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謎めいたエックス博士  作者: レモン
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第七章 世界一最悪な弟

 ピーターは学校に行こうかスコットと一緒に家にいようか迷った。もちろん、スコットをあのサイズで学校に行かせるつもりなどなかった。

 スコットはピーターに一人でいても大丈夫だと言った。家にペットがいなくて良かった。

 しばらくしてから、ピーターはやはりスコットの欠席届けを学校に持っていかないとなので学校に行くことにした。

 ピーターはスコットをパンのかけらといっしょにペン軸に入れた。このパンのかけらはきっと小さいスコットを一日もたせるのに十分であろう。ピーターはスコットに彼の机の上にいるように言った。

 「もしかしたら僕のために特別なお家を作れるかもね。」とスコットは言った。「シルバニア・ファミリーみたいに。」

 シルバニア・ファミリーは小さい子、特に女の子が遊ぶための小さな木の家である。小さな家具が入っていて、日本で人気だった。スコットはずっとほしいと言っていたが、ピーターは男の子がそんな女の子っぽいものを欲しがるなんてカッコ悪いと彼に言った。

 「君は僕がお家なんか作る前に元のサイズに戻ってるよ。」

 「どうやって分かるの?」

 「あぁ、分かるよ。」とピーターは自信をもって言った。

 なぜならもしスコットが戻らなければ、ピーターはこの先どのようにして生きていけばいいのか分からなかったからだ。


 「とても疲れているみたいね、ピーター。」とソフィアは言った。

 「あぁ、僕は大丈夫だよ、ソフィア。ただ昨夜あんまり寝られなかっただけさ。」

 ソフィアは彼のことを同情した目で見た。「きっとあなたにとって今は大変な時期ね、サリバン先生の死やいろいろなことがあって。もし何か悩みとかあったら、いつでも私に相談してね。」

 サリバン先生の名前を聞くとピーターは畏縮した。スコットに起きた出来事の後で、彼は彼女の突然の消失のことを忘れていた。

 しかし、サリバン先生を失う痛みやいたずら好きなスコットの面倒を見る疲労はあっても、ソフィアみたいな彼の窮地を分かってくれる人がいれば何とかやっていけそうな気がした。

 「ありがとう。」とピーターは笑顔で言った。「そうだ、いいアイディアがある。僕の家に今日来ないかい?」

 「それは最高ね!」


 ソフィアと一緒に自分の家に着いた時、ピーターは大きな間違いをしたことに気づいた。スコットが家にいた。

 しかし、彼は家まで連れてきておいて今さらソフィアとのデートをキャンセルすることはできなかった。それはあまりに失礼だ。

 ピーターは肩を上げた。『ソフィアと一階にいればいい。』と彼は思った。彼はソフィアを自分の部屋に入らせないように頭の中で自分に警告した。

 ピーターはドアを開け、スコットが玄関にいないことを確認しながら、不安げに何歩か中に入った。

 ソフィアを小さなスコットと同じ部屋に入れられない理由は二つあった。一つはソフィアがきっとショックで気絶してしまうからで、もう一つはソフィアが間違ってスコットを潰し、知らずに殺してしまうかもしれないからだ。友達の弟を間違えて殺してしまうというのはあまりにもショッキングだろう!

 ピーターは気をつけながらソフィアを応接間へ連れていった。ジャッキー・チェンの映画である『シャンハイ・ヌーン』をビデオの棚から取り出した。「アクション映画は好き?」

 「大好きよ。」

 「ちょっと待ってて、ポップコーン作ってくるから。」

 「分かった。」

 ピーターはポップコーンを二分で作った。戻ってきたとき、しかし、ソフィアはいなかった。ピーターの顔から血の気が引いた。「まずい。」

 彼は階段を駆け上がり、ソフィアが自分の部屋にいるのを発見した。「どうしてここにいるの?」

 「あら、ただ私が三ヶ月前にあなたに貸した何冊かの本が見つかるかと思っただけよ。」

 ピーターは自分の額をたたいた。「ごめん。すっかり忘れてた。」

 彼は彼女にその何冊かの本を渡した。

 「ありがとう、私これらの本を読みたいと思っていたのよ。」とソフィアは笑顔で言った。

 その時彼女は腰を曲げ、床から消しゴムを拾った。そしてピーターの恐怖なことに、彼女はそれをペン軸に向かってポイと投げた。

 「いて!」と小さい声が叫んだ。

 ソフィアは不思議そうな顔をしてピーターを見た。「今のは何?」

 「僕だよ。」とピーターは答えた。「ごめん、今何かとがったもの踏んづけちゃった。たぶん木のかけらとかだよ。さぁ、ジャッキー・チェン見に行こう!」

 ピーターはソフィアの手をとった。

 「喉かわいた!」と同じ小さい声はピーピー文句を言った。

 「え?」ソフィアはすっかり混乱しているようだった。

 ピーターはびくびくしながら笑った。「喉かわかない?行こう、僕が下でオレンジジュースつぐからさ。」

 「僕はどうなの?」と小さい声は抗議した。

 ソフィアはピーターのことを彼の頭がおかしくなったかのように見た。

 「行こう、ソフィア―」

 「そのバカな女の子と話すのやめろ!」と小さい声は叫んだ。「何で彼女はそもそも家にいるんだい?」

 ソフィアは疲れて混乱した様子でピーターにしかめっ面をした。「私、そろそろ家に帰るわ。」

 「ソフィア、待って―」

 ソフィアは階段を駆け下りて、ピーターは数秒後にドアがバンと閉められるのを聞いた。

 「お前!」ピーターは叫んだ。「お前は世界一最悪な弟だ!」

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