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超特殊ジョブ『厨二病患者』となった俺、ダンジョン配信で意図せずバズり始める  作者: 小麦粉


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4/10

俺、最強の剣を創造する


:まさかの覚醒しやがった。

:今、火属性の魔法放ったよな、なっ!?

:相変わらず中学生じみたセリフは見るに耐えぬが、ワシはお主を見くびっていたようじゃ。

:マヒト君……やっぱり私の見る目にくるいはなかったみたい……!!

:容姿は酷いが、技は中々に見応えがあったぞ!


 ふっは、やっと俺の凄さに気付き始めたようだな。


 ……とは言えだ。

 自分自身でもジョブの理解が及んでいないのは問題大有りだろう。

 このふざけ散らかしたジョブ、厨二病患者の詳細を確認する必要があるな。


 俺はギルドカードに書かれているステータスを再確認した。



★★★


 ≪名前≫天童真飛斗

 ≪年齢≫二十五歳

 ≪冒険者ネーム≫マヒト

 ≪冒険者ランク≫C

 ≪冒険者ジョブ≫厨二病患者


 ≪所持スキル一覧≫

 【物理系統】

 なし

 【魔法系統】

 火属性:紅蓮演舞拳三式

 【特殊技能】

 ハイパーアルティメイトキック

 【身体強化】

 なし


 ≪状態異常≫

 厨二病(永続、消去不可)

 火傷


 ≪体力≫

 20/100


 ★★★



 うむ。

 どうやら先程放った魔法が新たに書き加えられたようだ。

 しかしながら、強力な魔法を放った反動によって体力が著しく低下している。

 加えて紅蓮演舞拳三式の発動に伴い、自らが火傷を負ってしまったか。

 まあ痛みは大したことないから戦闘に支障はない、唾でも付けときゃ治るレベルだ。


 さて、厨二病患者をタップして詳細を確認っと。



 ★


 ≪厨二病患者≫

 あらゆる痛々しい厨二の言葉が現実となって具現化されてしまう病を患ってしまった者。

 常に状態異常『厨二病』に感染、消去不可。

 己の内に秘める厨二を遺憾なく発揮できる者にしか扱えないとされる、極めて稀なジョブ。


 ★



 ……。

 俺は名実共に真正なる厨二病患者となったようだ。


「ふふっ、待っていろフレアドラゴン! 今日が貴様の命日となるであろう!!」


 そうこうしている内にエレベーターはついに最上層、フレアドラゴンの巣へと到着した。


『グルっ、ギシャァァァァァ!!』


 降りた瞬間からけたたましい鳴き声が聞こえるぜ!

 先ずは物陰に身を隠しながら奴の様子を伺おう。


「リスナーの皆、前方を見てくれ。あれが渋谷一〇六の主、炎龍フレアドラゴンだ」


:うわっ、威圧感半端な!!

:さっきの火属性はおそらく効かんぞ。

:見ろよ、あのふしくれ立った尻尾。

:口から湯気が出てますね。

:これが迷宮深度レベル【7】のダンジョンかっ!


 このレベルのダンジョンともなれば、配信者は鍵アカにして有料制にしてもいいレベルには難しい。


 確かこの前、お茶の間のニュースでも取り上げられていたか。

 ここ最近では何件も近隣住民から苦情が寄せられているそうだ。

 何でも、干していた洗濯物を取られたり、屋根の上で長時間居眠りをして太陽の光を遮ったり、昼夜問わず雄叫びを上げて騒音を撒き散らしたりと大変な被害を被っているらしい。

 

 そんな迷惑極まりないドラゴンを狩るのが、今の俺に課された使命だ。

 不審者こと厨二病患者の俺が、街の安全を確保する他ないだろう。


 ……さてと、いざ、出陣の刻!!


「やいやいフレアドラゴン! ここで会ったが百年目! この俺が来たからには、もうお前の好き勝手にはさせないぞ!!」


 俺に気付いたフレアドラゴンは唐突に鋭利な尻尾を振るってくる。

 尾の先端は刀の如し切れ味抜群であり、掠ることすら命の危険を伴うのだ!


:無防備にも程がある。

:避けてぇぇぇぇ!

:ランクCの冒険者が喰らえばひとたまりもない。

:早よ唱えろwwww

:フレアドラゴンの弱点は水よぉ!


「顕現せよ、水神ポセイドンの盾!」


 フレアドラゴンの尻尾と、水の力を纏いし堅牢な盾は、間一髪のところで相殺した。

 水を帯びた魔力によってドラゴンは一瞬だけ怯んだものの、反射によるダメージは少量、決定打には遠く及ばない!


 ……ちっ、足りない、か。

 厨二臭が全くと言っていい程に足りてない!

 厨二の文言が痛ければ痛い程、効力、そして強さが増すのは周知の事実!!


 結局ポセイドンの盾はドラゴンの攻撃を一発受けただけで、その姿形を消してしまった。


 再び無防備となってしまった俺。

 眼前には仁王立ちして目をぎらつかせたドラゴン。

 大口を開けて今にも火炎を撒き散らさんとしている。


 この難所を切り抜けるには……。


 フレアドラゴンの弱点は水だ。

 更にあの頑丈な甲殻を打ち砕く強力無慈悲な()()()()()が必要不可欠である。


 であるならば……あぁ、もう唱えちまうしかないっしょ…………あの強強な剣を出すために、な。


 俺は大きく息を吸い込んだ。




「煌めく水晶の輝きを纏った太古の剣、我が両の手に顕現せしめよ。悪しき焔を蒸発させ、絶対零度の力を持ってして敵を屠らん!!」


氷砕古剣(ひょうさいこけん)ミストリアヌス【極寒】……創造』




:うぉぉぉおおっ!?

:また随分とゴツい大剣出してきたな。

:体力の消費がえげつなさそうだが大丈夫か?

:見たこともない剣じゃのう。

:そのまま氷漬けにしちまいなぁぁぁぁ!!


 やたら手に馴染む。

 この感覚は……昔ゲームで最強武器を手に入れた感覚に近い。

 俺の両手と一体化するかの如しだ!


 俺は前もって買っていたポーションをガブっと飲み干し、体力の全快を行う。


「よっしゃ! 炎龍風情が、覚悟せよ!」


 改めて気合を入れ直すと同時に、フレアドラゴンの口元から火炎放射が放たれた。

 すかさず創造した大剣を構え、迫り来る火炎目掛けて超低温の斬撃をお見舞いする。


「斬撃、斬撃、斬撃ぃぃぃい!! 絶対零度と化した幾千の斬撃をお見舞いしてやるぜぇ!」


 超高温の熱線と超低温の無数の飛ぶ斬撃がぶつかり合い、辺り一帯を激しい水蒸気で覆い尽くす。


 俺の体力が尽きる前になんとしても倒し切る!


:臨場感やべぇ……。

:これほどの実力者……いや、厨二病患者とはな。

:あぁ、やっぱすげぇよお前。

:人間何かを極めるのが重要らしい。

:いっきぇぇぇぇえ!!

:押し込めぇぇぇぇえ!!


 そして、リスナー達の熱い声援の後押しも相まって、俺の氷剣が一歩勝ったようだ。


 火炎放射は完全に飲み込まれ、その斬撃の勢いは止まることを知らずにドラゴン本体を切り刻む。


『グルっ…………』


 全長七メートルを超える巨大なドラゴンは、両の翼を大きく広げた姿のまま傷を負い、氷漬けとなって微動だにできずにいた。


 こうなったら凶悪なドラゴンとて可愛いもんだ。


 とりあえず……勝者、俺。

 緊急任務、達成。



次回『俺、YAPOOニュースに掲載される』

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