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超特殊ジョブ『厨二病患者』となった俺、ダンジョン配信で意図せずバズり始める  作者: 小麦粉


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6/10

俺、女騎士に稽古を付ける


:癖強パーティが出来上がった。

:僕のエリカに手出したらただじゃおかねぇ!!

:やりかねんぞ。しかもこの女騎士…………あぁ、これ以上は語るまい。

:次はどのダンジョン攻略するつもり?

:任務次第だろ。


 おっと、俺のギルドカードがまた更新されたな。



★★★


 ≪名前≫天童真飛斗

 ≪年齢≫二十五歳

 ≪冒険者ネーム≫マヒト

 ≪冒険者ランク≫A+

 ≪冒険者ジョブ≫厨二病患者


 ≪所持スキル一覧≫

 【物理系統】

 斬撃種:氷砕古剣ミストリアヌス【極寒】

 盾種:水神ポセイドンの盾


 【魔法系統】

 火属性:紅蓮演舞拳三式


 【特殊技能】

 ハイパーアルティメイトキック

 超高性能四次元式コンパクトバッグ錬成


 【身体強化】

 なし


 ≪状態異常≫

 厨二病(永続、消去不可)


 ≪体力≫

 0/100


 ★★★



 冒険者ランクも上がり、知名度も上がり、可愛い女騎士もパーティに加入した。

 駆け出しにしちゃ上々な滑り出しと言えるだろう。

 しかしながら、本日は厨二病を発揮しすぎた為に、体力が軒並みゼロとなってしまった。


「寮に戻ってしっかりと休息を取らねば……!」


 すると、神妙な面持ちでエリカが口を開く。


「マヒト、少々頼みがあるのだが」


「ん、どうした?」


「私を君の住む冒険者寮に泊めてはくれないだろうか」


 困っている女性を助けるのも俺の仕事。

 一緒に添い寝でもして英気を養うのも悪くはない。


「別に構わないけど、何があっても保証はしないよ」


「へ、変な事は考えるなよ。私はそんな安い女じゃないからな! もし何かあっても……私の盾で絶対防御してやる!」


「無理だよ多分。俺の矛は堅牢で分厚い盾をも突き抜けるから」


「うぐっ……へ、変態が! いいかっ、私は実家を追い出された身なんだ。帰る場所がないから仕方なく誰かの住まいに居候するしかないってわけで……ぜーったいに手出し厳禁!!」


「優しくするから」


:おぉん?! 聞き捨てならないなぁ!?

:ちょっと女から声かけられただけで欲情しやがって……ぜ、全然羨ましくなんてないんだからな!!

:厨二病患者が恋愛経験あるわけないから大丈夫。

:エリカ可愛い。

:エリカ様に踏まれたい。

:むしろ踏んであげたい。


 ……あぁもう、この配信はエリカじゃなくて、俺が主役なんだから!


「エリカさん軽い冗談だよ。俺とてそこまで野蛮じゃないから心配しないで」


「当たり前だ! だが……か、感謝する。お礼と言っては何だが、簡単な夜食くらいは作ってやってもいいぞ!」


 まぁはっきり言って不用心にも程があるけど、パーティメンバーとしては彼女の事をある程度知っておいた方が、今後のダンジョン攻略が楽になるかもしれない。


 リスナー達の言い分が正しければだが、この女……結構な変わり者らしいし、念の為用心だけはしておいて損はないだろう。


 ギルドにも報告っと。

 若干一名ほど入居人が増えると伝えねばな。


 俺たち二人は酒場を出た。


『渋谷を救ってくれてありがとよ〜』


「あぁ、また飲みにくるぜ〜」




 さてと、次はどの任務を受けようか迷うな。


 もう迷宮深度レベル【7】のダンジョン攻略しちゃったから、もう【8】に挑戦してもいい頃合いかな。


「マヒトさん! 丁度いいところに!」


「ミッションカウンターのお姉さん、そんなに慌ててどうかした?」


「急速に力を伸ばしております厨二病患者の……コホン、失礼……勇敢な冒険者のマヒトさんに折り入ってお願いがございまして」


 うむ、この扱いの変わりような。

 さっきまでは人を見下した態度だったのによ。

 ギルド的には優秀な冒険者を留めておきたくて必死なんだろう。


 ま、過去のことは水に流そうじゃないか。


「英雄たるこの俺に任務の依頼かな?」


「え、えぇ。実はですね。とある六本木のダンジョン内に存在する凶悪な魔物の討伐をお願いしたくて……」


「ま、まさか……!」


「魔王ゾルゲでございます」


:六本木の魔王ってまさか……。

:またエグい依頼もってきたな。

:ゾルゲきたぁぁぁぁぁwww

:厨二病魔法考えとけよ。

:今や六本木周辺は魔王の縄張りだからな。

:闇魔法に対抗できなければ、死、あるのみ!


 もちろん俺だって知ってるさ。

 魔王は人語を普通に話せる上に、そこらの魔物とは知能的にも格段にレベルが違う。

 身長だって三メートルを超える長身、筋骨隆々、所謂マッチョなおっさんだ。


 だがしかし、俺の強さはもはや未知数。

 如何に名の知れた最強の魔王と言えど、聖なる光魔法に当てられたらひとたまりもないのだ。


 よって……浄化だ、浄化!!


「おけ。その任務、俺が引き受けた!」


「感謝致します! それでは詳しい日程をスマホにお送りしますので、後程ご確認お願いします」


 こうして長かった一日が終わり、俺たち二人は帰路へと着いた。



 ◇



 冒険者寮へと到着した俺は、溜まりに溜まった疲れを癒すために、風呂場で汗を流す。


「ふぅー、いい湯だぜぇ! にしても、今日だけで激動の一日だったなぁ……」


 感慨に耽っていたのも束の間。


 ん、物音が聞こえるな。

 何かを叩き斬っている音が……。

 とても嫌な予感がするからさっさと風呂から上がって、盾騎士女の様子を確認しないと。


「おーい、お前こんな夜中にうるさいぞ〜」


「例の大規模作戦まで後二日しかないのだからな! この部屋はトレーニングルームなのだろう? だったら思う存分剣の修行に勤しめるってもんだ!」


『シュッ、シュッ、ズバッ、ガシャッ!!』


 エリカが手に持つアースソードが空を切り、部屋の壁や床を無駄に傷付ける音が響く。

 周りにあるトレーニング道具(借り物)をも薙ぎ倒していき、もはや弁償は免れられない!


「とりあえず壊した物、全て弁償な」


「決してワザとじゃないんだ!」


「てか、ターゲットのカカシに全然当たってないけど、本気でトレーニングする気ある?」


「大真面目だ。これでも真剣に取り組んでるつもりなんだよ!!」


 ど真ん中に置いてあるカカシに剣を振るってるつもりなのだろうが、掠りもしていないとは一体……。


「ほら、しっかり前を見て、真っ直ぐ剣を振り下ろせ! 相手は止まってるんだから冷静になるんだ!」


「くっ、難しい……難しいぞ!」


 いや、どこが難しいねん。

 剣技素人の俺でさえ当たるわ!


「それじゃあ六本木の魔王に笑われるぞ!」


「す、すまない。だが大丈夫だ。後二日もあれば必ずや……盾騎士の名に恥じぬ剣士となるぞ!」


 ここまで剣術音痴だとは思わなかったよ。

 全く期待はしてないけど、まぁ頑張ってるみたいだし、ちょっとだけ助力してやってもいいかな。


 俺は一撃必中のバフをエリカにかけてやることにした。


『剣聖の心眼エンピレオール・アイ』


 ……説明しよう!

 このスキルは剣士系のジョブにしか付与出来ない。

 数秒間、次の攻撃に限り()()となる。


「こ、この力は……目が……目がぁぁぁ!!」


「ビビっただろう! これで貴様は晴れてカカシを倒せるのだ!!」


「てやぁぁ!!」


 ただ棒立ちしていただけのカカシは、地べたに寝転がった。


「マヒト、助力感謝する。やはり私の目に狂いはなかったようだな」

 

「コツは掴めたかな?」


「あぁ、もう大丈夫だ。礼として私が豪華なディナーを振る舞ってやろう!」


 やっと納得がいったようで、剣を納めてエプロンに着替えたエリカは、せっせと夜食を作り始めた。




次回『俺、盾騎士の真の実力を垣間見る』

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