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超特殊ジョブ『厨二病患者』となった俺、ダンジョン配信で意図せずバズり始める  作者: 小麦粉


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10/10

俺、魔王と戦う


 俺たちは魔族コスプレを脱ぎ捨て、城内を荒らす……壊しまくる!!


『奴を取り押さえろ!』

『魔王様に報告だ!』


:完全にマヒトの独壇場だな。

:城内警報鳴ってるぞ。

:これじゃどっちが悪か分からんなw

:変装する意味w

:魔王もビックリ仰天だよな。


 そりゃこんだけ暴れ回れば魔王だって黙ってらんないだろう。


 もはやゾルゲ像は原型を留めておらず、ただの岩の残骸となって地面に散らばっている。

 残っているのは下半身の一部だけだ。


 エントランスは半ば崩壊状態となり、居合わせた魔族達は劣勢を強いられることとなった。


「やぃ魔王! 何処かで見てるのだろう! 早く出てこないと城が陥落するぞ!」


「ま、マヒト、見ろ! どうやら本物の魔王ゾルゲがお出ましのようだ」


「やっとボスが出てきたか」


 どうやら大変ご立腹の様子。

 怒り浸透ってヤツらしく、頭から蒸気が噴き出して、身体中から黒いオーラを放っている。

 腹筋はバキバキ、腕の太さは俺の腰回り程の太さ、両手には黒く染まった刀を持ち、地響きを起こしながら螺旋階段を降りてくる。


『ズシン、ズシン!!』


 単純に怖い!


「貴様が例の冒険者だな。よくも……よくもワシの銅像をっ……! この場で刀の錆にしてくれるわ!!」


 配下の魔族達が一斉に列を成して並び始める。

 威圧感溢れる魔王に平伏すかのように首を垂れて、決戦の火蓋が切られるのを待っているようだ。


 殺気立つ城内。

 互いが臨戦体制に突入する。


 緊迫した空気感の中、魔界の王ゾルゲは、黒刀をブンブンと振り回しながら襲い掛かってきた。


『うりゃぁぁぁぁ、覚悟せいっ!!!』


 俺は間一髪のところでマ◯オ風ジャンプで跳躍し、攻撃を避ける。


「しゅばっ!!」


 高く伸びる柱に捕まった俺は、高所から魔王の様子を伺う。


 うむ、尋常じゃないスピードと破壊力だ。

 斬撃によって付近の岩が真っ二つになって黒ずんでいる。

 今までの相手とは一味も二味も違う強さときた。

 流石は高難度ダンジョンの主、俺の相手に不足なしだぜ!!


『ふははははっ。そんな高い所に逃げてからに。さっきまでの威勢の良さはどうした? ワシの剣戟に恐れを成したか、このヒヨッコめが!!』


 ち、言わせておけば。

 魔界の王だか何だか知らないが、俺をヒヨッコ呼ばわりとはいい度胸じゃないか。


「俺を舐めんじゃねぇ腰抜けが! 次に地面に転がっているのはお前の生首だからなぁ!!」


『何じゃとぉ! ワシが誰だか分かっておらんようじゃなぁ!! 異世界から降臨した最強の武人、魔王ゾルゲであるぞ!!』


「ふっ、くだらん! なぁにが最強だボケ、カス! いい歳こいて厨二臭漂わせやがって! 見た目はオッサン頭脳は中二ってか!!」


『き、貴様にだけは言われとぉないわ!!』


:まるで餓鬼の喧嘩だなw

:もうこの世の終わりだぁぁ。

:盾騎士はどうした。

:六本木の平和は貴方にかかっているのです。

:こりゃ桁違いの覇気だな。

:無駄に怒らせてどうする。


 この流れを見ていたエリカが割って入るように魔王を牽制する。


「六本木の王よ。果たしてその黒刀で私を貫けるかな?」


『人間の女よ……その言葉、後悔は先に立たぬぞ』


「来るがいい! 私が盾となろう!!」


『ふははっ! 我が全身全霊の剣戟、喰らうがよいわ、人間の女ぁぁ! 黒刀五月雨斬り!!』


 魔王は一直線にエリカへと突進すると同時に、無数の剣戟で容赦なく切り掛かる。

 対して盾すらも持たない盾騎士エリカは、手を大きく広げて棒立ち状態だ。

 まさにこれ以上ない()()()の体勢、撃ってくれと言わんばかりの無防備さである。


「うわぁぁぁぁぁ……あぅ……がふっ……」


『笑止! ガッハッハははは!』


 エリカがモロに斬られた。

 顔面からうつ伏せで倒れ込み、微動だにしなくなってしまった。


『さぁ、残るは貴様だけじゃな。そこに這いつくばっているオナゴと同じ場所へ、すぐ送ってやるわ!!』


「よく見ろよ魔王、まだ終わってないぞ!」


 すると、息絶えたはずのエリカが不穏な声をあげながら立ち上がる。


「うっ、うふんっ……こんな強力な斬撃は喰らったことがないぞ……はぁはぁ……気持ちぃ……」


「お前まさか、また……感じてんじゃねぇよな」


 ハッとした様子で俺を見やるドM。


「大事な戦闘中に、か、感じてなどいるはずなかろうが! 私とて斬られてかなり痛いのだ。いくら防御力に特化しているとはいえな!!」


 魔王は口をおっ広げ、眼を丸くして唖然とした表情をしている。


 まぁビビるのも無理はない。

 ここまで硬い女って中々いないからね。

 しかも撃たれることが大好きな変態ちゃんだから、メンタル面もカッチカチなのよ。


『ぐ、ぐぬぬぬぬ。ば、馬鹿にしおってからに! こうなったら致し方ない……ワシの最強魔法をお見舞いしようじゃないか』


 やべぇ程に魔力が充満してきた。

 魔王の体内に続々と注ぎ込まれていく闇のパワー。

 奴の携える黒刀ブラックエンペラーは、魔王自身の闇の魔力を吸収し、どんどん火力が増幅されている。

 世界に二つとない強力な一振り……ならば、俺は更に最強の武器を創造するのみ。


「黒刀改め、魔神刀ゴッドエンペラーを創造する」


 この双刀は、地の獄に住まう悪の化身、地獄を治める魔神の力が宿った黒き刀だ!

 よって、ただの異世界の王が持つブラックエンペラー程度では、まるで歯が立たない!!


:カッコええやん!

:ブラックエンペラーよりもドス黒い!

:やっちまぇぇ!!

:流石は厨二の王。

:すげぇ……やっぱお前すげぇよ。俺は今、猛烈に感動している!!


「ジャッキィィン!」


『お、お主……そ、そ、そ、その黒き刀は、もしや伝説の……!?』


「あぁ。貴様の想像通り、黒刀ブラックエンペラーの完全上位互換、魔神刀ゴッドエンペラーだ!!」


 今回はエリカが時間を稼いでくれたことで、何とか最強刀の創造が間に合ったわけだ。


「魔王、死すべし……!」


『ちょ、待っ、話し合……』


「問答無用!!」


『ぐはぁぁぁぁぁあああ……』


 ガードしたブラックエンペラーの上から斬り込みを入れ、ブラックエンペラー諸共斬り伏せた。


 六本木の魔王ゾルゲ、撃破。



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