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超特殊ジョブ『厨二病患者』となった俺、ダンジョン配信で意図せずバズり始める  作者: 小麦粉


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7/10

俺、盾騎士の真の実力を垣間見る


「昨日の料理は美味だった」


 エリカの振る舞ってくれた晩飯は意外にも美味くて、酒場でそれなりに胃袋を満たしていたにもかかわらず、ペロリと完食してしまった。


 俺的には冒険者稼業を辞めて、料理人にでもなった方が楽に生きていける気がする。


 ちなみに食べ終わった後はすぐに睡眠に入ってしまったので、特に大きな事件は起こらなかった。

 自然とそういう雰囲気になると予想していただけに、非常に残念である!


 エリカにはベッドで寝てもらって、俺は地べたに寝ていたわけだが、何やらうなされて変な声を上げていた気がする。

 俺自身もウトウトしていたから、あまり記憶にないのが玉に瑕だが。


 推測するに、実はああ見えて、慣れない環境に戸惑っていたのかもしれない。


 ま、とりあえず一安心だ。

 ちょっと剣が使えないってだけで、ただの家庭的な綺麗系女子じゃん。

 特におかしな人間じゃなかったしな。


 一緒にダンジョン探索していれば、勝手に親密な関係性へと発展していくだろうし、今以上にお近づきになれるよな!


「エリカの強固な盾を壊す日は近い……グフっ!」


 そんな妄想を思い描きながらも、今日は朝から盾騎士エリカを引き連れて、迷宮深度レベル【4】の中級者向けダンジョン、渋谷駅地下へと突入しようとしていた。


「報酬で購入したハイポーション渡しとくよ」


「気持ちだけ受け取らせてもらおう。私には不要だ」


「随分と防御力に自信があるんだな」


「なんせ盾騎士だからな。敵からパーティを守るのが、本来私の役目なんだ」


 うーん。

 まあエリカがそう言うなら納得するけど。

 単に打たれ強いのは分かるのだが、なんか違和感を感じてならないんだよね。


「やっと着いたか」


 現在、渋谷駅の地下は全て封鎖されている。

 理由としては、スケルトンウォーリアという骸骨型の魔物がうじゃうじゃ沸いているからだ。

 線路の上にはスケルトンウォーリアが巣を作って生活をしており、電車が通り抜けられない状態なため、地下鉄は軒並み動いていない。

 その敵の多さ故に、比較的経験値も豊富に貰えることから、ある程度ダンジョン慣れしてきた冒険者達がレベル上げに利用する人気度の高いダンジョンの一つとしても知られている。


 周りには何人かの先客が既に来ているようだが、俺たちを指差してボソボソと噂をしている様子だ。


『おい……あれマヒトじゃね?』

『うん、間違いないよ』

『あれが本物の厨二病か』

『見た目……キモっ!』

『実力は折り紙付きだってネットで噂されてるぞ」


 おーい、聞こえてんぞぉ〜。

 人を馬鹿にすると天国に行けないって習わなかったか。


 ちなみに今の俺の装備は、黒ずくめの面妖で摩訶不思議な男性をイメージしている。

 黒のマント、黒の上下セット、黒靴下、黒のブーツ、黒い角付きヘルメット、そして黒髪。

 前髪を掻き上げて前が見えやすく、且つ、装備からはみ出た襟足をツンツンにセットしてある。

 今流行りのツーブロックは邪道だ。


 何事も備えあれば憂いなし……だろ!


「エリカ、そろそろ奥に行くぞ!」


「私が先陣を切ろう!」


:うわぁ始まったぁ。

:このパーティ不安しかないんだが。

:厨二病患者と()()な盾騎士のコンビネーションか。

:むしろ見せ物としてはこれ以上ないタッグだろw

:マヒト様ぁぁ、頑張ってぇぇえ!!!

:いつも楽しませてもらってます≪¥5000≫


 今日は同接が三百人突破してるじゃん!

 俺の凄さが一番影響してるだろうけど、やっぱり超美人な大人のお姉さんがパーティに加わった影響が大きいのか?!

 言っちゃ悪いが、剣術は最底辺のゴミだがな!

 

「前方に十数匹のスケルトンを確認! 私が斬り込むから、後に続けぇぇ!!」


『カタッ、カタカタッ、カタカタカタッ』


 スケルトンウォーリアの軍勢はこちらに気付くと、すぐさま凶暴な性格を顕にして襲い掛かってきた。


 奴らの狙いは飛び出しているエリカだ。


 しかと見定めさせてもらおう。

 あれ程までに防御力に自信があった理由をな!


 エリカはアースソードを手に取り、上や前から飛びかかってくるスケルトンを薙ぎ払おうと構えた。


「これが修行の成果だ! とりゃぁぁぁあ!!」


 女性でありながらも、男勝りの気合いを全面に押し出して剣を振るうも……やはりその剣は呆気なく空を切る。

 と同時に、多量のスケルトンに押しつぶされ、これでもかと嬲られ始めてしまった。


 ……ま、マズイぞ!

 このままでは戦闘不能となって強制離脱させられてしまう!

 そもそも何故お得意の盾を出さない!

 盾騎士なら持ってこないなど有り得ないはずなのに……!


「ち、待っていろ。今すぐに助けてやるからな!」


 俺は咄嗟にアルティメイトキックをお見舞いしようと試みたが、エリカに拒否られた。


「手出しは無用……私は……大丈夫だ……はぅ」


「ん、んんん?! お前……まさか」


「さぁ、私が食い止めている間にこの先に……あぅん」


 お前、やられたい放題だな。

 盾を使わない理由がやっと分かったよ。


 まぁ端的に言って……感じてるだけだ。


 盾騎士と防御特化、そして超ドM……と。

 今までの言動から何となくは予想は付いていたのだけど、ここまで究極なM気質は始めてみたかもしれない。

 アリア最推し視聴者層が愉快なことになっているのも頷ける。


:だから言っただろ。

:ドM女!

:やはり降臨なさったか。

:アイツは嬲られるのが趣味だからな。

:俺の性癖にはめっちゃ刺さってる。

:何を今更ww分かりきってたことやんww


 状況は劣勢のままだ。

 エリカは丸くなって変な声をあげながら……。


「き、貴様ら……大勢で寄ってたかって私を痛め付けるなど……言語道断! な、な、何をする……! そ、そこは、そこはらめぇ……はぁはぁはぁ」


「喜んでんじゃねぇよ!!」


 俺は盾騎士の意味をはき違えていた。

 彼女が盾を持つのではなく、彼女自身が盾なのだ! 堅牢、堅固、堅物、超が付く程の受け身趣向!

 よって、スケルトン共の攻撃はほとんど効いていない様子である!


 結論、エリカは誰かを守りたいんじゃなくて、自分が嬲られたいだけだった。


 俺は全方位に群がるスケルトンに対処するべく、新たに思い付いた究極魔法を唱える。



次回『俺、魔王の城へと潜入する』

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 職業が違うだけで、もう完全にこのすばのダクネ○さんじゃないかww
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