第六章 眠れない夜
ピーターはスコットをペン立てに入れて寝た。
しかし、その一時間後彼は小さな助けを求める声によって起こされた。最初は夢かと思ったが、起きた後もなおその声が聞こえるので、きっとスコットだろうと思った。
ピーターはいやいやながらも電気をつけ、そのまぶしさにまばたきをした。ペン軸の中を覗き込むと、案の定スコットはいなかった。『ペン立てのためのふたを作るべきだな。』と彼は思った。
「スコット?」とピーターは呼んだ。
「助けて。助けてくれ。」
ピーターはスコットの声は聞こえるが、小さすぎてどこから来ているのかさっぱり分からなかった。
ちょうどその時、隣の家の犬が吠え出した。
「ひ、け、くれ。」声はほとんど聞こえない。
「何?聞こえないよ。」
「熱い。ひか、け、くれ。」
ピーターはがんばって聞こうとしたが、聞こえてかつ理解できる言葉は「熱い」のみであった。何がこの部屋で熱いのだろう。火もついてないし、電子レンジもついてないし、何も燃えていないし…その時彼は気づいた―光だ!彼は天井を見て、目を細め、確かに蛍光灯に小さな人間がしがみついていた。
彼は光を消した。「さぁどうやって君を助ければいいんだ?」と彼は口に出して言った。
ありがたいことに犬は吠えるのをやめた。
「懐中電灯を使いなよ。」とスコットは言った。
ピーターはスコットの言うことを聞くのはあまり気分良くなかったが、それでも懐中電灯を廊下からとってきた。
光をスコットに当てすぎないように注意しながら、ピーターはやっとのことでスコットを救うことができた。
「どうやってあそこまで上ったんだい?」
「君のペン立ての中の定規をはしごとして使ってそこから出たんだ。中は鉛筆や消しゴムで混んでいたからさ。いったん外に出ると、僕は自由を感じ、突然何か冒険的なことをしたい衝動にかられてつい…」
ピーターは目をひっくり返した。
「もう二度といたずらをするな。」とピーターは厳しく言った。彼はスコットを今度こそ逃げないようにフィルムケースに入れた。
しかし、一時間後彼はまたしても同じ助けを求める声に起こされた。彼の体は起きようとしなかったが、彼の頭が彼に起きて弟を助けるように仕向けた。それよりか、彼を無理やり起こさせたのは彼の良心かもしれない。
「何だい?」とピーターは少し怒って言った。
「なんか気持ち悪い。」とスコットは苦しそうに言った。
ピーターはフィルムケースのふたを外した。
「やっと起きてくれた!僕、あの中で窒息しそうだったんだよ。あんなにきつく閉まったものに僕を入れる君は不注意だったよ。」
ピーターはあの小さなフィルムケースの中で息することが難しかっただろうと思うと少し罪悪感がした。しかし、彼は今までスコットがどれだけ自分に迷惑をかけ、またこれからかけていくことだろうと考えると、「ごめん」とは言えなかった。その代わり、彼は何か大きくてかつ閉められているものを探した。
やっとのことで、彼は大きな段ボール箱を見つけた。スコットがその箱の中に入った後で、彼はそれを閉じた。「この中なら大丈夫かい?」とピーターは聞いた。
「僕は大丈夫だよ。」とスコットは中から答えた。
ピーターは大きく安心したため息をついた。やっと彼は朝まで眠れる!その時彼は窓の外を見た。恐ろしいことに、お日様の朝の光が空を明るくしていた。
「何てことだ、あと一時間しか寝る時間がない!」
「あの、ピーター?」
スコットの声が段ボール箱から漏れた。
「今度は何だ?」とピーターは不機嫌そうに言った。
「いや、ただごめんと言いたかったんだ。これからはピーターのことを疲れさせすぎないようにもっと気をつけるよ。」
ピーターは若干微笑んだ。たとえスコットに対しむかつくことはあっても、彼はやっぱりピーターのたった一人の弟だ。どんなことがあっても、彼の面倒を見るのがピーターの仕事だ。