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謎めいたエックス博士  作者: レモン
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第四章 親指の大きさのスコット

 ある夜、ピーターとスコットは学校へ行った。偶然にも二人とも宿題を学校に忘れたからである。ピーターはホームルームの教室に数学のプリントを忘れ、スコットは理科室に理科の問題集を忘れた。ピーターは机から数学の宿題の紙を見つけて取り出した。教室を去ろうとしたその時、窓の外を見て突然固まった。ピーターは暗いのは全く怖くなかった。幽霊も信じたことはないが、犯罪者に関してはとても怖かった。だから理科室の灯りがついているのを見て、腕に鳥肌が立った。理科室は、教室棟とは別の向かい側のビルにあった。理科室の壁に映った影を見た時、さらに鳥肌がたった。誰の影か判定するほどはよく見えなかったが、絶対生徒ではなかった。

 『もしかしたらサリバン先生を殺した人かもしれない。』とピーターは思った。その時ある大変なことを思い出した。スコットは理科の問題集を忘れた…理科室に。

 「そんな。」ピーターは顔が青白くなり、口に出して言った。「そんな!」

 彼は半分転がりながら、半分落ちながら、階段を駆け降りた。

 外に出て理科室のあるビルに向かって全力で走っていた時、彼は一瞬理科室の灯りが消えるのを見た。そして再び灯りがついた。彼はスコットが理科室に着いていないことを願いに願いながら、階段を駆け上った。


 スコットは階段の最後の何段かを上った。理科室は暗かった。灯りをつけた。まるで誰かがほんの少し前に理科室を使っていたかのように机や椅子が散らばっているのにはほとんど気付かなかった。その日のもっと早い時間に使っていた机の中から問題集を取り出した。その時、彼は教卓の上にビーカーに入った蛍光緑の液体があるのに気づいた。

 彼は大いに喜んだ。『メロンソーダだ!ちょうど今欲しかったんだ。すごく喉が渇いた!』彼はビーカーを手に持った。そして唇に持っていった。一瞬ためらった。もしメロンソーダじゃなかったらどうしよう。彼は肩を上げた。何か飲みたくてしょうがなかった。何であろうと間違いなく彼の喉を潤すだろう。彼は大きくごくりと、量の半分を飲み干した。

 しかし、この液体は彼の喉を満足させなかった。まだ喉が渇いていたので、全部飲んだ。すると、お腹に痛みを感じた。頭が非常にくらくらした。視界がぼやけた。電気ショックを受けているかのように全身に痛みが走った。


 「スコット?どこにいるの?」ピーターは理科室のドアで息を切らしながら叫んだ。

 返事はなかった。

 「どうしよう…。」ピーターは床にひざまずいた。汗をかきはじめた。どうすればいいのかさっぱり分からなかった。『殺人者だったらどうしよう?スコットがもし…。』「ダメだ」と彼は小声で言った。「こんなの有り得ない。」また大事な人をなくすなんて耐えられない。

 その時、何かがすぐ近くに寄ってくるかすかな音がした。何かとてもとても小さいものに気づくのに時間がかかった…しかも自分の方に向かって歩いてきていた。虫の大きさだったが、とても虫には見えなかった。二本足で歩いていた。まるで人間のようだった。

 「わぁぁぁぁぁぁぁっ!」ピーターは悲鳴をあげた。

 「わぁぁぁぁっ!」と小さな人間は金切り声で叫んだ。

 ピーターは二回まばたきをした。彼は目を細め、小さな人間を注意深く観察した。この小さな人間は緑のシャツと茶色い半ズボンをはいていた…スコットと同じように。大いに恐怖を感じながら、ピーターは親指サイズの人の顔を眺めた。彼はその顔に見覚えがあった。

 「スコット?」ピーターは枯れた声で言った。

 「ピーター?」小さな人間の声はほとんど聞こえなかった。それでも、ピーターは弟の声だというのがわかった。この人は弟の声と顔を持っている…ただ違うのは体の大きさ。全然違った。

 「わぁぁぁぁぁっ!」ピーターと親指大のスコットは同時に叫んだ。

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