお前……そりゃあもしもの時は俺だって。エミリアさんさえ良ければ……」


 ?


 コンラッド様が私の方を見る。少しばかり何だか照れくさそうにされていらっしゃるのは? どうしてかしら?


「は? 何言ってんだよ! アンタみたいな女たらしにエミリアは渡さないさ! 責任取るはそうじゃないだろ! 馬鹿か! 危険な目にあわせるなって意味に決まってるだろ。まったく何考えてるんだよ!」


 マーゴは顔を真っ赤にして、コンラッドを睨む。


「おい、女たらしって……ヒドくね? 来る者を拒まない主義なだけで、っていいんだよ! 俺の話しは。分かってるわ阿呆! お前ぐらいだぞ、皇兄に向かって馬鹿って言う奴は……しかし相変わらずの口の悪さだなあマーゴは」


「え? 皇兄?」


 え? 陛下のお兄様なのですか? コンラッド様って?


「あ、悪い。ちゃんとした自己紹介してなかったな。一応、ミハエル・ルーベンス皇帝の兄のコンラッド・ルーベンスだ。ただ兄と言っても妾の子でなぁ、皇位継承権は一応はあるが、俺は継ぐつもりはないんだ。まあ俺のことはどうでも良い」


 そう言ってコンラッド様は優しく微笑まれた。


「マーゴです。ルーベンス皇帝の乳母だった母の娘です。ルーベンス様の妹サーシャ様の侍女をしていました」


「おい! マーゴ!!」


 コンラッド様の顔色が変わった。先程までの優しい温和な感じが一気に雰囲気が変わり、少し怖い感じに……


「いつかは分かることでしょうに。それに知らないといけないことではないのですか? コンラッド・ルーベンス大公殿下」


 マーゴは、コンラッドを珍しく真面目な顔で見つめフルネームで呼んだ。


 コンラッド様は、少しばかり悩んだ顔をされ大きく息を吐き、深く吸い込んだ後、真っ直ぐ私の目を見ながら言う。


「そうだな。もう立ち止まるのは止めるって決めたんだしな」


 コンラッド様が、ルーベンス陛下の今の状態含め、この国の状況などをざっと教えてくれた。


「そうだったのですね……分かりました。私は婚約者として参りましたが、私に出来ることを少しづつ頑張っていきたいです。陛下をお支えする皆様の一員としてお仲間に入れていただけるだけで十分です」


「エミリアさん……君には大変申し訳ないことをした。もしかしたら君を傷つけることになるかもだが? それでも此処に居てくれるかい? 寧ろ俺は君にはずっと此処に居て欲しいと思う。今度こそ俺達が全力で君を守ると約束する!」


「エミリア、私もアンタを絶対守ってみせるって約束するよ! だからずっと居て良いんだよ? アンタさえ良いならだけどね?」


 コンラッド様とマーゴさんは、とても真剣な目で私を見ながら言ってくれた。


 私はお二人のそのお気持ちがとても嬉しくて、やっと居ても良いところが私にも出来たのだと思い、安堵の気持ちと、このお二人のご恩に少しでも返せたらと。


「皆さん……ありがとうございます。本当にありがとうございます」


 私は嬉しくて、涙が止まらなくなってしまった。


「もう何泣いているんだい。この子ったら。ほらコンラッド、アンタ得意だろ? 女の扱いは?」


 マーゴはコンラッドの背中を叩く。


「痛っ。女の扱いって……お前」


「とりあえずだ。今日の夕食時に、一緒に三人で行くってのはどうだ?」

「は? 何で三人なんだよ! コンラッドとエミリアと二人でいいだろ?」

「三人で頑張るって今言っただろう。マーゴさん?」


「分かったよ。コンラッド卿」


 ここに最強? チームが完成した記念日となった。


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