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謎めいたエックス博士  作者: レモン
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第八章 捜査

 「やぁぁぁ。そんなに怒るなよ。僕はただ喉渇いてただけだ。一部君のせいでもあるんだよ。ソフィアを僕達の家に連れて来なければよかった。」

 「だからってソフィアをバカな女の子って呼ぶことないだろ。僕がこれだけたくさんのことをしてあげているのに、そんなことするなんて信じられないよ。」

 「でもピーター」スコットは抗議した。

 ピーターはスコットをすくい上げた。

 「ちょっと!何してるの?どこへ連れて行くの?」スコットは不安そうに聞いた。

 「学校だ。僕たちはこの問題を解決して、君を元の体の大きさに戻すんだ。」

 「どうやって?」

 「わからない。」

 空は灰色で、厚い雲の列が太陽を完璧に隠した。空気は酸っぱく、ピーターを気持ち悪くさせた。彼はこれらが今夜起こることの悪い前兆じゃないことを祈った。


 ピーターは、サリバン先生の消息を調べる方がスコットを治すよりもさらに緊急であることに気付いた。彼は合理的に考えて、サリバン先生の死体が見つかっていなくて、彼女自身がどこにも見当たらないことから、彼女はきっと学校にいるのではないかと推測した。監禁されて、もしくは…死んでいて。ピーターは震えた。『いや』と彼は自分に言い聞かせた。サリバン先生は死んではいない。彼は自信があった。彼は彼女の存在と温かさを感じた。

 しかし、サリバン先生がとても大きな危険にさらされている事実は否定できなかった。早く彼女を助けなければならない。問題は彼の自信が足りないことである。

 ピーターは、小さなスコットをポケットに入れて、何人かの子供が放課後の活動をしている中、学校中を探し回った。彼は彼のポケットの中に人間がいると知った時の人々のリアクションを想像もできなかった。彼らは賢く冷静で、そんな馬鹿げたサイエンスフィクションが現実に起きるわけがないと信じ切っている人たちだった。彼も昔はそういう人だった。

 何時間も経った。

 ピーターはようやく校内で調べていない場所が一つしかないことに気付いた。

 それは古い倉庫だった。

 ほとんどの人は、長らく放置されてきたのでその倉庫があることを忘れているか存在すら知らなかった。しかし、いまだに除去されていなくて、まだ森林の中で孤独に建っていた。

 ある時はその倉庫に幽霊が住んでいるという噂が流れていた。ピーターはそれを信じなかったが、あえて入ろうとは思ったことがなかった…

 幸いにも子供たちは校内からとっくにいなくなっていた。彼は不気味な倉庫にいるところを絶対見られたくなかった。

 彼が倉庫に近づくと、身震いが背筋を走った。腐敗した屋根は壊れそうで危険であった。壁は苔で覆われたレンガでできていた。彼は、サリバン先生や弟のためにこの中へ入ろうという自分の勇敢さやヒーローらしさに少し快感を覚えた。

 彼は慎重に倉庫のドアを引っ張った。鍵がかかっていた。引っ張っても押しても動かない。彼は大きくドアをたたいた。「クソっ!」と彼はイライラして叫んだ。

 その時、ピーターはかさかさとした音が聞こえた。彼の心臓は止まった。

 そしてまた速く動き出した。彼の顔から血の気が引き、彼はドアの小さな穴から恐る恐る部屋の中を覗き込んだ。

 古い棚や地球儀、地図、パソコン、テニスボールがあった。

 誰も中にいなかったが、ピーターは誰かの存在を感じた。まるで、誰かが内側からドアによりかかっているようだった。

 『もしかしたらそうかもしれない!その場合、その人はこのドアの穴から見えない。』とピーターは恐れながら思った。ピーターの心臓はより大きく速く脈打った。彼は危険な知らない人がいるのなら、倉庫に入るのが余計怖く嫌だった。

 「ピーター?大丈夫?今どこにいるの?」とスコットは聞いた。

 ピーターはなんて答えればいいかわからなかった。「うん、平気だよ。」と彼は自分の可能な限り一番コントロールされた声でひっそりと言った。

 しばらくの間、ピーターはただドアの前に立ち尽くし、中から突然開いた時にすぐに逃げられるように準備していた。ピーターはこの倉庫から逃げて二度と戻ってこない言い訳を作るためにそれが起きてほしいと願うほどであった。

 しかし、しんとした沈黙があるのみだった。

 『あのかさかさとした音は僕の妄想だった。』とピーターは自分を説得しようとした。『誰もドアによりかかっていない。ただの管理人がしょっちゅう来る倉庫だ。古い物を収納したり…たまに窓をふいたりするために…』

 『窓。』ピーターは息をのんだ。もしかしたら倉庫に入れるかもしれない。入りたいかどうかはわからなかったが。

 彼はもう一度ドアの穴を覗き込んだ。確かに、倉庫の反対側に窓があった。

 『もし僕が窓に向かう途中で、誰かに会ってしまったらどうしよう。それかもし誰かが僕についてきたらどうしよう。』そのピーターが心配している「誰か」とはもちろん友達ではなかった。彼は今いる場所から一歩も動きたくなかった。

 『チキンになるな。』と彼は自分を叱った。堂々と肩を上げて、彼は窓に向かって歩いた。

 いくつか大きな足跡が窓のそばにあるのに気付いたが、すぐに管理人のものだと決めつけた。またこの窓のすぐ下に別の小さな窓があるのも不思議に思った。『でも、この倉庫のすべてが不思議ではないか。』

 窓は鍵がかかっていなかった。彼は空っぽの部屋に入り、徹底的に捜査した。

 彼は手掛かりを探したが、簡単ではなかった。特に変なものなど部屋にはなかった。ただ不気味で怖いだけ。

 彼はため息をついて、腰を下ろした。その時、彼は自分が座っているカーペットが変な風にボロボロになっていることに気付いた。表面は全くボロボロになっていない。新品なぐらい綺麗であった。しかし、下からはたくさんの紐が出ている。普通逆ではないか?カーペットは普通踏まれるので、表面の方が下よりもボロボロになっているはずである。

 ただの偶然という可能性もある。ピーターはおでこにしわを寄せて考えた。何かが欠けている。

 彼は倉庫の外観について考えた。確かに一階建てだった。絶対に倉庫に屋根裏の部屋はない。

 『地下は?』彼は突然あの変な小さな窓のことを思い出した。その窓から彼が見たものは…何もなかった。真っ暗だった。

 ピーターは記憶を読み返した。もしかしたら、ほんのもしかすると、床は窓からやたら遠いように見えたかもしれない。まぁ、床が見えたわけではないが、暗闇が深かったことに関して彼は確信を持っていた。

 『地下の階があるんだ。』とピーターは気付いた。

 ピーターはカーペットの上を飛び上がり、周りを見た。急に興奮して、熱心になった。

 本棚が手の届く距離にあった。棚を確認し、あまりしないうちに彼の指は小さなボタンに触れた。

 彼はそれを押し、次の瞬間、彼の下の地面が急に動揺した。そして、彼は落ちて…落ちて行った…

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