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第71話 フューリーホーンの角:その2

オレ達狙撃チームが集合場所に戻ると、すでに罠チームが昼食の準備を始めていた。

「遅れてごめん。オレ達も準備するよ。」

「構いませんよ。持ち込んだ物資が少なくて割と暇をしていたのです。」

「最初から決めてたらねー。もうちょっと準備できたんだけどねー。」

今回は現地入りを優先して準備を最小限にしたからそうなるよな。

「目標はフューリーホーンを3頭だからね。罠で1頭捕まえられたら御の字だよ。」

「オデたち、のこり、しとめる。」

「それでチビ達は何か思いついたんか?主軸が動かんと依頼が進まん。」

「そうそう!さっきスヴェンが何か思いついたらしいからさ!ご飯食べながら聞かせて貰おうよ!」

「是非聞かせてください。また爆発するのは勘弁ですけどね。」

「爆発は・・・するかも。でも先にご飯をサクッと作ろうよ。」

「賛成!お腹空いた!」

久々に野外での食事だ。

皆どんな昼食を持ってきたのだろうか。



全員の昼食の準備が終わり、よさげな木や石に腰かけると早速昼食の見せあいが始まった。

「俺は汁団子だ!お湯にこれを入れるだけで野菜も肉も団子も食べられる!冒険にはやっぱりこれだね!」

トトイトは軽量で腹持ちの良い携帯食か。

荷物の軽量化が必要な格闘家からすれば理想の食事かもしれない。

「私はサンドウィッチだねー。簡単で安く作れるから手放せないよねー。」

メイジェーンは王道のサンドウィッチ。

日帰りの依頼ならこれがベストだと言える。

ただ日持ちしないから状態には要注意だ。

「オデは、そこで、うさぎ、つかまえた。」

ドリアルはいつの間にか捕まえていたウサギか。

皮を取り火で炙って食べている。

旅に出たら必要な技能になりそうだ。

今度教えて貰おう。

「私は店売りのビスケットです。皆さんのと比べると味気ないですね。」

マーナルディは街中で購入したビスケットだった。

持ち運びしやすいので冒険者にお勧めされる昼食だ。

外れが無いのでマーナルディらしい選択と言える。

「ワシは見ての通りじゃ。」

ブランドは森の山菜と魚の揚げ物だ。

材料は現地調達していたが油と手持ちサイズの鍋は持ち込みだ。

因みに油はオレが温めた。便利に使われている。

「オレは鍋だね。具材は少ないけど。」

ドリアルが捕まえたウサギとブランドが集めた山菜、それにオレが持ち込んだパスタを材料に適当に煮込んだものだ。

味付けは鶏ガラを濃く煮つけたものでこれがかなり美味しい。

鶏ガラは適当に選んだ店で買ったものだけど当たりを引いたかも。

「いいなー!美味しそう!」

「ワシはこれを食う権利がある。」

「うまそう、たのしみ。」

「多めに作ったからさ。皆で食べよう。」

「太っ腹だねー。」

「助かります。私も見習いたいですね。」

よしよし。

依頼はともかく親交は深まっているみたいだ。

デリックに言われて全員に振舞える食事を考えてきたかいがあった。

「おー、悪くないね後輩君。前のパーティでは料理担当だった?」

いつの間にかハレンが輪の中に加わっていた。

今までどこで何をしていたのやら。

「全員で作ってたよ。メインはアレク君が担当してたけどね。」

「アレク?・・・あー知ってる。今日テレンシア王女のとこ呼ばれてる新入生ね。」

「アレクとスヴェンは同郷だったのか!知らなかった!」

アレク君との関係は積極的に話したい内容ではない。

知られるとアレク君の存在を通してオレが不相応に”高く”評価されるからだ。

アレク君が出来すぎて人々の判断基準を曖昧にしてしまう。

「それは依頼が終わったら話すよ。次はオレの考えた方法について説明したいな。」

「そっちが本命じゃ。ここにピクニックしに来たわけやない。」

「そうですね。そろそろ説明して貰いましょうか。」



「えと、先に確認したいことがあって。メイジェーンって魔鉱石持ってたりする?」

「持ってるわー。大きいのは無いけどねー。」

メイジェーンは鞄から魔鉱石をいくつか見せてくれた。

「ありがとう。ちょっと貸してね。」

オレは熱、風魔法を展開して魔鉱石に触る。

「貸すのはいいわよー。・・・でもベタベタ触るのはやめてねー。」

メイジェーンはオレの”空気の手”を見てコメントを付け足す。

魔法が見えるタイプか。

「気を付けるよ。えと、これは外に押す感じ、これはピリッとする、これは吸い付くな。」

魔鉱石の魔力を感じて今回のお目当ての魔鉱石を探す。

ひとまずこの吸い付く感じの魔鉱石で大丈夫だろう。

「あったあった。前提条件はクリアだね。」

「やっぱり魔鉱石で爆弾作るのか?!」

「やりたいことは似てるよ。これでフューリーホーンを酸欠させるんだ。」

「全く似とらん。」

「まあ聞いてよ。この魔鉱石は純度が低い吸魔鉱石なんだ。」

「ごめんねー。純度が低くてー。」

マズイ。気に障る言い方をしてしまった。

「でも今回はこれが必要なんだな!」

「そ、その通りだよ!今回はこの魔鉱石じゃなきゃダメなんだ。」

「メイジェーン。えらい、じゅんびが、いい。」

「えー。そうかもー。」

トトイトの天然とドリアルの的確なフォローがメイジェーンに刺さった。

「えと、オレの風魔法でこう・・・渦を作るんだ。中心に向かって風が起こるように。」

吸魔鉱石にオレの魔法近づけるとキュッと風魔法が吸われていく。

「まだ話が見えませんね。」

「次が大事なんだ。この魔鉱石の力を開放するね。」

吸収された魔力をちょいとつつくと、ギュオと先程の魔法が再現された。

「吸魔鉱石は魔法を吸わせた魔法を再現できるんだ。」

「やっぱり爆弾を作るんだな!」

なんかやたら爆弾にこだわるな。ちがうよ。

「一旦吸魔鉱石の特性は分かりました。しかし酸欠になる理由が不明です。」

「焚火の空気を相手に吸わせるんだ。」

つまり一酸化炭素中毒だ。

「焚火の空気を集めた袋を対象に吸魔鉱石の魔法を発動させる。それを口元で固定して吸える空気を無くしちゃうんだ。これで狙撃しなくてもフューリーホーンを昏倒させられる。どう?いけそうじゃない?」

前世の学校で行った火災訓練でなんども習ったからこれで間違っていないはず。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

あれ?反応が悪いな。

「チビの言いたいことはわかる。」

「ですが計画が穴だらけな気がしますね。」

ダメか?説明がよくなかったかな?

いつもはこれで通じるんだけどな・・・。


結局オレの説明では伝わらなかったので質疑応答タイムが始まった。

「純度が低いと魔法の再現にムラができるわー。そこが不安定じゃダメねー。」

「えと、それは純度が低いと魔法が強くなりすぎないから調整しやすいと思って。」


「そもそもどうやって近づくのですか?」

「それはトトイトが触れられるくらい近づけるんだ。」


「結局俺はどうすればいい?!」

「吸魔鉱石を持ってフューリーホーンに近づいて欲しくて。」


今まではこんな説明でも大丈夫だった。

いや、今までの説明も全然大丈夫じゃなかったのだろう。

問題なかったのは周りの人が足りないところを推測して埋めてくれていたからだ。

やっぱり皆がすごいだけでオレはダメなのかな。

そう思うと急に暗い気持ちになった、


「あー!はいはい。ストップ。この話は一旦中止!」

傍で聞いていたハレンが痺れを切らせて話に割り込んだ。

「気になる所はまだあると思うけど、今から先輩の言う通り動いてください。」

「貴方は何もしないのにーーー」

「黙って聞きなさい。」

ハレンがマーナルディーを制すと一同が静まる。

「メイジェーンは魔鉱石の調整(チューニング)をお願い。条件指定はスヴェンに聞いて。」

「はーい。」

「マーナルディーはトトイトでも魔鉱石が使える装備を作って。」

「注文が雑です。・・・いえ、やりますよ。」

「トトイトは完成した道具を持って実演。細かい所はブランドとドリアルの経験で指摘してあげなさい。」

「オデ、それなら、できる。」

「はぁ、過保護じゃ。それじゃあスヴェンが成長せん。」

「それからスヴェン。」

「はい・・・。」

「多くの人に話すときは目的と結果から話すように。」

「はい、ごめんなさい。」

「じゃあ話がまとまったらもう一度説明してみなよ。」

「わかりました・・・。」

結局のところ、オレはもう一度みんなに説明し直す自信が持てなかった。



ハレンの指示通り皆が作業を始め、日が明るいうちに”フューリーホーン酸欠装備”が完成した。

「ふぅー。やりきったねー。」

「作り終わってから言うのもなんですが・・・。この作戦で問題ないのでしょうか。」

「任せてよ!やり方はもうばっちりさ!」

「トトイト、がんばれ。」

「・・・」

「・・・あーめんど。チビ!小っさいことでしょぼくれた顔しとんな!士気が下がるやろが!ボケ!」

「えと、ごめん。」

気を抜くと元気がない顔をしてしまう。

「後輩君は案外自信家なんだね。普通これくらいでそんなにショック受けないよ。」

オレが自信家?どちらかというとオレは卑屈な方だと思っていた。

・・・でもハレンが言うならそうかもしれない。

「はいじゃあ元気出して!これは君の作戦だ。自信もってやってみよう!」

ハレンがオレの背中をバシンと叩く。

「いてて。・・・えと、魔法行きます!」

オレは暗い気持ちを振り払うように集中して風魔法を準備する。

反省は作戦が終わったらだ。

今は自分のやることに集中しよう。

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